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ドラゴンに首ったけ4

その4


今、現実からの逃避のために異世界を求めて全力疾走している俺は、高校に通うごく一般的な劣等生。強いて違うところをあげるとすればMってことかな。名前は平賀才人。
そんなわけである日突然目の前で光ったゲートを見て迷いもなく飛び込んだら……
ウホッ! いい釘宮……


「やらないか」(意味:我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ)



「よかったの、ほいほいついてきてしまって。私は、平民だってかまわないで使い魔にしちゃうメイジなのよ」
「異世界に呼ばれるなんて初めてですけど、いいんです、俺、ルイズさんみたいなツンデレ、好きですから」
「うれしいこと言ってくれるじゃないの。それじゃあ、とことん喜ばしてあげるからね」


ビシッ! バシッ!!

うなる乗馬鞭、はじける汗、ぶつかりあう身体!!
主と使い魔はある意味一体化していた!






そんな、メタな夢を見た。

そんな現実感のない気絶から目を覚ましてルイズが初めに見た光景は、やはりどこか現実感がなかった。


「ちょっと、こっちにも誰か来て~」
「あ、私手空いてま~す」
「ここの床板って何番だっけ?」
「待機部屋ってこことここだよね」
「違う、こっちは罠部屋!」


わらわらわら

ピンク、グリーン、ブラウンと髪の色だけは鮮やかに、そのほかには服装から顔立ちからほとんど違いが見分けられない多数の少女達が、なぜかメイド服のままヘルメットをかぶってつるはしやスコップを自在に操って土木工事を行っていた。
その細腕で信じられないほど大量の荷物を運んだり、あっという間に木材を組み立てたりと冗談のような勢いで何かが完成している光景を見てもなお、ルイズは今が現実だということに確信がもてずにいた。
学園内で召喚の儀式を行っていたはずなのに、次の瞬間なぜか厳重に縛られた横でメイドを山ほど見かければそうもなるだろう。


「あ! 生贄さんが気付いたっぽい!」


と、そのメイドの山の中の一人がルイズが目を覚ましたことに気が付いて声を上げた。が、ルイズはその生贄さんとやらが自分だとは気付いていなかったので、スルーしていた。

そもそも、ルイズは何故自分がこんなところにいるのか理解できていないのだ。彼女の記憶はコントラクト・サーヴァントを行ったというところで切れている。
どうやらいきなり見ず知らずの人間にディープなキスをされたというあまりにショッキングな出来事は脳裏から一時的に消しているらしい。


「え? 捕虜部屋ってもうできてたっけ?」
「侵入者用ならできてたけど、生贄用はまだだったと思う~」


が、じょじょに注目が集まってきたため、居心地が悪くなってくる。何せ姿かたちがほとんど変わらないものが何人もこちらに眼を向けてくるのだ。が、ここでびびったら貴族の名折れ、とばかしにいきなり自分の扱いについて主張してみる。彼女ら大貴族にとって、メイドなどは犬や猫等の動物や単なる空気と同然であり、同じ人とは思っていないからだ。
別にルイズが極端な差別主義者、というわけではない、要はそういう社会なのだ。こうしなければ変人と呼ばれる社会。

無論、大貴族のルイズとてとある世界の流れのように平民とも対等の付き合いを行うようになればその認識もあっさりと変わるのであろうが、基本的に現在ではこのようなものであった。


「ちょっとあんたたち、ここはどこなのよ!」


それゆえにこの口調だが、そういった時代による差別意識は魔族であるメイド服の少女たちにとっても同じだった。


「うわ~この子生意気。貴族だったのかなあ」
「ま、とりあえず連隊長に報告してくるね」
「それにしても、連隊長が捕まえている捕虜ってみんな気が強くない?」
「やっぱりご主人様に内緒で何かたくらんでいるのかもね~」


彼女達にとって見れば、人間―――それも雇い主の捕虜である少女なぞ、同格と見ることなどない。
それゆえに、完全にルイズの発言内容はスルーされた。

基本的に魔族は人間を下に見ているのだ。
寿命も力も魔力もはるかに人間の上を行く生物だから、ある意味当然ではある。無論、魔族の中にも変わり者はいて、「人間、竜、魔族、神族、など生まれによって差別するのはやめよう。人はみな平等なはずだ」などというものもいないではないが、基本的にそれは例外であり、大多数の差別主義者からすれば過激派であると思われている。
ある意味メイジと平民の関係と、魔族と人間の関係は似通った部分が多数あるのだ。

が、エルフですら見ることの少ない、魔法があるくせに妙なところがはっちゃけていないハルケギニア世界に、魔族なぞ存在しないため、ルイズにわかることは、「またもメイドに馬鹿にされた」という事実だけだった。
そのため、実家の使用人たちの陰口を思い出したのか、反射的に怒鳴りつけようとしたが、その前に何人いてもその見分けのつかないメイドたちのある身体的特徴に目が釘付けにされる。

どいつもこいつも耳が長いのだ…………もしや、エルフ?



思わず悲鳴を上げそうになってそこで気づく。そういえば、最近耳が長い少女を他にも見たような。
そのほかにも……何か………ショックなことがあったような…………

そうやって思い出そうとしたのがいけなかったのかもしれない。
その次の瞬間、ルイズの脳裏に気絶するまでの経緯が洪水のように流れ込んできて、細部にわたるまで思い出さされた。
ようするに、あのディープキスがフラッシュバックしてきた。


「!!~~~~~!」


いまさらながらに思い出して、身もだえするルイズ。
おぼこであるルイズにとって、先の行為は刺激が強すぎたらしい。思わず頭を抱えて転がりまわりたくなる。
と、そこで身もだえを疎外されることで、ようやく自分が縄で縛られていることに気づいた。


「な、なんなのよ~これ~」


ルイズの理解の範囲外だったが、ずいぶん奇怪な縛り方であった。
縄を使ってルイズのない胸を六角形を作って無理やり搾り出したかと思えば股間の方から背中に回り、そちらでもある奇妙な形を作っていた…………平たく言うと亀甲縛りである。


と、そこでルイズをそんな姿にした張本人、割とお茶目な執事のクーが現れた。


「あ、気付かれましたか? まだ捕虜部屋が出来上がっていないのでそんな姿で申し訳ありません」
「あ、あなたはさっき私の呼び出した使い魔と一緒にいた……あなたが私をこんな格好にしたの?」
「はい、何せ御主人様があなたをどうなさるかは知りませんが、管理を任された状態で気を変えられたりして逃がしたりしてしまえば『揺り篭から死後の世界の安寧まで、お客様の信頼第一』のギュンギュスカー商会の恥となります」
「なっ……いいからほどきなさいよ! メイジにこんなことをしてただで済むと思っているの!」
「……はあ、なにやら先ほどの男性もやけにメイジということにこだわっていましたけど、魔法を使えるぐらいでなんでそんなに」
「はあ? 何いってんのよ、魔法も使えな……と、とにかく、何の魔力も持っていない以上、あの拝金主義のゲルマニアならさておき、この誇り高きトリステイン王国では絶対に貴族になれないのよ! 平民風情が貴族に手を出して許されると思っているの!!」


ちなみにゲルマニアでは金で爵位を買えるが、生まれたときからトリステインの大貴族の娘であるルイズの認識として、平民と貴族との間には絶対的に超えられない生まれの差があると思っている。魔法をろくに使えないというコンプレックスのあるルイズでこうなのだから、その拡大強化版のエレオノールなどだったりしたら、いきなり魔法をぶちかましていたに違いない。
が、微妙に別の世界から来たクーにこの世界の常識など、変な決まり、以外の何の感想も持つものではなかった。


「へえ、この国は魔法使いが重視されるんですか……変わっていますね」
「変わっている? どこの国が魔法使い以外を重視するって言うのよ!」
「グリンスヴァール王国なんかは学者の国と呼ばれているぐらいですから知識人がトップですね。レグルリア王国なんかも剣や槍をメインとした傭兵の国なんて呼ばれていますよ?」


いまだに世界観を移動したことに気づいていないクーとルイズ。メイジ至上主義のルイズと力さえあれば、お金さえあれば、たとえどんな相手であろうと皆顧客をモットーとするギュンギュスカー商会社員のクーとは、致命的に価値観が違っていた。クーはお金やそれに値する力があれば人間―――それこそ、ルイズの言う平民―――に対しても頭を下げる。逆にそれに値するものを持たないにもかかわらず偉そうにするものには容赦しない。
現時点ではクーの印象としては、ルイズは後者に属するようだった。そして、それを受けて自らに対するあざけりの感情を敏感に察知して、余計に反抗心を強めるルイズ。

なまじどっちとも中世っぽい世界観で、魔法や傭兵といった共通点があるだけに、なかなか気づかないようだが、とにかくクーがあげた国々は勉強熱心なルイズにも聞き覚えのない名前だったため、ルイズは間髪いれずに怒鳴り返す。


「はあ? どこよそこ! そんな国聴いたことないわ!」
「ああ、そういえば、このあたりとは遠く離れているんでしたね……じゃあ、言い方を変えます。そもそも、私やメイドたちもそうですが簡単な魔法ぐらいなら魔族なら誰でも使えて当然ですよ?」
「へ? 魔族……なにそれ……って、あなた、魔法使えるの!!」
「ええ、ほら、あのメイドたちだって使っているじゃないですか」


そういってクーが示した先には、スコップを持って床にあたる地面を掘り返しているメイドがいた。但し、到底人とは思えぬ尋常ではない速度で掘り進んでいたが。


「うんしょ、うんしょ、御主人様のためにえんや~こら~」
「は~い、どいてどいて~」
「ふきふきふき~っと」


掛け声と共にメイドが押し当てたスコップの先の土や岩が液状化して気体化してそのうち消滅する。そのメイドと入れ替わりに三つほど宙に浮かばせた運搬機を引き連れたメイドが現れ、その中身である魔鍛コンクリートを流し込む。あちらではモップを持ったメイドがその何倍もの数のモップを使役して既に出来上がった床を水拭きしていた。
自分の知っている魔法とのあまりの差異、つまりこれらの魔法の生活臭さと魔法をこともなげに日常生活や土木工事に使用する多数のメイドの姿に絶句するルイズ。土木工事はさておき、日常家事なんぞに誇り高きメイジの魔法を使うなどと聞いたこともなかった。そんなもの貴族にとっては魔法の使えない平民にやらせる下賎な仕事なのだから。
が、次のクーの言葉を聴いてはさすがに黙ってはいられなかった。


「とにかく、あなたが魔法を使えるかどうかなどこちらには関係ありません。貴族かどうかも関係ありません。生贄として御主人様の下に来た以上は、御主人様にきちんと仕えることだけを考えてください」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。生贄って何のことよ!」


あれ? クーが内心首をかしげる。何かが食い違っているような気がしてならない。


「え?………あの~あなたは御主人様の夜の生活練習の相手として志願してきた人間じゃないんですか?」
「どういう意味よ、それ。私は誇り高きヴァリエール公爵家の三女よ。どっかの安いゲルマニアの女と一緒にしないで!」
「……………あれ?」


クーは再度首を捻った。








ブラッドはとりあえず、飛び回ってみた。
いきなりブレスを王国中に放つのもなんなので、とりあえずは自分の存在を周囲に知らしめることを目的に、ブラッドは音速を超えて大体トリステイン王国全土を飛び回っていた。無論、地表近くでは衝撃波で大地がえらいことになるのは知っていたので、少々高度お高めで。
風によって鱗に付着していた汚れが一瞬にしてはじけ飛ぶ感触に目を細めながら、そういえば最近はこんなに全力で飛ぶこともなかったなあ、などと思いながら、ブラッドはリュミスがいないこの世界で文字通りの羽を伸ばしていた。
と、前方に大きな雲が見えてきたので、ちょうどいい準備運動だ、とばかりに咽喉の奥を鳴らし、ブレスの発射体制を整える。今日は魔王竜風味、火炎竜味のブレスを吐く練習をすることにする。混血なので未だにうまくブレスを扱えないことも結構あるから練習は欠かせない。

体の中から力を搾り出すような感じで口先まで万物を破壊するブレスを持ってきたところで、ようやくブラッドは気づいた。

あれ、雲じゃなくて島だ。

正確にはブラッドの発見した巨大雲の上になんか大地が乗っている。




「ブ、ブォォォォオ!!」


あまりの驚きに思わずむせ返りそうになりながら、とりあえず島を意味もなくいきなり打ち落とすのは不味い、と思って照準をずらす。
間一髪、何とかその島すれすれにブレスをそらすことに成功して、思わずブラッドは安堵の息を吐いた。
端っこの方がブレスでほんのちょっと蒸発していたが、まあよしとする。
それよりもブラッドにとってはちょっと口の中を火傷したみたいな方が痛かった。


(ああ、よかった……って、空に浮かぶ島だと?)


と、そこでようやくこの事態の異常性に気づく。
現在ブラッドは空の上である。言い直すと、ドラゴン オン ザ スカイ。
なぜそこに島があるというのだ? 素潜りしていたとか言うのならばさておき。


興味が引かれたブラッドは速度を上げるためではなく、その場にとどまるために翼を振るい、ホバリング状態でその空に浮かぶ浮島に近づいて行った。ゆっくりと着岸する。

たまったものでないのがその撃たれた側、地上3000メイルもの高さに位置する浮遊大陸の国アルビオン王国だった。

所詮は混血竜のブラッドが放ったブレス、リュミスならばさておきブラッドのそれは島を消滅させるほどの力があるはずもないため大陸という名があるほどの大きさのあるアルビオンにとってはそれほど応えるはずもなかったのであるが、何といっても立地条件と当たった場所が悪かった。
ここは浮遊大陸アルビオン。例えば地上に着陸しているジャンボジェットにはちっとやそっとの衝撃なんぞは屁でもないが、飛んでいる最中に衝突されたのであればこれは大惨事に繋がりかねない。
安定している独楽だって、軸からずれたところにそれなりの勢いで何かがぶつかれば倒れはしないものの揺れることは避けられない。
故にその大きさと比較すれば余りにあっけないほど、大陸そのものがぐらりと揺れたこれが天変地異以外の何者であろうか。

いきなり大陸の真横をなんだかよくわからないもののものすごく光っている光線が通過していったかと思えば、空中にあるため本来無縁であるはずの地震が大陸全土に起こったのだ。
すわ、天変地異かとアルビオン中の人間が震え上がった。

それは、ブラッドが降り立ったアルビオン王国サウスゴータ地方のウエストウッド村にすんでいながら、一人で近くの川に水汲みと洗濯に来ていたハーフエルフのティファニアさん18歳にとっても同じだった。
いや、眼前にいきなり巨大な竜が降り立ったことにより、この天変地異の原因と思われるものを目の当たりにしていたことで、王宮にいて未だに事態を把握していなかったアルビオン王国皇太子、プリンス・オブ・ウェールズよりもよっぽどびっくりしていたといっていい。


が、お嬢様育ちの上に世間知らずでちょっと天然入っているティファニアさんは、「そういえばこの国の国旗にも竜が書かれていたなあ=竜って実在したんだなあ」「竜っていうぐらいだからこのぐらい大きくても当然なのかなあ」などとのんきなことを考えて、ハーフエルフのため人間の前には出られず、子供たちの相手ばかりしていて人恋しさが募っていたこともあって、食べられる! などの危機感を持って逃げ出すこともなく、ただその雄姿を見つめていた。

彼女が思うことは唯一つ。


(おっきなトカゲみたいなものなんだから、「化け物」のエルフも怖がらないよね)


天然過ぎるにもほどがあった。
ちなみにその熱い視線を注がれていた竜であるブラッドは、テファよりちょっと下流の川で口の中のやけどを冷やすことに必死で、この美少女の存在にまったく持って気づいていなかった。

あっちもこっちもぐだぐだだった。


ピキーン


アルビオン王国 のステータスが更新されました。
竜のブレス による破壊によって、生産性が 1 下がりました。

竜の巣 が完成しました。
ブラッド のステータスが更新されました。
魔力 を 110 失いました。




その5へ

Comment

No title

 とりあえずスパロボの上位ユニットでなけりゃ巣作りのドラゴンのあいてにならないことは良くわかったwww特に雌だと。

No title

メリーさん更新希望とか言ってみる
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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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