スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

悪の秘密結社乗っ取りマニュアル17

働くおっさんライダー参上!









最近、ライダーの選考基準に『顔』が入った、ということがまことしやかにささやかれてやがる。
つうのも、ここ数年日曜朝のヒーロータイムで流れてんのが、全部甘いマスクのイケメンばっかりだからだ。
実際俺らみたいな戦ってる側としちゃあ、顔で戦闘能力が決まるなんて甘ったれたことはねえから、「偶然だろ?」の一言で済むことでも、見てる側にしてみりゃそんなのわかんねえ。

個人的には昔ながらの濃ゆい顔の男がマスクを被って顔を隠し、改造手術をされた復讐に燃える、って方が好みなんだが、まあ最近悪の組織に勝利したライダーはツール系ばっかりだからなあ。


結果として、ツール系ライダーがもてはやされ、それがイケメン続きだったとしたら、あまりお顔がよろしくなくて正体ばれたライダーの実家に「あんた不細工なんだから、○○君にその変身道具譲りなさいよ!」ってちょっとどっかいっちまってるアイドルの追っかけが押し寄せてきたりするわけだ。
たま~にヤフオクとかに流れている奴もものすごい金額がついてるしな。


まあ、何が言いたいのか、というと今のライダーの主流は、変身ベルトとかがあれば誰でも変身で来ちまう、ってことだ。
流石に俺とか改造人間みたいな「人間以外」を弾く機構を持ってるものはこの混沌とした時代だったら珍しくないがな。
昔は文字通り俺と同じ改造人間だったのに、ほんと時代も変わったもんだぜ。

まあ、改造人間は結構人間社会では迫害されるから、元一般人だとするなら生き残るだけで大変だ。一般社会に溶け込むための苦労は、悪の組織に入り浸ってる俺より大変だろ。
まあ、字面だけで考えれば「改造人間」も「怪人」も似てるどころか、「怪しい人」よりも「改造された人間」の方が人外っぽいし、最近のライダーでは主役として放映されないのも分からないでもないなあ……結局こういった変身ツールは誰が作っているんだろう、という疑問が出なくもないが、まあ頭のおかしい天才ってのは正義、悪の陣営問わず最近多くなってきているってことなのかね。



で、そんな狂った天才が作ったツールが何故か俺の手元にはいくつかあるので、せっかくなのでこれを使って何か面白いことをしようと思う。

ちなみにこの一個一億ではすまないものが何で俺の手元にいくつもあるのか、というと、まあウォッカとかのところからパクって来たりだとか、蘭華・桃香・沙織トリオのコンビネーションの練習に野良ライダーを襲わせて手に入れた奴だとか、はたまたこのあいだ罠にかけて取り上げた御光院付きのライダーの持ち物だった奴だったとかだな。


俺が使ってもいいか、とも思ったんだが、俺はそもそも改造人間だ。
で、ライダーというのは基本的に改造人間or何らかの手段で変身してバイクに乗っていることと、顔を隠していることが条件だ。
故に、定義的にはマスクを被ってバイクに乗れば、それだけでライダーになるような気がしないでもない。
というか、蘭華とかでも変身服にマスクが付いていてバイクに乗れればライダーとして登録されると思う。
だから、改造人間である俺がライダー変身ベルトを着けて変身する、ってのはなんか違う気がする。



加えていうなら、こいつらにもそれぞれ種類の違う安全装置が仕掛けてあって、基本的に人間専門みたいだ。
俺や戦闘員連中みたいな身体改造した連中は使えないし、実験してみたところ俺が脳を操っている人間に対する変身もキャンセルしやがった。
というか、どうも変身した瞬間ヘルメットの中に俺の命令を含んだ電波が届かなくなるっぽい。
まあ、正義の味方が悪役に使われたり、操られないようにしたりする為の装置だな。

最近そういうのが多いから困るんだよな。
上位のヒーローとかだとそれこそ魔法少女みたいなむき出しの頭部をしている奴でもほとんど標準装備だ。



手に入れた三つのツールはそれほどレベルが高いものではないにもかかわらず、生意気にもたまたま三つとも俺らへの対策が仕掛けてあるらしい。
うちが魔法ベースの秘密結社だったらまだ何とかなったと思うんだが、一応組織も俺も科学ベースだしな。
一応戦利品としてキラーアースに一度は差し出したんでそこでいろいろ試行錯誤をしたらしいんだが、結局ウォッカどころかドクタースピリタスも使えなくて俺に褒美も込みで返された。
まあ、そういった俺らが使えねえ正義の味方の変身道具って、すでに結構あるもんな。
三つぐらい捨てるぐらいの気持ちで与えても惜しくわねえってことなのかね。

ま、人を操る俺ならばキラーアースに都合のいいライダーを作る方法が何とか見つけられるんじゃないだろうか、っていう俺の能力に対する期待もあるんだろうが……甘いよなあ。
こいつを三つとも使いこなせて奇襲でもしたら、ドクターぐらいなら潰せるようになるぜ?
まあ、今はおとなしく従ってる振りしてやるけどな。



ってなわけで、俺や戦闘員連中を変身させるって案は却下だ。
蘭華はさておき、沙織や桃香には能力直接は使ってないから変身出来るかも知れないが、結局そうすると元々あった能力が使えなくなるんで、意味がない。

かといって捨てるのももったいないから駄目で元々、これはもっと有意義なことのために使おうと思う。



そう、最近のイケメンライダーブームに警鐘を鳴らすべく、これはその辺の四十代以上の中年男性に適当に与えてみることにしようじゃねえか。
ちょっと頭頂部が薄くなってて、腹が出てきているような奴が最高だ。

そんな親父が、大活躍!
イケメンによる日曜朝のヒーロータイムを奪い返して、朝からもっさりとしたおっさんタイムが始まることを想像すると、笑いがとまらねえ。

そうだよ、社会の第一線で働いてんのは大概おっさんだ。
ヒーローだけが例外ってのも変なんだよ。

そいつをうまいこと操る方法が見つかったならばよし、見つからなくても蘭華たちにぶつからなければキラーアースのテリトリーに放った新たな正義の味方は、少なからず組織の力を削ってくれるだろう。


ってなわけで、イケメンライダー抹殺指令、始まるぜ!







ターゲットはコイツ、室川雄太四十七歳。
御光院傘下の中小企業の課長補佐で、そこそこ仕事は出来て人当たりもいい。周囲の信頼も厚く、このまま行けば課長になれるかも、って感じらしいんだが、正直その辺はどうでもいい。

大切なのは、外見だ。
不細工とはいわねえ。
むしろ、貫禄があるといってもいいと思う。
ただ、間違っても若い女に「キャー」とか黄色い声をかけられる感じではない。

外見としては、こんな感じだ。

その見た目、バーコードで眼鏡で小太り。
背はそこそこ高いが、それでも最近は出っ張ってきた腹の方がその背丈よりも目立つ……完璧だろ?
完璧すぎるほど、中年親父ってかんじだ。もう、写真を見た瞬間コイツしかいねえ、と思ったね。

実際現時点で手に入った情報からやった簡単な性格分析の結果もごくごく普通の小市民と問題なさそうだったし、最近娘に嫌われてる、ってのも漬け込む側からすれば文句がねえ。




と、言うわけでまずは通勤途中のおっさんの前に、ライダー変身キットを落としてみた。


「これは!」


とか言い出した後いろいろ事件とか葛藤とか起こったけど、おっさん題材にしてそんなのいちいち語るのはメンドイから以下略。
ちなみに銃使いなので、たぶん途中でくたばると思う。

まあ、ヒーローになりたがらない男はあんまりいないってことだよ、いくつになっても。
最近の不況で給料が減り続ける中、倍以上に昇給する職場に転職できるきっかけがあったならなおさらな。


結果としておっさんは、保安局で働き始めることになりました。

中小企業でうだつの上がらないサラリーマン生活をやるぐらいだったら、ライダーになって一発当ててやろう、という気分になるのは分からないでもないだろ?
沙織みたいに正義感だけ強いガキじゃなくて、ある程度現実的に金銭を必要とする年代なら個人で正義の味方はしないだろ、って言う俺の読みは見事に当たったわけだ。
まあ、企業子飼いのヒーローになる可能性はあったが、御光院に飼われるのは今まで内部にいただけによしとしないだろうし(何せ、あんまりいい気分はしないであろう昨日までの職場の上司と顔をあわせる可能性があるからな)、御光院以外だったら結局そこの内情を探るというも区的には合致するので、問題はなかったが、まあ保安局が一番都合がいいのは確かだ。



さらに嬉しいことに、保安局に入ってからも予定はつつがなく進んで行った。
程よく世間にも慣れているので、保安局の言いなりになることもなく、結果としてツールに仕込んだ盗聴器もばれることがなかった。
ナニを恐れてんのかわからないでもないが、身体検査は愚かツールの調査さえ断ったんだ。

これはある程度予想していたとはいえ、賭けに近かった。
実際にドクターが試作品として作った複製劣化ツールをもう一人適当に選んだおっさんにも渡していたんだが、こっちはアッサリと失敗したんで、結構危ない橋だったと思うわ。


個人の資質が大事な魔法少女や改造人間系ライダーと違って、ツール系ライダーの場合道具さえあればある程度の素質だけで誰でも変身出来ることも多いからな。
場合によっちゃあ正義の心さえいらないことだってある。

保安局としても中年のおっさんに変身させるよりかはもっと若くて運動神経のいい奴に変身させたかったけど、それだけが今の身分を保証していることを十分理解しているおっさんは手放さなかったんだ。
このあたり、そこそこ優秀なサラリーマン生活経験者を選んで置いてよかったってもんだ。
もしガキなんかに渡したら、ほいほいと保安局の言うこと聞いてツールだけ取り上げられて放り出される可能性もあったからな。

まあ、御光院所属の正義の味方がライダーだって分かったばっかの時期だったから、どうせすぐ手に入ると思っていたし、いざ保安局の手に渡りそうになったら自爆させるつもりだったから失敗も覚悟の上だった。
実際、同時進行でコピーツールを渡していたもう一人のおっさんはほいほい渡してあっさり保安局放りだされてたが、まあどっちかでも成功すれば儲けものぐらいの認識でやっていたので、例え一人であっても「保安局に所属しているけどついこのあいだまで素人だった中年のライダー」というターゲットが作れたことにとりあえずは満足しようや。


一応盗聴器、という首輪も付いているから、監視ネットの届かない個人のプライバシー空間に対する配慮は十分だ。
後は落とす手段を考える材料としていろいろ調べるだけだ。

自分で選んだとはいえ相手はおっさんなので、桃香とか沙織見たいな落とすと即座に得られる役得がない。
と、いうわけでその辺も考慮の上でなんか美味しく、面白いネタを考えねばならんのだ。
個人的には、娘さんと搦めて何かをやってみたいが、未だにこれだ、という情報が手に入らない。


と、いうわけでしばらくそのまんま情報収集期間も含めて、放置してみた。
ちょうどメルティアイリス関係でこっちも忙しかったので二ヶ月ほど置いておいたんだが、これが狙ったかのようにいい感じに物事が進んだから、驚きだ。




雄太さん、娘さんがいらっしゃることは前にも書いたと思うが、当然ながら奥さんもおられる。
まあ、奥さんというよりも四十過ぎ照るからおばさんっつーべきなのかもしれんが、まあとにかくその奥さんが不審に思い始めたんだ。

基本的に保安局の職員、特に実働部隊には強い守秘義務が発生する。
まあ、身分を知られたら市民から恨みを買いまくっている巨大化系のヒーロー達にとっても都合が悪いし、前行ったようにジャニーズの追っかけ連中から無理やりツールの譲渡を迫られたりすることもあるから、これはどっちかっていうと所属しているヒーロー連中を守る為の規約だとおもうんだが、まあルールはルールだ。
おっさんもとりあえずは保安局勤めになったことは秘密にしてたらしいんだわ。


ま、これ自体は別におかしくねえ。
ごくごく普通のサラリーマンで、腹もたるんできたり足腰が弱ってきたりと体にもがたに来ていた年代の夫が、怪我とかするのが普通の職業に就いた、なんてこと、必ずしも理解してもらえるわけじゃねえだろうしな。
例えどれだけ自分は子供のころからこの食に突きたかったんだ、と力説したとしても、安定した職のほうをこのぐらいのもう女っていえなくなったぐらいの妻ってもんは望むものだ。


だから黙ってたんだろ。
うん、それ自体は全く問題がねえ。

だが、保安局の干渉を受けないほどに適度に社会を見てきた大人で、お給料が急に上がったことも妻にいえないのはちっとばかし不味かったんだろ。
ようするに、あんまりよくないお店へ通い始めた。



まあ、このおっさん別に正義感から保安局に所属しているわけじゃねえし、世の中の楽しみ方、ってのもちっさいころからずっと保安局で働いてて、国のコントロールを受けやすいように純粋培養されてる連中とはちっとばかり毛色が違う。
酒やばくち、女も好きなごくごく普通の、ただついこのあいだ変身出来るようになっただけのおっさんだ。

あんまりいないんだぜ? こういうある日突然変身道具を手に入れたおっさんは。
大概若いうちに偶然拾うか、訓練積んで上の人から授けられるかだ。
なんかの意志が働いてんじゃないのか、って思うぐらい、普通の中年のおっさんとか妊娠中の若奥さんだとか、足腰がったがたのおじいさんとかの前に現れることは何故か少ない、という統計もあるらしい。

当然、管理局としてもそれを利用しない手はない。
基本的に十代以下で正義のヒーローになった連中って、基本的に義務教育はサボるはまともに大学も行ってないわ、周りの大人はそれを是とするわで、正義と仲間のことだけしか考えないように密かに教え込まれてると俺は踏んでる。
酒やタバコってのすらやってんのは、個人でやってる正義の味方がほとんどだ。

実際、保安局所属のヒーロー全般の統計をとっても平均するとおそらく二十代前半になると思う。おっさんには厳しい世界なんだ。
ある一定の年齢以上になると、それとな~く後輩に譲るよう諭されてんじゃないかな、とな。



ま、そんなことは今回はどうでもいいや。
ようするに、普通の小市民だったおやっさんが、あるとき突然お金を手に入れたらやることはきまってるだろ、ってことだ。
帰りは遅くなる、いつも酒臭い、それでも今までどおり給料だけ入れていればいいだろう、という態度。

そりゃ、疑わざるをえないわな。
見る見るうちに夫婦仲が悪くなっていくのが盗聴器越しにでも聞こえた日にゃあ、世の無常さと夫婦という絆のもろさを痛感するねえ。 


で、そういう話って一端こじれたらもう後は一直線だ、転がり始めたらとまらない。
保安局に入っていたことを黙っていたことだって奥さんにゃあもう自分に給料渡したくなかったからにしか思えねえし、お店のお姉ちゃんらに比べりゃ長年付き添ってきてくれた妻があまりにも老けて見える。
どうやら奥さんの方も叩けばほこりが出るみたいだしな。

可能性として全く予想していなかったといえば嘘になるが、それでも確率はそれほど高くないと思っていたルートを見事なまでに通って、人の心を操る俺が驚くほどのスピードで幸せな家庭がツール一個で壊れちまった。
その速さったら、今までの二十年の結婚生活はなんだったんだ? って聞いてみたくなるぐらいのあっけなさだった。
いやもう、俺が手を下す暇もなかったね。


だが、いつまでもあっけに取られてみているわけにも行かないので、沙織を落としてようやく時間も作れた俺もそろそろお仕事をするべきかと思う。
そんなこんなで室川さん一家はただいま離婚調停真っ最中。
ちょうど多感な年頃の娘さんがさびしい思いをしている辺りで、そろそろ俺の出番といこうじゃないか。


保安局に依存していない、ってことは結局のところ、完全に足並みがそろっていない、ってことに繋がる。
ましてや離婚調停中。プライバシーの名目で保安局の警護をおっさんは遠ざけちまった。
利用しているつもりで保安局に所属している正義の味方連中は、このあたりで保安局を信用できてねえことも、俺のほとんど予想通りだった。

結局このあたりが、いろんな意味で正義の味方に成り立てなんだよ。
正義の味方って職業が俺らにどんだけ狙われてんのか、まだ実感があんまないからだろうがあまりに無用心ってもんだ。
基本的に力押しを好むとはいえ、俺みたいに監視網を逆利用している悪の組織は、多分ゼロではないはずだ。
それなのに……ってな。



しっかし、ここまであっさり進むと逆に詰まんないねえ……そのかわりに娘さんで楽しませてもらうか。

身内のガードも、生粋の保安局育ちのライダーに比べりゃあまあまだってことを、じっくりゆっくりとおっさんに教えてやるよ。
世の中、そんな美味しい話はそうそうないんだよ……あんたぐらい無用心だと、ライダーツールと引き換えになるのは幸せな家庭だけじゃあどうやら足りないみたいだからな。
これからも正義の味方として楽しもう、ってんならもう一つ、愛娘についてもBETしてもらおうじゃないか。



なあに、大丈夫、負けたとしてもすぐに買い戻せるさ……ライダーの力、っていう担保がある限り。
もっとも、それを娘の代わりに俺に差し出せば、そのときは正義ではいられなくなるけどな。



次の話

Comment

改造人間を略して改人。それを正義の味方や巻き込まれた一般人が勘違いして怪人。っていうのがどっかのSSであったような気が。

働くおっさんライダー…
ちょっと吹いたけど、微妙にカッコウイイと思えたのはなぜだ。

おっさん、おっさんが好きだ
なぜ世間はおっさんを評価しない
お父さんとの一緒に洗わないで、なんて、哀しすぎるじゃないか
非公開コメント

プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
検索フォーム
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。