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ドラゴンに首ったけ27

その27










「で、その店はどこなんだ、サイト?」
「確かこっちだったような……」


ルイズ、サイト、マリコルヌ。
人数構成とそれらの服装のみを見た感じでは、貴族のカップルに従者という名の雑用係が一人というまあ良くある感じの三人が、街中を歩いていた。が、少年二人が対等な口を利きあい、その後ろを散歩下がって少女が控えているように見えるその構図が、すれ違う人々からその三人の関係を分かりづらくしていた。

本来であればマリコルヌの希望によってタルブの村へと直行するつもりであったのだが、途中でルイズが寄りたいところがあると言い出したからだ。サイトにたきつけられたとはいえ、何もいい謝罪の言葉が思い浮かんでいなかったマリコルヌも時間を求めるという意味で一も二も無く賛成した。


ルイズの目的はただひとつ。伝説の魔剣デルフリンガーを手に入れることだ。
サイトが未来からやってきたというのであれば、この世界には現状においてガンダールヴであるサイトが所有している「デルフ」の他に、もう一本の「デルフリンガー」があるはずである。
一応ルーン自体は反対の手で槍を持つように作られているとはいえ、二刀流用として作られていない武器をガンダールヴが使いこなせるかというと微妙なところがあるため、武器として両手剣であるデルフリンガーをもう一本所有する必要性は乏しいが、だからといって放置することも無いであろう。

サイトは使えないかもしれないとはいえ、仮にも伝説の魔剣。
それを破格の値段で手に入れられるのだから、これを逃す手は無い。
ある意味ガンダールヴ専用装備である以上サイト以外の人間が真の意味で使いこなせるとも思えないため、あの竜には効かないかもしれないが、それならそれでいくらでも使いようがある。自分が剣としてではなく、ありとあらゆる魔法を防ぐ盾として使ってもいいし、なんなら今後の軍資金のためにも転売するというのもひとつの手であろう。
公爵家の娘とはいえ、両親にこれ以上心配をかけるような竜討伐のため、と言えない以上それほど資金に余裕があるわけでもない。改めて、今まで散財ばかりしてきた己の考えなさを悔いるルイズ。
まあ、今回はギーシュとの決闘で高価な水の秘薬を購入するような怪我をサイトがしていない分、多少の余裕はあるのだが。

あの竜を倒すためには今後いくら策と準備を用意しても十分とはいえまい。そのため、ここでデルフリンガーをもう一本手に入れる、ということはルイズにとってマリコルヌの名誉なんかよりも何倍も大切なことだった。


「あ、あったあった……って、あっ!」
『ありゃーとごぜーましたーっ!』
カラン コローン


サイトの声にしたがって、ルイズが目線を向けた先にはサイトから聞いていた佇まいの武器屋と……そこから扉に付いたカウベルを鳴らして錆びた剣を持って嬉しそうに出てくる、見覚えのある少女がいた。


「どうしたんだ、二人とも? 見つかってよかったじゃないか」


サイトはいきなり見覚えのある剣が買われていることに、ルイズはそれに加えて少女に見覚えがあったことで固まっている中、詳しい事情をまったくもって聞いていないマリコルヌがのんきな声を上げる。ちなみにルイズもサイトも、デルフリンガーのことをまったくもってマリコルヌに対して教えていない。
自分のことでいっぱいいっぱいなマリコルヌにこれ以上重石を載せることはサイトは望んでいなかったし、ルイズにしてみればそもそも今まで自分を馬鹿にしてきたマリコルヌなぞを一朝一夕に信用できる筈もなかった。
使い魔が離反したということ以上に、今のルイズの精神状態には彼女を馬鹿にしてきたメイジの存在も深くかかわっているのだから。

まあ、そんなことはさておきマリコルヌに声をかけられることをきっかけに硬直が解けたルイズは、どうしようと情けない視線を向けてくるサイトに一つ目線を投げかけた後、すぐにその少女に声をかけた。


「ねえ、あなた」
「え? ……っ、ルイズ様!」


ルイズは彼女に見覚えがあった。同時に、彼女もルイズを覚えていたらしい。声をかけたことですぐに振り向き、驚いた表情を見せた彼女を見て、ルイズはそう思う。

そう、ルイズ達に先立って、でにデルフリンガーを買っていた少女は、竜の巣から逃げる最中、「何故か」何度となくルイズと出会ったメイドの少女だった……ルイズは知らないが、ギュンギュスカー商会の仕官にして、クーの部下であるメイド38号である。
メイド38号も、まさか任務が終わってからもルイズと出会うとは思っていなかったのか、驚きの表情を貼り付けている。もしや、自分の素性がばれてつけられていたのか、と思って逃げ出す機会をうかがう38号だったが、彼女にとっては幸いなことに―――ルイズにとっては不幸なことに―――ルイズは未だ彼女があの竜の僕であるとは気付いていなかった。

そのため、彼女の表情には気付いてもせいぜいヴァリエールがどれほどの大貴族なのか王都で思い知ったのだろう、ぐらいにしか思わなかったためにこやかな笑顔で少女に語りかけた。


「久しぶりね、あなた」
「え、ええ。またお会いできて光栄です、ルイズ様」


本心ではがっちがちに緊張していた彼女に、いくつかの言葉を投げかけたルイズであったが、やがて何故自分の目当てのものを彼女が所持しているのか、という本題に入った。
まさか、何年も武器屋の片隅でほこりをかぶっているような武器を自分たち以外に買うようなものがいるなどというのは、彼女にとって想定外の出来事だったからだ。が、彼女から帰ってきた台詞はルイズの望むようなものではまったくなかった。


「その剣はどうしたの?」
「あ、これはですね、こちらに用事を言いつけられた後に、連……い、いえ、メイド長に何か珍しいものをご主人様のためのお土産として買ってきなさい、とお金を渡されまして」
「………」
(可愛くねえ?)
(ああ、いい感じ。やっぱりメイド服は正義だ……それなのに僕はなんてことを!)
(だから落ち着けって)


なんだか馬鹿なことをしている二人を無視して、ルイズは目線で話を促す。それを受けて多少は気が楽になったのか、少し口調を崩して親しみやすいしゃべり方になってきたメイド。
まあ別に、平民だからといってそれほど蔑視しているわけではないルイズが気になるほどではなかったが、彼女は明らかにメイドとしてはゆるすぎた。

しかし、そんな違和感にもなぜデルフが、という驚きでいっぱいいっぱいのルイズは気付ける余裕などなかった。


「何かないかなあ、と思って手当たり次第にお店を巡っていたところ、見つけたのが……これです!」
『いよう、娘っ子』


調子に乗ったのか、どどーん、といった効果音まで背負ってメイド38号が見せたのは、言うまでもなくインテリジェンスソード、デルフリンガーだった。
ルイズとは面識がないはずなのにやたらと軽いその剣は、メイド38号に触発されてかやたらと親しげに挨拶をしてきた。
そんな一人と一本をルイズはうつろな瞳で見つめる。だが、二人はそれに気付かずに楽しげに言葉を続ける。


「デルフちゃん、って言うんです! 私武器屋にもはじめて来たんですけど、しゃべる剣なんて聞いたこともなかったんでびっくりしてしまって」
「……そうなの」


嬉しそうに見せびらかす彼女を見て、ルイズは言葉に詰まった。どう見てもそれは、自分が購入しようとしていた伝説の剣だった。
しかし、そんなルイズの態度にまったく気づく様子もなく彼女は言葉を続ける。


「何とか手持ちのお金で買えるぐらい安かったのも決め手ですね! ご主人様が珍しいと思うほどのものを帰るかな、と思っていたんですが、デルフちゃんが見つかって本当に良かったです!」
『そんなほめるられると照れるねえ』
「いえいえ、いくら言っても言い足りないですよ~」


インテリジェンスソードはこの世界においては、世界に一振りしかないというほど希少なものではないが、だからといってそん所そこらで二束三文で帰るほどありふれたものではない。デルフとて、見た目が錆び錆びのボロ剣でなければサイトから聞いたような金額で買えた筈もない。メイドの彼女に任された程度の金額で買えるものの中では確かに最上級の珍しいものであろう。

それはすなわち、彼女がデルフを手放す可能性がかなり低いということだ。


買い受けようにも、貴族であろう主への土産と言うからには買った金額にちょっと上乗せした程度では承知しまい。唯一可能な手段といえば、新たなインテリジェンスソードと交換という形になるであろうが、新たに他のまともなインテリジェンスソードを買えるほどの金銭を渡せるほどの手持ちは、ルイズにはない。おそらく、マリコルヌにもないであろう。
手持ちのものの中で最も高価であろう水のルビーを売り払えばそのぐらいの金額にはなるかもしれないが、この指輪の本当の価値を知った今、そのような方法など取れるはずがない。

そしてルイズは、己のものというわけでもない平民に対して強く出るほど傲慢な少女でもなかった。かつての世界でサイトに辛く当たったのも、メイジである自分が呼んだ使い魔が、なぜ平民なのか、というコンプレックスの裏返しだったのだから。

その結果として、今すぐ必要というわけではないとしても、みすみすお宝を見逃さなければならないことに歯噛みするルイズ。そして、その彼女を尻目に、美人ではないもののかわいらしい容姿をしたメイド38号に目じりを下げるサイト。その服装によって自らの罪深さを思い返されて、おたおたするマリコルヌ。


なにやら挙動不審な三人に、メイド31号は大げさに言葉を紡いで首を傾げてみせながら、いっそ転移魔法で逃亡しようか、と頭を悩ませていた。
ちなみに転移魔法。魔法陣のないところにはいけないが、その魔法陣を描いてある巣に帰るために発動するのは一瞬だ。

こうして、ひそかにサイトが抱いていた夢、デルフリンガー二刀流なるものは幻に終わるのだった。もっとも、そのおかげでサイトは更なる選択肢を見つけることとなるのだが。








ところ変わってこちらはご主人様side。


「いったい何なんだ、あいつは!!」
「……とりあえず、御主人様。落ち着いてください。もっと竜らしく、優雅に、気高い態度を心がけて」
「そんなこと言ってる場合か!」
「まあまあ、そんなに取り乱してはあのワルドの思う壺ですよ?」
「これが落ち着いていられるかーーー!!」


竜の巣の中央、ある意味玉座にて。いつもどおり侵入者の報告を受けていたブラッドだったのだが、侵入者の内訳をクーに聞いたとたん、いきなり立ち上がって叫び始めた。
それを聞いたクーもブラッドに竜たる自覚を、と促したものの表情としてはブラッド同様うんざり、といったものを浮かべている。

二人がこんな態度に出ているのは、とあるトリステイン王国からの侵入者のせいであった。
そう、先ほど名前が出た、ワルド―――ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドのせいである。


ある日唐突に、なんか付近の村に王国からメイジが送り込まれてきたらしい、とのうわさが竜の巣に流れてきた。娯楽の少ないこの時代、噂話はあっという間に各地に広がるのだ。
そのメイジが、どうやらこの竜の巣の攻略を目的としているらしい、ということも。

その時点では、ブラッドもクーも、このたかが一魔法使いに対してなんら脅威を感じていなかった。
確かにあんまりモンスターが育っていない今の時点では侵入者を歓迎している訳ではないが、だからといって巣の入り口をふさいでしまっては今後のための経験値稼ぎにならないし、追い詰められた人間どもが何をするかわからない。あくまで、この巣を攻略すれば、竜を倒せる、という希望を与えることも必要なため、この時点ではモンスターの警戒度を上げる程度でこの一侵入者を放置していた。

その認識が変わるのに、わずか四日しか掛からなかったが。


ワルドが巣に入ってきた当初は、結構強い侵入者だな、というのがブラッドとクーの共通した認識だった。
割と攻撃力の高い魔法を使える上に、かなり剣の腕も立つ。

とはいっても所詮は魔法使い。必殺系の攻撃まではさすがに持たないようだったので、何とか対処が可能であったが、それでも結構奥まで侵入してくる。

そんじょそこらの雑兵ではないな、と結構な高評価を与えてはいたが……前線で戦う魔物たちにとっては必死になるべく相手であっても、経営者側の彼らからすれば所詮はその程度。王国から直々にメイジが送り込まれるということで、すわ、ヴァリエール夫妻襲撃再びか、と最大限の警戒を行っていたブラッドを安心させる程度だった。

そして数日後、地味にモンスターたちを何体か倒されながらも、それでも何とか罠によってこのメイジを捕獲することに成功した、との報告がクーの元に届いたことで、その認識はそのまま固定された。
ああ、やっぱりただの魔法使いだったか、と。


そのころには、ブラッドのコレクションいくつかで手懐けた王国の某「波濤」伯爵からの情報で、この侵入者についてのいろいろなことがわかってきていた。


名前はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。
おヒゲの素敵な26歳。
若くしてここら辺を収めている国トリステイン王国の魔法衛士隊の隊長を務めているほどの将来有望な魔法使いらしい。
二つ名は「閃光」。
竜の横暴に据えかねて、王家からじきじきに許可を貰って単身この竜の巣に挑んできている勇気ある青年。


などなど、わりとワルドの素性はあっさり割れていた。
家臣に預けっぱなしとはいえ、一応領地を経営している子爵らしいので、身代金もそこそこ出るであろう、と足音も軽くクーは牢に向かったのだが……そこにいたのは、困り果てた表情をした部下だけだった。

牢に目をやると、誰もいない。
何でも、杖を奪って武装解除させるとあっという間に消えて―――文字通り跡形も残さず宙に向かって溶け込むように―――しまったらしい。奪った筈の杖すらいつの間にやらなくなっていると聞いて、クーは首をかしげた。
どう見ても部下はうそをついているような感じはしないし、自分に対してそんなことをやろうと思うようなものでもないだろう。では、いったいいかなる手段で相手は逃げ出したのか。
ここの牢屋は、杖を使わないかつての世界の魔法使い対策に転移魔法防止用の障壁を張られているはずなのに、いったいどこに消えたというのだろうか?

クーは、己が捕らえたワルドが、実はその「分身」であったことに最後まで気付けなかった。
このような魔法など、完全に彼女の認識外のことだったのだから。


「何なんだあいつは! 一匹見たら後三十匹いると思え、ってことか!?」
「遍在という風属性の魔法のはずです。はあ、こんなに厄介だとは、思っても見ませんでしたね」
「厄介すぎるぞ、まったく」


そう、彼の得意とする魔法は、己の分身を作る風のスクウェアスペル 「遍在」 である。
ある魔法を使いながら別の魔法を使うことは出来ないというこの世界における魔法使用上の大原則すら歪めて、魔法によって生み出された分身が別の魔法を唱えることすら可能とする凶悪な魔法。そう、ブラッドたちが捕らえたのはその風の魔法で作り出された分身だったのだ。

これこそが風属性を戦闘において最強とまで呼ばしめた魔法であるが、本来であればこれはそんなにぽんぽん唱えられる魔法ではない。
なにせやたらと精神力を喰うので、普通のスクウェアメイジであれば数日に一体、それも短時間しか持たないものをせいぜい自分の有視界内で制御するので精一杯だ。あのトリステイン王国始まって以来の風の使い手、烈風カリンですらごくごく近距離で制御することが精一杯、というこの魔法と、ワルドは性格的にやたらと相性が良かったらしい。
なんと彼は一日四体以上作り出せる上に、かなりの距離の遠隔操作まで可能なのだ。

ワルドがこの年齢でグリフォン隊の隊長になったことには、それなりの理由があるということであろう。


粘質的でその精神の奥底にどろどろとしたものを抱えているワルドと、術者自身とほぼ同等の思考能力と、若干劣る戦闘能力の分身を作り出す魔法、遍在。
この二つが合わさったとき、この地にブラッドたちにとって烈風カリンにも劣らぬ化け物を生み出すこととなった。


本来洞窟のような淀んだ空気の中では風魔法はその本領を発揮できないはずなのだが、もともと深層意識レベルで淀んでいるワルドにとってはむしろ水が合ったようである。
それからワルドの怒涛の攻撃が始まったのだ。

一度つかまったことで吹っ切れたのか、もはや自分が分身魔法を使えるということに対する偽装すら行うことなく毎日毎日巣に送り込まれてくる平均三、四体のワルド。


雨の日も、風の日も、嵐の日も、気温が高くて蒸し暑い日も、ちょっと肌寒い日も。
倒しても、捕らえても、殺しても、送り返しても、ワルド、ワルド、ワルド。
朝食中にも襲ってきたし、就寝中にも襲来してくるスクウェアメイジ(分身)。
まさに、おはようからおやすみまで、暮らしを見つめるワルド。


そう、ワルドは本体である自分はどっか別の場所に引きこもったまま延々と竜の巣に遍在を送り込んできているのだ。


確かに一体一体は、ヴァリエール夫人のように化け物じみて強くはない。あくまで、かなり強い魔法使いレベル。
ある程度のダメージを与えれば消える上に、死なない余裕からかどうしても回避行動に必死さが足りないということで防御力も高くなく、フェイやガンジェットまでいかなくても、そこそこスキルのあるヘビサンマンやミックスなどが数体であたるのであれば十分対処可能なレベルだ。まあ確かに、経験値稼ぎにはならないでもない。


が、とにかく数が多い。しかも毎日毎日週八日ペースでやってくるのだ。
さらに悪いことに、分身なので身代金や装備品の略奪が出来ない。防御力はそれほどないとは言え、攻撃自体はライトニングクラウドなども使えると割と強いので、ベトやリトルハットなどではレベルを上げる前に殺されてしまう。
剣技もそこそこあるので、せっかく購入したイモモ部隊もいまいち効果を発揮しない。怖くてレベルが低いレアモンスターも出せない。

未だにモンスターがそれほど育っていない今の竜の巣にとっては、強さはそこそこあって無一文という彼の遍在はまさに脅威以外の何者でもなかった。

なにせ失敗しても分身が消えるだけなので、罠に掛かることも、体力の消耗も恐れず、ただただ奥を目指して全力で戦いを挑んでくる。
しかも単騎。
侵入自体を発見しづらいからモンスターの配備が遅れてヒヤッとすることも二回に一回ぐらいある。

ブラッドたちにしてみれば、うざったいことこの上なかった。
もはや姿を見るのも嫌なレベルである。


「クー! 何とかならないのか?」
「何とかといわれましても……一応商会にはイモモの因子の発現が起こりやすいミックスの開発を依頼してはいますが、現時点ではなんともなりませんよ」
「はあ、何でここはこんなに予定外のことばっかり起こるんだ」
「辺境ですから」


どしん、とソファに座り込んだブラッドを、そばに控えているクーも困りながら見つめる。
ワルドのベースキャンプになっているらしいタルブの村を襲撃する、という案もなくはないのであるが、ある侵入者が強いからといって村を襲う、というのではやがては侵入者も貢物もこなくなってしまうだろう。

魔物を使っての略奪はそれほど多用できる手段ではない以上、現時点では貢物がこの巣の生命線である。現時点でその「村を襲われたくなければ貢物を」というルールを守っているタルブの村を襲うわけにも行かない、とやはりこの案をブラッドに提案する前に自分の中で却下するクー。
かといって、現在竜の脅威を周囲に知らしめている最中である以上、王国に対して「ワルドの派遣をやめろ」と脅迫するのは遍在が竜の巣に効果があると知らしめているようなものである。かつての軍隊の派遣をとめるためにルクルを誘拐したような手は使えない。
結局、超有能な執事であるクーをもってしても、やれやれと首を振ってみせるぐらいしか対策を取れなかった。
そんな彼女の前に、メイドの一人があらわれる。

そう、新たなワルドの侵入の報告だった。


ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。
トリステイン王国魔法衛士隊グリフォン隊隊長でありルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの婚約者。そして、その実態は力を求めるあまりにレコン・キスタにその身を投じた裏切り者。

卓越した力を持ち、それでも主人公には成れなかった彼だが、そんなに強くないけどなかなかいなくならないというただただひたすらにうざったい彼の戦術は、ブラッドたちにとっては紛れもない厄介なものであった。


ピキーン
トリステイン王国 のステータスが更新されました。
ワルド が タルブ村 にて独自行動を取っています。

ブラッド のステータスが更新されました。
第六ベト部隊 第八ベト部隊 第十三ベト部隊 第一モエルモン部隊 第二ハンマーヘッド部隊 が壊滅しました。
第三ベト部隊 第一イモモ部隊 第四シザービートル部隊 が行動不能になりました。


その28へ

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ワルド地味にうぜぇwww
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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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