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ドラゴンに首ったけ34

その34










いつもどおりの竜の間にて、いつもどおりブラッドとクーが竜の巣の運営について話をしていた。


「やっぱり定期収入がほしいなあ」
「一時激増した侵入者達もほとんど退治しちゃいましたら、結局残ったのはワルドぐらいでしたからねぇ……」
「いや、あいつらは結局ほとんど金持ってないからいてもいなくても関係ないんだが」


議題は、侵入者についてのことであった。何せ最近ここが攻略不可能とか言う噂が立って、さっぱりお客さんが来ないのだ。ついこの間まで結構な勢いで妙な連中が来ていたが、とにかく連中弱かったので駆除されるのもあっという間だった。タルブ村の住民達もさぞや気落ちしているだろう。


かつての世界において、竜の巣の侵入者は大体十代後半から三十代前半のものであった。その中でも、女性の侵入者はわずかに一割程度であり、捕獲した侵入者のほとんどが処女であった。

年少のもの、あるいは年寄りがいないのは何故か。
決まっている。三十代半ばを超えたものがめったにいないのは体力が持たないからである。

ある程度の備えが備わっている竜の巣といえば、あまたにあるダンジョンの中でも最高難度のものである。通常のダンジョンであればボスとして出てくる漆黒騎士やハンマースイングなどの人間と比べて強力すぎるほどの魔物が単なる警備兵として配置されているほど危険な竜の巣には、たとえ一流として名をはせていた冒険者や騎士達であろうと、体力が落ちてきた年代になると断念せざるを得ないのだ。当然、それに気づかずに進入を繰り返していた侵入者が死亡したり、身代金を払いきれなくなって破産したりすることによってがくっと人数がいなくなっている、ということもある。
新米冒険者がいないのもほぼ同様の理由によるものである。

では、何故女性の侵入者が少なく、処女が多いのか。
もともと、男性に対して筋力に劣る女性では優れた冒険者にはなりにくい、ということもあるのだが、それでは処女が多い理由にはなりはしない。

その理由とは、単純に今までの経験の問題である。最初期の財宝も強敵もろくにいないような初心者丸出しの巣をのぞいては、男に入れ込んでいるようでは、一心不乱に修行だけを続けていなければ、ごくごく一部の天才以外にとって竜の巣に潜れるほどのレベルになれないのだ。


つまり、それほどまでに竜の巣というのは危険な場所なのだ。
そんなことも知らずに竜の巣に入ってきた、ラ・ロシェールからの復讐者たちや討伐軍の生き残りは結局ほとんどがあっという間に全滅していた。自分達で自分達を倒すための魔物たちのレベルアップをさせるために登場したようなものである。

そのこと自体は別にブラッドたちにとって見れば何の不都合もない。ろくに実力も財産も持たないのに身の程知らずにも竜に挑んできたような、巣を騒がす雑魚どもがいなくなったのはむしろ歓迎すべきことである。連中まったく持って金持ってなかったし。
連中をごりっと倒すことである程度のレベルアップを魔物達が果たし、その結果としてなかった場合と比べてもワルド対策がずいぶん楽になったことだし。
が、おかげで竜の巣は難攻不落といううわさでも立ったのか、まったくもって侵入者が入ってこなくなったのだ(ワルド除く)。これは由々しき事態である。


「でも、完全に無一文のワルドよかましですよ」
「確かに……」


ブラッドたちの理想としては、まあ最終的に宝物庫にたどり着けない程度のレベルであればある程度の実力があってもいいから、金銭をある程度持っているような侵入者がくることが一番ありがたい。なんといっても竜の巣に配備している魔物たちの維持費だってただではないのだ。万が一の危険を考えると最近侵入者が来ないからといって、完全に巣の防御レベルを落とすわけにもいかない。
鍛錬しないと腕はなまってくるものであるし、そもそも、あのワルドは毎日欠かさず入ってくるのだ。そのため、ある程度の魔物を常に巣に貼り付けておかねばならない以上、侵入者からせめてその維持費ぐらいは巻き上げたいのだ。
自ら巣を閉じたわけでもなく侵入者のまったくいなくなった巣は、その油断によっていつか致命的な損害を受ける、ということは竜族の長い歴史が証明している。なにせ、いずれ商会からのバックアップが受けられなくなる危険性すらあるのだから。


そのことを考えればある程度の侵入者すらいないというのは由々しき問題なのであるが、ここのところ入ってくるものといえば……

・ 変なマスクとマントを身に着けたエビ男
・ いつもどおりの格好をしたかぼちゃパンツの似合いそうな王子様ルックのワルド
・ 何のつもりか鼻眼鏡をかけた二重髭の男
・ 誰かに強制的にひげをそられたのか、なんだか口元あたりにやたらと剃刀傷を残したどこかで見覚えのあるような男

などなどぐらい……というか、ぶっちゃけワルドの遍在しか来ていなかった。
最近はワルドだとわかると集中攻撃を受けると学習したのか一応奴は変装してきているのだが、微妙にセンスがずれているので、こっちからすればおちょくっているのか、と思うような変装しかしていない。
実にウザい。


まあそんなやつのことなどどうでもいい。とにかく、ワルドの遍在たちしか来ないなんて、はっきり言って収入になりはしない。
侵入者を一時的に増やすのであれば、簡単なことである。誰か一人ぐらい口の軽そうな冒険者を適当に選んで、わざと宝物庫に入らせてやればいい。一人で身につけて持ち帰れる量なんてたかが知れているし、なんだったら帰り道にモンスターを配備して取りかえさせればいい。竜の巣に多額の金銭があるということを知らしめるようなことをすれば、欲に狂った人間どもがあっという間に増えるだろう。

要するに、竜の巣には今のところ「名誉」を求めた人間しか来ていないのが、今現在巣にワルドしか来ないという問題の元凶なのだ。王国からの褒賞以外にも、竜の巣を攻略すること自体にうまみがある、と思わせることが出来ればもっとお金を持った侵入者は増えるであろう。

が、それによりいくら人数が入ってきたとしても、そいつらがまったくもって金にならなければ意味がない。
侵入者が増えるだけではいままでの雑魚が増える状態と変わらない。何とか、大金を持って入ってくる侵入者が必要なのだが……普通に考えればそんな連中なんているはずもないからブラッドとクーが困っているのだ。


あちらの世界であれば魔法装備、という高値で売れるものを竜の巣に入ってくるような高レベルの冒険者であれば必ず装備していたため、身包みを剥げばそれなりの大金になったのだが、この世界ではそれがないから困る。
そこそこ金になるものを持った侵入者を増やすことを、何とか考え出さねばならないのだ。


「何か対策を考えるべきかな?」
「いくら町襲撃による収入が多いとはいえ、このままではいつジリ貧になることかわかりませんものね……」


入ってくるのはメイジであれば杖一本と普通の服。平民であれば魔法もかかっていない単なる武器とそれなりでしかない量産品の鎧。そんなものを装備した連中だ。
どちらも商会が高値で買い取ってくれるようなものではない。

一応杖には宝石や貴金属などもつかわれているからそこそこの値段はつくのだが、それはあくまで宝飾品としての評価しかつかない。
こちらの杖はどうやら個人個人に合わせてカスタムされているらしいので、マジックアイテムとしてはまったく価値がないと買い取る側である商会に評価されてしまっている。まったくもってブラッド一行にはおいしくないのだ。
とにかくワルドが多くて強すぎるので、高価なモンスターが撃破されることによる損害がバカにならないのだ。





ブラッドとクーは散々悩んだ挙句………とりあえず、店を建ててみることにした。


「ぽんぽんぽん、と板を持ってきて置く私が才色兼備なメイドの41号」
「そして、かーんこーんかーんこーん、と一生懸命釘を打つ私は、かわいいメイドの18号!」
「さらに、ぺったぺたー、と慎重冷静にペンキを塗る私が、素敵なメイドの21号!」
「「「三人合わせて、我ら、土木メイド隊!!」」」
「あなた達、しゃべってる時間があるならその分も仕事をしなさい!」
「「「はーい」」」


と、いうわけであっという間にエリアセットによって「商売」こと店が出来た。が、この案自体は結構前からあったのだが、なんといってもここでは耳がとがっている=エルフ=人類の敵ということで、従業員がいないということで却下されたはずだったのだったが。


「作ったはいいが、メイドたちが店番に出るわけにもいかんだろ……変装魔法なんて使えるメイド限られているし、彼女らをずっとここに貼り付けておくのは効率が悪い」
「勿論、想定済みです。そこで出番なのが……」
「じゃーん、あたしたちでーす」
「なあなあクー姉ちゃん、マジで小遣いくれるの?」
「お店なんて始めてー」
「と、いうわけで、彼らです」
「………」


なんとも不安感をあおる台詞とともに登場したのは、テファのつれてきた子供達である。もともとメイドたちの補助として働いていた彼らだったが、ここに来て本格的にお仕事開始である。
彼らならば侵入者達も警戒しまいし、小さな子供達が一生懸命仕事をするのであればいきなり暴力行為を働くことへの抑止力にもなるだろう。今までそれとなくクーに諭されてきていたのか、かなりの手際で次々と商品を並べていく。

そんなクーの思惑などにはまったく考えをめぐらせないで、彼らを大丈夫かこんな子供で、となんとも言いがたい目で見つめるブラッドの視線に気づいてか気づかないでか、クーが商品の説明をし始める。


「とりあえず、こちらの技術水準に合わない武器関係の販売は見合わせることにしました。ベトを主力にする今のメイジ対策では、魔法武器なんて売っちゃったら瞬殺されてしまいますしね」
「では、何を売るんだ? 一番利潤の高い魔法武具関連を販売しないとなると、『結構な高額』で『持ち運びが出来』て、この巣を進んでくる侵入者達が『攻略に必要と思う』様なものなんてあるのか?」
「おまかせください!」


そう、ブラッドが上げた三要素を満たすものがないから、こっちの追い剥ぎ業が上手くいっていないのだ。が、クーは自信たっぷり、といった表情でとあるものを見せた。
あまり見覚えのあるものではないが、それでもそれなりに最近見知っていたそれをみて、ブラッドが驚きの声を上げる。


「おお、これは……」
「そう、マチルダさんの加入と某エロ伯爵その他もろもろからの情報と商会の技術力によって製造が実現した、こっちの世界の魔法媒体、杖です。本来であれば三日三晩の契約が必要であるところを、サービス期間でなんと半日、約10時間の契約で使用可能になりました!」
「何か微妙に胡散臭い気が……」
「勿論、伝統とか誇りとかを気にする貴族連中に売り込めるようなものではない宝石なども省いた実用一辺倒のものですが、逆に言えば実戦志向。竜の巣にもぐりこんでくるような魔法使いの傭兵なんかには売れると思いますよ」


さらに、マチルダさんにはこれや今まで集めた武器の固定化のほかにも、錬金で剣や槍などを作る練習もしてもらっています、と完全に商売人の顔をしたクーは続ける。これもマチルダさんの協力の賜物ですねー、と言うその顔には、ギュンギュスカー商会アルバイトとして一応自らの部下となることとなったマチルダに対する、いい拾い物をした、という喜びが満ちていた。

もともとテファを守るためとアルビオン王家に対する反発から盗賊業なんかをやっていたマチルダにとって、テファを保護しており、主に貴族から貢物を搾り取るつもりであると主張し、事実アルビオン王家から巻き上げた財宝を証拠として示した竜一味に協力するのはやぶさかではなかった。竜が大量虐殺を目的としていないというのであれば、その協力を拒むほど正義感に燃えているわけではないマチルダにとっては許容範囲内だ。
たとえその行為に一般人が巻き込まれようと、自らもそれほど綺麗なことばかりしてきたわけではないし、何よりテファとずっと一緒にいられるという労働条件も気に入ったらしい。


今はがんばって新たに製造系の錬金の使い方を訓練している。
シュペー卿のような貴族のための剣などのごくごく例外を除いては剣の製造なんていう卑賤な仕事に就くメイジは少ないから、土のトライアングルたるマチルダが作った剣はきっとよく売れるだろう。

そもそも、トライアングルメイジが落ちぶれること自体が珍しいのだ。ドットならばさておきトライアングルにまで行けば、マチルダのような特化型のメイジでない限りどこの国でも厚遇してくれるから、趣味でもない限り鍛冶屋の真似事なんて通常のメイジがやる必要はない。
このままいけば、トライアングルクラスの固定化のかかった武器が竜の巣内部で生産されるのも遠い日のことではないだろう。


ワルドに対抗してゴーレムで無限の兵士とかも考えたのだが、そもそもマチルダ巨大ゴーレムしか作れない。
さらに、流石に風と土ではこちらの魔法も使い勝手が違うらしく、ゴーレムは単純な命令で自立思考して動けるが、逆に言えば判断、という行為が出来るほどのものは属性的に不可能らしい。敵も味方も罠も施設も区別できないゴーレムを使うことは、迎撃部隊が巣自体の防衛も任務に含むことを考えると、あまりメリットがない。

マチルダが直接現場で操作するならばその面の不利はないが、術者が戦場に出てしまうとワルドの「自分は引き篭もって数で押す」という戦法の最大のメリットが消えてしまうためどの道使えない、ということで却下したクーが考えたのが、武器製造という新たな就職先だった。

ちなみに彼女はいまだにテファがブラッドの毒牙にかかっている、ということに気付いていない。別段隠しているわけではないのだが、めぐり合わせがいいのか悪いのか、いまだにマチルダはテファが普通に働いているだけだと思っている。
きっとばれたときにまた一騒動あるであろう。だが、今の時点では平穏そのものだった。
いまだマチルダはブラッドたちに気を許していないが、きっとその警戒も時間とともに霧散していくだろう。


「なるほど、武器の補充をよりしやすくすることで途中でやる気を失わないように仕向ける上に、始めから巣にある程度の金銭を持ち込ませる、ということだな」
「はい。ですが、それだけではなくしたり壊したときに一回買ってしまえば終わりですので、こちらのマジックアイテム、『飛翔の耳飾り』を販売します。これは瀕死の重傷をこの巣の内部で負ったとき、強制的にその身一つで洞窟の外に放り出すアイテムです」
「…………微妙に会社が違うような気がするのは気のせいだろうか」


微妙にジャンルが似ているとはいえ、明らかにギュンギュスカー商会が扱っていない感じの商品に、思わずブラッドが突っ込んでしまう。それは天使とかが取り扱っているアイテムではないだろうか。あと、羽の生えたナスとか。
が、そんな言葉など意にも介さずに、クーは何故これを販売するのか、というメリットの説明を始めた。


「気のせいです。これによって、巣の内部で死亡する侵入者が減ります。さらに、転移するときにおいていかれる武器やアイテムを回収して再度店で販売することで丸々利益が出ます。死なない侵入者にも、死体の後片付けをしなくていい私達にも便利なアイテムですね」
「……まあ、確かに便利は便利だが、どうもそれは入り口あたりでカップ麺とやらを求めていた連中の会社の製品の気がしてならないのだが……」
「気のせいです。商会が大量仕入れしたことでかなり値が下がっていたこれの権利を一括で買い占めましたから、しばらくの間は安定供給が出来ます。原価も安いですしね」
「……まあ、便利ならいいか」


あくまでスルーするつもりらしいクーに対してそれ以上の追及を諦めて、ブラッドはその案を了承した。彼だって別に好き好んで侵入者を殺したいわけではないのだし。巣が汚れるし。
侵入者をあまりに保護するような方法をとり、一定以上の人数がこられては地の利という竜の巣の最大の利点を人海戦術で押しつぶされることになりかねないが、まあその時は飛翔の耳飾りの販売数を減らせばいいことである。なんだったら、使用回数や使用期限を決めておく消費型のマジックアイテムということに調整してもいい。その辺は金額しだいでどうとでもなるだろう。

と、このような経緯でギュンギュスカー商会竜の巣店の目玉商品、飛翔の耳飾りの販売が決定した。労働基準法などというもののないこの世界においては、子供たちへの賃金など衣住食に加えてお小遣い程度でも充分。こっそり緊急事態用にマチルダも店の奥に配置しておけば柄が悪いやつらへの対策も充分だろう。最初のうちは変装魔法を使えるメイドを何人か定期的に巡回させてもいいだろう。充分店を出すことは利益になるだろうと。

そのほかにも、最近ではそこそこ売り上げが伸びてきているブラジャーの限定品や、ここでしか手に入らない彼らの世界の魔法薬、あるいはダンジョンを進めていくために必須な携帯食料などもこっそりと置くことに二人で話し合って決める。はたから見ればアホのような提案だったが、二人はそれなりに真剣である。

さらに。


「あと、やっぱり巣―――というかダンジョン―――には宝箱を置くのが定番ですよ?」
「……アレは設置するたびに、何で自分の家の各所に侵入者に取られやすいようなちゃちい仕掛けでモノを入れなきゃならんのかと疑問が起きるんだが」
「まあ、対費用効果を考えてやればある意味安上がりになりますよ。最初だけちょっといいものを入れておけば、後は勝手に引っかかってくれるんですから」
「そうなんだが、なんか釈然としないんだよな」


ダンジョンにはよく宝箱、という存在が設置されていることが多い。侵入者からしてみれば、その宝箱に仕掛けられた罠さえ解除できれば、高確率で何らかの財宝が手にはいるこれは、実に誘惑の強いものである。
かつての世界では古代文明の残した遺産であるとか、盗賊が隠した財宝であるとか言われていた宝箱であるが、普通に考えてそんなものがそこら中にそうぽんぽん転がっているわけがない。

アレは、攻略される側であるダンジョンの主がわざわざ仕掛けているのである。

いかにも解除して見せろ、といわんばかりの罠を仕掛けた宝箱や、強敵の後ろに仕掛けた財宝。解除に時間と集中力を使わせ、背後からの攻撃や宝物に仕掛けた罠などに引っかかる確率を少しでも上げ、モンスターが逃げ出したときにそちらに気をとられて止めをさせないように仕掛けてあるのだ。
勿論、相手に割に合わないと感じさせないようにダンジョン全体の難易度や入ってくる侵入者の種類などによって細かく中に入れる財宝の類を調整する必要があったが、装備や貴金属などであれば基本的に劣化しないのでほとんどメンテする必要はないし、特に人員が必要なわけでもないこれらのものは、地雷などと同じように実に安価な「兵士」として利用されているのだ。

こちらのハルケギニア大陸に「ダンジョンに宝箱」という概念があるのかどうかは現時点では不明だが、適当に噂をばら撒いたあとにその調整をちょっと甘くしてやれば、新たな「小金を持っている」侵入者達を増やすための実に甘い罠になる、とクーは断言する。なにせ罠付き宝箱の販売が商会のセールスでもかなりの好調であることを知っての発言であるから、それなりに説得力があった。
なんとなく侵入者達を無駄に儲けさせるだけのような気がしていたブラッドであったが、一時的なものであれば、と最終的にはこちらの巣でもそのクーの提案を受け入れた。

この他にも新たな罠や仕掛けのことで二人はいつまでも話し合い続ける。とりあえずは店だけのつもりだが、場合によってはカジノや休憩所、宿屋などを設けることも検討課題に入れる。
竜の巣において、こうしなければならないという決まりなどないのだ。全ては主の意向によってきまる。何なら、人間から略奪しないで商売だけで財産を増やしても、それはそれで主であるブラッドの力として認められる。リュミスとて、別にブラッドが肉体的に強くなることを求めているわけではないし。




「はいはい、いらっしゃい」
「ただいま『きゃんぺーん』中にて二割引です~」
「そうです! 竜にお金を払ってここで商売する権利をもらったんです。私達、孤児だから…………あ、お買い上げありがとうございます!」
「なー兄ちゃん、これも買ってくれよ」


こうして、なんだか人に恐れられるはずの竜の巣にしてはやたらと侵入者にフレンドリーな施設が出来上がった。ブラッドたちの思惑とは裏腹に普通に買い物だけに来たりするものもいないわけではなかったが、おおむねいい感じに回っていた。
これを油断ととるか、余裕ととるかは侵入者しだいであるが、すくなくともブラッドとクーは今回の店や各種施設の建設について満足していた。




おまけ

ギュンギュスカー商会春の新作商品カタログより

飛翔の耳飾り―――
装飾品型のおしゃれなデザインのマジックアイテムです。商会での改造により、身に着けたものが特定の準備範囲内(通常は竜の巣内部でしょうが)で瀕死になった、あるいは即死したとき予め登録しておいた拠点までこのアイテムを除いて「全裸」で転移させるという特殊効果を持ちますので、侵入者に売りつければお部屋を汚すことはありません。なお、罠、精神力切れ等では発動しないのでこれで捕獲もだいじょーぶ。
木の枝型、盆栽型など多数の類似商品もご用意しており、また再改造も承っておりますので、お気軽にスタッフにお尋ねください。ちなみに特許出願中につき原理についてのお問い合わせはお断りしております。

100品以上同時にお買い上げいただきますと、送料、振り込み手数料が無料になりますので、この機会にぜひまとめてお買い求めください。



ピキーン

ブラッド のステータスが更新されました。

竜の巣 に 商売 を 設置 しました。
200 百万B を支払いました。


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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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