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ドラゴンに首ったけ19

その19









「なんのようだい?」
「あの竜にさらわれたエルフを助けるために力を貸そう」
「!!」


久しく使っていない名前を呼ばれ、さらにテファのことも知られている現状に、何故そのことを、と問い詰める余裕も無くマチルダは息を呑んでその男を見つめる。
だが、そのことを問い詰める前に、事態は思わぬ方向へ急展開を見せた。


「待て!」


突如、二人を囲む形で多数のメイジが出現した。服装から察するに、どうやらアルビオン王国軍である。まあ、トリステインやアルビオンをメインに活動している土くれのフーケとしては、狙われても仕方が無い身の上ではあるが、まさかこれほどまで大規模な追っ手が来るとは、とフーケはにやり、と笑う。
彼らは直接的に手を下したわけではないにせよ、紛れも無い自身とテファの仇なのだから。
即座にゴーレムを使って殲滅しようとしたフーケだったが、そこから己が思いも及ばぬ展開へと進んだ。


「貴様、貴族派の手先だな。その女の身柄は、ウェールズ殿下の命によりこちらがいただく!」


なぜか連中は、仮面の男に向かって魔法を放った。究極的にはこちらを捕らえようとしているという目的事態に変わりは無いようであるが、どうもその相手が見ているのが、「盗賊」のフーケに対するものではないように思える。実際彼らはこちらに対してなんら注意を払っていない。

では、彼らは土くれのフーケではないただの女を、何故こんな大勢で捕らえようとしているのか?
その答えが出ないままに、妙な男とアルビオン王国軍との戦闘が始まった。
アルビオンにはそれほど優れたメイジがいない。この近隣で唯一大規模な航空戦力を持っている、自国が空にあるため他国に攻め入られにくい環境にある、という事実から、ある意味他国からの侵略の危機を受けたことが無いアルビオン王国軍は、ありていに言ってしまえば弱兵ばかりなのだから。
そして、ご存知の通り我らが変態マスクマンは、面と向かっての戦闘では烈風カリンには及ばないかもしれないが、その戦法のいやらしさとうざったさではそれ以上。最強に数えられるメイジの一人である。


「ふん、雑魚が……」
「囲め囲め! 相手は一人だぞ」
「ちっ、ユビキタス・デル・ウィンデ……」
「うわ、ふ、増え……遍在、風のスクウェアか!」
「怯むな! すべては王国のために!!」
「邪魔だ!!」


いらいらいらいら


そんなわけで男一人とアルビオン王国軍数十人は割りといい勝負をしていたのだが、それを横目においていかれた形となっていたマチルダの心は決壊寸前だった。
こっちは急いでいるのに、訳のわからない変態野郎に声をかけられたかと思えば、なぜかそいつがこっちの事情を知っていた上に、自分の身柄はいきなり乱入してきたアルビオン王国軍にまで狙われているらしい。
いきなり目の前で言い争いが始まるわ、あのマスク男は高難度の魔法である筈の遍在をあっさりと使うわ、こっちの事を完全に無視して本格的な魔法合戦が始まるわと、はっきり言ってマチルダに面白くないことばかり始まった。

そもそも、彼女は王族とやらが嫌いだった。
普段はえらそうな、お奇麗事をしゃべっていながら、裏では夜盗よりも下劣なことを繰り返すような連中だ。貴族から今の身の上になった今では心底そう思っていた。
ましてや、自らの家名を剥奪し、ティファニアを追放したアルビオン王家の言うことを聞くつもりなどかけらも無い。

もう一方も、得体の知れないマントマンなんて外見だけですでに怪しくて信用できない。顔を隠さなければならないということは、自分と同じく何かやましいことがあるということだろう。そんな相手にテファのことを知られたというのは大失態だが、幸か不幸か彼女は竜に攫われている。この場でこの男を振り切ればテファにこんな変な男との接点を持たせずにすむ。
さっきは動揺してしまったが、誰がこんな怪しい男の助けを借りるものか、と改めて思う。


そして、ついさっき気づいた事実。どうやら、テファが自分にあてた手紙には、開封された跡があるようだ。自分がつけたものではない不自然な折り目が少々入っている。
確かにそうでもなければ、あの男が自分の事情を知っていることの説明が付かない。

いや、もう一つ可能性があるか。王党派もどうやら事情を知っているらしいので、この手紙を開封したのは王党派。
では、何故あの男も事情を知っているのか……おそらく、テファがさらわれた瞬間を見ていたとしか考えられない。


どちらにしても、テファがさらわれるのを見ていながらそのことをこちらとの交渉材料にしようとする男か、そうでなければ勝手に人の手紙を開封した男ということである。信用なぞできる筈も無かった。何らかの縁故があるならばさておき、マチルダはこの男に牢獄にはいっているところを助けられたなんてことも、瀕死のこの男に応急処置を施したりして助けたことも無いのだ。こんな怪しい男についていく気などさらさら無かった。


というか、正直そんなことより早く行かないとテファが! という気持ちの方が大きかった。こんなところで足止め食らっている間にも、あの純真無垢で疑うことを知らないテファがあの凶悪最低な竜の慰み者になっているかもしれないのだ……しかも、あの文面からするとひょっとすると本人は自覚さえしていないかもしれない。
これは由々しき事態である。テファのことをほとんど妹か娘のように思っていたマチルダにとって、今の戦力差で一発逆転するには竜を支配下に置くしかない、と思っている王党派も、聖地を奪還するためにはあの竜の存在が不可欠だ、と言う司教の思惑も知ったこっちゃではなかった。それよりテファの貞操の方がよっぽど大事だ。
こうなってはもはや学園のことすら彼女の頭の中になかった。


そのため、当事者を無視して二者間で盛り上がっている連中なんかに付き合ってられない、と結論付けたマチルダは、余計な口を一切挟まず、ほんの数瞬で三十メイルほどの巨大なゴーレムを作り出す。
さすがにそこまでされれば、両者とも気付く。仮面の男は予想外のマチルダの動きに身をこわばらせ、王党派はただの女と思っていた相手が予想も出来ないレベルのゴーレムを生み出したことに驚愕を隠せない。


「何!」
「女、どういうつもりだ!!」
「はんっ、黙って聞いてりゃ本人無視してごちゃごちゃと。私は急いでんだ! あの王様なんぞに頭を下げる気も無けりゃ、怪しさ満点の男にお手伝いしていただくつもりも無いよ! せいぜい勝手に潰しあいな」


そう宣言すると、ゴーレムに命令して連中をまとめてなぎ払う。無論、その程度でアルビオン王国軍やスクウェアメイジと思われる男が即座に破れるわけも無かったが、フーケのゴーレムは魔法が続く限り自動修復を行うという特性を持っている。これにより、防御には定評があり、同じトライアングルの魔法を受けてもほとんど意に介さないずば抜けた能力を持っている。
そのため、両者がそのゴーレムをほうほうの態でようやく破壊したころには、すでにマチルダの姿は両者共に見えなくなっていた。トライアングルメイジ、土くれのフーケはゴーレムを操ることの出来る範囲もドットのメイジとは桁違いに広いのだから。


(とりあえずは、手紙に書いてあった場所に行って見るかね)


時間を稼いだとはいえ、それは微々たる物。目的地は両者共に知っていると見て間違いないだろう。国の指示を受けねば動けぬであろう国軍はさておき、風のスクウェアと思しきあの男を振り切るには足りぬとはわかっていたが、マチルダは愛しい妹のために全速力でアルビオン大陸から脱出した。

こうして、マチルダ・オブ・サウスゴーダは、連続窃盗犯である土くれのフーケとして以外にも、竜の存在を知り、その存在を使いこなすことを狙うアルビオン王国王党派と貴族連合レコン・キスタに、竜と親しい少女の大切な知り合い、という交渉用のカードとしてその身柄を狙われることとなった。









何が悪かったのだろう。
自分が誘拐される、ラ・ロシェールの壊滅、父母に対する無期限蟄居命令、連合軍壊滅と最悪のさらに上を行き続ける現状を受けて、ベッドの上で泣き続けるのにも疲れたルイズは、改めて自らの一生を振り返った。

生まれつき、魔法の才能がほとんど無かった。父、母、そして姉二人。カトレアが体が弱くて魔法を使うたびに体調を崩すことを除けば、四人とも強力なメイジだ。そもそも、王家に近いヴァリエール家の一族は、代々強力なメイジを排出し続けてきた。
魔法の能力はある程度血筋が関係する。始祖に近いほどメイジは強くなるといわれる由縁だ。


何故、自分には魔法の才能が無いのだろう。
ルイズは今まで幾度となく考えたことを改めて問い直すが、当然今までどおり答えは出なかった。何せ今まで十何年間ずっと思い続けていながら、未だに出なかった答えなのだから。


だが、先ほどまで同様ここで思考を停止して悲しみに浸っていては、自分を助けるために独断行動を行った結果として、王家の名によって無期限の蟄居を食らった両親が浮かばれまい。あの魔物の巣に飛び込んできてまで、しかも公爵家始まって以来の不祥事を受けることを承知してでも、両親が迎えに来てくれたことは、今まで落ちこぼれだったため両親、特に父に嫌われていると思っていたルイズにとっては確かな支えとなっていた。
いつも自分をいじめるエレオノール姉様も、自分が家に帰ってきたときは涙ながらに抱きしめてくれたことを思うと、自分も確かに愛されていたのだ、ということが実感できる。
そのため、ルイズはこの家に帰ってきてはじめて次の一歩を踏み出した。


「……考えなさい、ルイズ。ここで泣いている暇なんて無いのよ」


魔法の才能が無いことは仕方が無い。今後一層努力を行えばいいだけの話だ。とりあえずここでおいておこう。
では、なぜ初めてまともに成功した魔法、サモン・サーヴァントで呼び出せた使い魔候補と、契約できなかったのだろうか。


相手が契約を嫌がっていたからだろうか?
それはあるかもしれない。あのときはてんぱっていて気づけなかったが、後で知ったところあの相手は契約に同意するつもりは無かったらしい。
改めて考えてみれば、無理も無いかもしれない。サモン・サーヴァントに応じたからといって、相手は蛙や鳥ごときではないのだ。承諾の返事は無意識での呼応であって人と同等以上の知性を持っていれば、その無意識の同意に気づけずにいきなり召喚されたと戸惑い、混乱していても無理は無い。
もっと誠意を込めて頼むべきだった。もはや遅い悔いを繰り返しながらも、それでもルイズの思考は止まらない。


「コントラクト・サーヴァントさえ成功していれば……」


そして、これがすべての間違いだったのだ、というごくごく当然の事実に精神的ショックが重なったせいでずいぶん遠回りしながらも、ようやく聡明なルイズは気づくことが出来た。


使い魔とすることが出来なかったため、あの竜を怒らせ、自らは誘拐され、街は襲われ、両親は蟄居を食らったのだ。
それさえなければ、街を襲うと脅迫されることも無かったはずだ。あの脅迫を受けて、真っ先に王都に向かった判断自体は間違いではないと町々で馬を徴発してようやく王都にたどり着き、姫殿下に報告した後にようやく再会できた父と母も言っていたではないか。
あの時点で、タイムリミットは限られていたのだ。時折ヴァリエール公爵家にも来る頭のおかしい人間や物乞い、押し売りをどのように門番があしらうかを知っていた自分が、ラ・ロシェールの領主の館の前でそんな無駄な押し問答を行って無為に時間を費やすという選択肢をとることが正解のはずが無い。姫殿下に報告したときは混乱の境地だった頭が、ようやく冷静さを少し取り戻す。
が、それでも自分がもう少し上手に出来れば、街に連れてこられたのが夜だったからといって、今の自分が一文無しだからといって、馬の乗り手と必死で交渉して失敗したときあきらめずにもうちょっと粘ったり、自分の家で使っている馬と平民が使っている馬の質の違いに気づけず、ラ・ロシェールから乗ってきた馬をあせりのあまり乗り潰してしまわなかったり、途中で父と母の目撃証言を耳に入れて混乱したり、失敗魔法の爆炎で逃げ出しはしたものの途中に襲ってきた夜盗に捕まりかけなければ、時間をこれほどまでロスすることもなかったはずだ。せいぜい早馬で二日の距離を、朝に到着したとはいえ四日もかける羽目となったこんな状況では、どれほど一生懸命竜の脅迫について王宮に伝えようとしたといったとしても、信じるものなどおるまい。

そのことがいっそうルイズを苦しめる。
たとえ自分がどれほど急いで王国に報告しても、容易に信じてくれたかどうかはわからない、王国が守備軍を出してという作業は間に合わない、ということはわかっていても万が一の奇跡が起こってたくさんの人が死なずにすんだのでは、という思いは消えない。

とにかく、いろいろあって時間を二日以上ロスしたため、結局王都で追いつかれたあの乗合馬車のときに会った少女に聞いた、ラ・ロシェールの惨劇が今も耳に残っている。
だが、今それを考えていても仕方がないと頭を振って必死で追い出す。
それでも、瞳の上で盛り上がった水滴は後から後からわきあがってきて、一向になくならないが。

ちなみにルイズは知る由も無かったが、彼女の身に起こった数々のトラブルの一部は、外交カードが有利になるようにクーに命じられたメイド31号が、ルイズが夫妻に追いつかれないように、それでいて出来るだけ遅く王都に着くように工作した結果であった。彼女は現在クーに貰った臨時報酬をもって情報収集もかねて趣味のお買い物中である。
つくづくひどい連中である。


では、今後私ができることはなんだろうか、とルイズは涙目で考える。
あの竜にわびに行く、というのはどうだろうか、とも思ったが、あの竜の仲間を父と母が大勢殺したと聞いている。相手にしてみれば、何をいまさら、というところだろう。
それは必死の思いで助けに来てくれた両親の努力を水泡に化す愚行に他ならない。

では、ラ・ロシェールの復興に協力するというのはどうだろうか? だが、今でも竜は街を襲っているのだ。錬金も使えないルイズが破壊される以上のペースで街を直して回ることなど出来はしない。

あの竜を……倒す?
それが無理なのは、誰よりも自分がわかっている。初級の錬金も出来ない自分が、父と母のように魔物の群れを押し破って韻竜に勝てる筈が無い。
魔法を使えない状態でも戦うために、たとえヴァリエール公爵軍の指揮権を借りたとしても、大規模な軍隊で行けば一瞬でなぎ払われるということは、連合軍の壊滅を知った今取れる方法ではないのはわかりきっている。


結局、ろくな魔法も使えない自分なんぞが屋敷の一室に押し込められる父母のため、突然の災害で亡くなった人々のため、今なお苦しめられている付近の村々のために出来ることはないのだ。

そう、結局いくら考えても自分がろくに魔法が使えないことに戻ってくるのだ。
魔法さえちゃんと使えていれば、あの韻竜を呼び出さずにすんだ。呼び出しても使役できた。使役できなくても、倒せたかもしれない。


「なんで……なんでなのよ…止まってよ」


泣いてはならない、泣いてはならないと自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど、心と体はルイズの理性に従ってくれない。とめどなくあふれる涙をシーツに吸わせながら、ちゃんと魔法さえ使えれば、と何度も心の中で繰り返す。
問題ありありだったが、サモン・サーヴァントは成功したのだ。もとより魔法を使う素質の無い平民とは異なり、自分は間違いなくメイジである筈なのに……どうして。
貴族は誇り高くあれ、という言葉を聞かされて育ち、誰よりも誇り高くあろうとしたにもかかわらず、魔法の実力だけが伴わない。


落ちこぼれ、ゼロのルイズ。
解決策を考えれば考えるほど、そんな声が脳裏から消えない。
今まで「違う、私はゼロなんかじゃない」と必死で張っていた虚勢が、ガラガラと崩れていくのをほかならぬルイズ自身が自覚していた。


それでも、誇り高きヴァリエールの一員として、何もかも打ち捨てて泣き喚くことは出来なかったルイズは、あふれる涙をそのままに、杖を手に取った。そして反対側の手には、社交界デビューが決まったときに母から贈られた品の一つである懐剣を握り締める。

唱えるはゼロのルイズが唯一まともに成功した魔法にして、やり直しの呪文。
ありったけの思いを込めて、恐怖に震えながら、ルイズは詠唱を続ける。

こんなことをしていることを誰かが気づけば、絶対に止めるだろうということはルイズ自身にもわかってた。
一匹ですでに国中が絶望のどん底に落とされているのだ。ここでまた失敗して、もう一匹韻竜を召喚でもしてみろ。そのときこそルイズの、ヴァリエール家の、トリステイン王国の終焉の日だ。

そんなことは誰に言われなくてもルイズが一番よくわかっている。
だが、自分の知る限りにおいて最強の存在である父と母が向かっていってもあの竜を倒せなかったのだ。ほかの誰が倒せるというのか。ここまでの自らの失態を、いったいどうやって取り返せるというのか。

追い詰められたルイズが、リターン率最悪の賭けに出ることを選んでも、ある意味仕方が無い状況だったのだろう。

この魔法に失敗したら、自分にはメイジの才能が無いということで父に絶縁してもらおう。そうすれば、少なくともヴァリエール家に掛かる非難は多少はましになる筈だ。
万が一成功しても、あの竜のような存在が出てきたり、コントラクト・サーヴァントに失敗したときは、この懐剣で相手を刺そう。刺し違える覚悟でならば、多少の痛手は与えられる筈だ。
そう思って、震える声で呪文を続ける。

それは愚かな、後先を考えないまさに愚かな選択だった。体型どおり子供であるルイズが勝手に追い詰められ、今後の展開も、そのことの危険性についても十分熟知しないまま行った愚行だった。これでマイトなどを召喚する危険性を考えれば、どう考えてもとってはいけない選択肢だった。

だが、それしか取れる手段が無かった、ということも確かな事実なのだ。このまま放って置いても、トリステイン王国は遠からず滅亡するということは、大多数の者の目には明らかだ。
どうせ滅びるのであれば、万が一の奇跡に賭けるということも、正解ではないかもしれないが、間違いであるともいえないだろう。


「我が名は…ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……五つの力を司るペンタゴン……我の運命に従いし使い魔を召喚せよ」


(お願い、成功してっ!)


サモン・サーヴァントの呪文は、使い魔の契約がなされている限り再び唱えることは出来ない。逆に言えば、コントラクト・サーヴァントに成功していない場合であれば、いくらでも唱えることが出来る。
そのため、ルイズの眼前には再び光を放つゲートが生じた。

ああ、この呪文だけはやっぱりなぜか成功するのだ、と泣き疲れた体で精神力を使う魔法をつかったことによるけだるさで頭がジーンとしびれる感覚を受けながら、ルイズは祈るような気持ちでゲートを見つめる。
やがてぼんやりと光るゲートから、一つの影が出てきた。


その影は、ブラッドでも、クーでもなかった。



今のルイズには理解できていなかったが、自分は賭けに勝ったのだということを後で思いっきりかみ締めさせることとなる使い魔の姿が、ゆっくりと現れた。

中肉中背、さしたる外見上の特徴も持たないたんなる人の身でありながら、ありとあらゆる難敵に愛する主のために立ち向かう真の勇者がここに召喚されたのだ。





その手には、鈍く輝くルーンがあった。


その20へ

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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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