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黒耀(ランスクエスト)

へんでろぱの材料
こかとりす……てきとう ほららの切り身……好きなだけ 金魚……一匹 ぽち……1リットル
ストーンガーディアンの涙……少々 ヒララレモン(高価なのでなくても)


GALZOOとか見ると、こかとりすとか結構お高そうなんですけど。割と強いから一般人じゃ狩れないだろうし。
一匹がでかいから意外に安いのか、レベルの高い冒険者のランスだからこそ常食に出来るのか。
てばさきで代用できたりするのかな?














聖魔教団の遺産と呼ばれるものは今の世にもまだ数多く残っている。
一時は世界を支配した教団だ。それはある意味当然なのかも知れないが、実際にその数を数えてみたならば、きっと誰もが驚くことになるであろう。
生活、軍事、文化。ありとあらゆるところにその根は張り巡らされており、人類はその恩恵を大いに受け取っていた。
少なくとも、スイッチ一つで灯りがともる便利な道具も、魔法力を溜め込んでその力を保存できる魔池も、自分の意思で喋る石像も、すべて聖魔教団以前にはなかったものだ。
詐欺師や道化も同然の扱いを受けていた魔法使いの技術をここまで昇華した教団の残した功績の数々はもはや称えることさえおこがましい。

だが、同時にその遺産は、決して人間に対して恩恵だけを与えるものではなかった。




迷宮奥深く。
冒険者でさえもめったに立ち入らない高難度のダンジョン。
そこに、それはいた。

ぐぉぉぉおおおおおお

唸るような声と共に出現したのは、ストーンガーディアンという「魔物」だ。
出現するだけで周囲に途方もない威圧感と実際の効果を伴った熱気が迷宮一帯に溢れる。何かの間違いでこの階層まで紛れ込んでしまった弱小の魔物が怯えて逃げていくが、それも無理はあるまい。
トンを超える超重量とマグマの熱、そして迷宮に身を溶け込ませて決して相手を逃さない神出鬼没さを併せ持つ、岩石で形作られた上半身のみの動く石像。
聖魔教団において拠点防衛の要として生み出された人造生物は、すでに教団が崩壊して長い年月が立った今でもなお、最後に打ち込まれたコマンドである人類撲滅を忠実に果たそうとその生息拠点を徘徊している。
世界を席巻し、魔人にさえも対抗しえた聖魔教団―――闘神都市の技術の粋が作り上げたその力は、並みの魔物と比べてもあまりに強く、凶悪なものだ。

デカントやバウといった上位の魔物さえ上回る巨体と重量は、地に溶け込んで回り込むことが出来る故に決して逃げられない、というストーンガーディアンの特性とあいまって、この石造りの彫像に計り知れぬ一撃の重みと遭遇した大概の人類に確実な死を保障した。


「ちっ、面倒な……」


だからこそ、そのデカントでさえも一撃で打ち倒すランスでさえも、そろそろ疲れてきたという事情はあれども、その出現に対して嫌な顔をした。
どれだけ疲労していても、どれだけ負傷していても、ストーンガーディアンからは逃げられない。
歴戦の冒険者である為、それを重々承知していたランスはだからこそ逃げることなど全く考えもせずに溜息一つを吐いただけで、瞬時に剣を鞘走らせた。


凶悪な魔物。
だが、同時に彼らはどこまでも創造体だった。
かつて聖魔教団に製造され、そしてそのまま放置された。
ただただ命ぜられたとおりの動きを行い、そして戦う。多少の傷であれば周辺の岩石を取り込んで治すことが出来る機能も、本体ともいえる核にまで至る傷には全くの無力だ。
致命的な損傷を受けてしまえば、もはやその体を直すことが出来る人間―――魔工匠が現代にはほとんど存在しないことによって、ただ何も出来ずに朽ちていくことしか出来ない。

眠ることも、食することも知らぬ体は、当然ながら繁殖の欲求なども持たない。
そして、新たに彼らを創造しようとする者もまた、いない。
それゆえにどれほど年月を重ねても意にも介さぬ強度を保とうと、どれほど強靭な鎧を纏っていようと、どれほど強力な攻撃を持っていようと、ごくごくわずかとはいえ彼らを殺すことが出来る者が存在するこの世界において、彼らは紛れもなく滅び行く「種族」だった。


「おお、りゃーー!」


出現したストーンガーディアンがその豪腕を振りかぶって振り下ろすよりも速く、ランスの繰り出す一撃がその左肩に炸裂した。
レベルアップシステムの恩恵によって与えられた強力により大地を蝕み、岩をも砕く一撃は、当然ながらストーンガーディアンにも通用する。切れ味よりも衝撃を叩き込むことを重視した一撃は、硬く圧縮された岩石という装甲を持つその巨腕を根元からもぎ取り、吹き飛ばす。
紛れもない強者であったストーンガーディアンに抵抗さえ許さない高速精密剛力な一撃。
今までの千年単位での歴史の中でもありえなかった事態に、ストーンガーディアンの挙動が一瞬止まる。
聖魔教団の作った『雑兵』のなかでも上位のそれらしく、その停滞は僅かに一瞬であった。
だが、それで終わりだ。


「死ねーーー!!」


着地と同時に振り下された右腕の攻撃が先の衝撃でわずかに戸惑うように勢いを削がれたのを見て瞬時に、盾技能を利用した剣による防御によって威力を削ぎ、止めた腕をランスはまるで通路のように駆け上がる。
高温の体による攻防も、異常ともいえる生命力に裏付けられたランスの攻撃を戸惑わせるほどのものではなかった。

迷いの欠片も見えない天性の判断は早く、レベルアップに裏付けられたその身体能力による動きの早さもまた、ずば抜けたものだ。
鈍重な魔物ごときがなんとか我に返ったとしても、片手がなくなった今では払いのけることさえ出来はしない。
そのため、相手がはしご代わりにされていた腕を振るってランスを振り落とすよりも速く、剣の持ち手はストーンガーディアンの頭部を攻撃可能範囲の中へと捕らえていた。

勿論、今のランスによるものとはいえ剣の一撃だけで倒れるほどこの岩石の魔物は脆くない。
それを知ってその大きな口の中に剣を突っ込んだランスは、だからこそさらに致命的な一撃を与えようとその状態で闘気を集め、そして開放する。
早い。収束から開放までがあまりにも、早かった。闘神や魔人でもないストーンガーディアンが反応できるような速さではない。
それゆえに、致命の一撃はあまりにもあっけなく発動した。

瞬時に起きた剣を媒体とした爆発は、そしてそれを伴った斬撃は、ランス自身の尋常ではないレベルの高さに比例する威力によって一瞬にしてストーンガーディアンの頭部を吹き飛ばし、胴体にさえもその余波を伝わらせた。
当然、頭部にあった核などもはや、跡形もない。
たったの一撃、剣の一突き一振りだけで、ランスは千年を生きる魔物であるストーンガーディアンの命全てを縫いとめて見せた。

巨体が、ゆっくりと動きを留めてゆき、やがては完全に停止していく。
もっとも、片腕を吹き飛ばされ、頭部ももはやない上半身だけの岩の塊など、もはや体と呼ぶにも奇妙で悪趣味なオブジェにしか見えないため動きを止める、という表現さえもおかしく聞こえるが、とにかくもはや起動することは二度とないまでに、ストーンガーディアンは「殺された」のだ。
千年を生きた歴史の異物は、もはやこれ以上後の歴史に干渉することはあるまい。
聖魔の時代より生きた「魔物」がまた一体、何の意味も持たせることも出来ずに滅んだ。





それに伴い、人造物の体の起動の為に使われていた、聖魔教団が滅びてもなおその石の体を動かし続けていた魔法力が、経験値という名に変わってランスの体に吸い込まれていく。
生き物でこそなかったが、並の魔物や人間などを遥かに凌駕する存在であったストーンガーディアンがその生涯をかけて殺し、奪い取った魂を体内にて精錬したものだけあって、その経験値は膨大なものであった。
それこそ、一般市民であれば生涯かけて稼ぐものよりも遥かに多い経験値だ。
それら全てを誰にも分け与えることなく、誰とも分かち合うこともなく、たった一人でランスは受け取り、飲み込んだ。
だが、それすらも今の彼にしてみればたいした量ではあるまい。
あたりを見渡せば、同じような石の残骸や何かの肉片、真っ二つに割られた丸い玉など、様々な魔物の死骸が転がっているのだ。それら全てをたった一人で作り上げたほど高レベルのランスからしてみれば、その膨大な経験値さえもただのひとかけらでしかなかった。

ただ、ちりも積もれば山となる、という。
たとえそのレベルの高さゆえにストーンガーディアン一体分の経験値ではもはや全体としてはすずめの涙ほどの量であったとしても、周辺の魔物の死骸をすべて集めれば、少しはものの足しになることを、ランスは実感として知っていた。

そのため、小さな光球が自分の体に吸収されるのが終わったのを察知するや否や、先ほど叫びを上げていたのとはまた違う声音で、ランスが述べる。


「ウィリス。来い」


呟くような低い声でも、神への敬意など欠片も込められていない声でも、「祈り」は必ず届く。
願いなんて一つをのぞいて全く叶えてくれないが。


『頑張る人の味方、レベル神ウィリスです……ああ、ランスさん』


独特の後光と音楽と共に、一人の女が唐突に現れる。
四肢の先や髪につけた僅かな飾りをのぞくと下着さえ纏わぬ全裸でしかない彼女を、その後光と音楽、そして宙に浮かぶ水晶玉だけがレベル神であることを保障していた。


『また、レベルアップですか?』
「お前を呼ぶ理由なんてそれしかないだろうが。さっさとやれ」
『……はい。では、始めます』


何かをいいたげな気配と複雑な色を称えた瞳と共に、こちらに対して声をかけてきた女の言葉を、ランスはにべもなく切り捨てた。
日に日に荒んでいくその態度に、彼の乱暴さと下品を嫌いながらも、しかしその邪気のなさと迷いのない行動には女神としての慈愛を注いでいたウィリスは心を痛めた。

ウィリスとランスの付き合いは、正直それほど長いものではない。
彼女がレベル屋からレベル神へとなったのは数年前だし、ランスに担当のレベル神が着くようになったのはさらに後だ。

しかし、ウィリスはレベル神であるためランスの冒険のほとんどに付き合い、レベルアップの作業のさなか、その水晶玉を通して全てを見てきた。
リーザスにも、カスタムにも、闘神都市にも、ゼスにも、JAPANにだって、彼女はずっとランスのそばにいたのだ。
彼が何を感じ、何を行い、何をしてきたのか、傍観者という立場ではあったが、その全てを見知っていた。


『うーら、めーた ぱーら ほら ほら。らん らん ほろ ほろ ぴーはらら。』


ウィリスの唱えた謎の呪文とともに、ランスの全身を光の粒が包んだ。
目を閉じて、剣をだらりと下げて、ランスは無言でそれを受け入れる。
先ほど魔物を嬉々として殺戮していた男とは思えないほど、何故かその姿は疲れを感じさせるものだった。

ランスは尋常ではないほどレベルが上がる速度が早く、それに伴ってサボって経験値を失って力を失うのも早い。
仲間も多いからその分のレベルアップもウィリスが受けることになるし、どういうわけか才能限界無限などという異常極まりない特性を持っているため、冒険の種類によっては尋常ではないレベルまで上り詰めることもある。
その全てを見つめて、ウィリスはレベルを上げ続けてきた。


『ランスさんは経験豊富とみなされ、レベルが1上がります』
「ふん……それが分かってるからお前を呼んだんだ」


だからこそ、シィル・プラインを失って日に日に荒れていく彼の姿は、正直なところ見ていて辛かった。
過去を見通す水晶玉を通して見た、かつてシィルと出会う前よりも遥かに強くなった彼は、だからこそかつての時よりも一人になったときの行動はより荒々しいものとなっていた。


『ところでランスさん。最近、寝てますか? 顔色が悪いですよ』
「……」
『レベルアップも健康が命です。ちゃんと三食取ってしっかり寝ないと、経験値の吸収効率が落ちてきますよ?』


彼には神より与えられた才能、冒険技能レベル1がある。彼が保有する剣戦闘レベル2ほどの希少性こそないものの、それでもこれは相当なものだ。
シィルがいたときには面倒がって全てをやらせていたが、その気になれば鍵空け索敵料理にキャンプとその全てをそつなくこなせるだけの才能があるはずである。
だからこそ、その彼がただレベルの高さだけにかまけて爆発覚悟で宝箱を叩き壊して開け、罠を引きちぎり、乾し肉と水場で適当に汲んだ水だけを携えてひたすらに迷宮に篭って殺戮を繰り返している現状が哀れでならない。
本来であればきちんとした寝床で寝て、ちゃんとした食事を取って、それなりに規則正しい生活と合理的な戦闘をしていた、出来たはずのこの男が、たった一人の少女がいないばかりにそれら全てを投げ捨てて獣のようにひたすら戦い続けている。
シィルが生きていれば止めてくれたであろう事も、何も気付かずに進んでしまっている。

それが、ウィリスには何より悲しい。


「うるさい、黙れ。お前はただレベルアップだけしてればいいんだ」


しかし、今のランスは人のいうことなど聞きはしない。
いや、普段からただ一人の少女の言葉以外ほとんど聴く耳を持たなかった彼のことだが、それはあまり驚くことではないが、それでも今は微塵も影響を及ぼさなくなってしまっている。
ランスのことを心配してのウィリスの言葉も、ランスには届かない。
だからこそ、直接的に彼と触れ合うことさえも許されていないウィリスでは、眉根を寄せて悲しげな表情をする以上は何も出来ない。


レベルアップをすることが仕事であり、その成績によって位階をあげることが目的であるレベル神にしてみれば、本来こういった経験値稼ぎだけの行動は望ましいことだ。
ビジネスライクに徹するのであれば、こちらの言葉など届かなくてもただ死ななければそれでいい。
才能限界無限というどこまでも、どこまでも強くなれる男が自分の担当になり、その男が寝る間も惜しんで戦い続けている、というのであればこれは勤務成績だけを考えるならば喜ばしいことであるはずだ。
経験値、という名によって溜め込まれた命の欠片を、身体能力の上昇や技能の獲得と引き換えに奪い取って自分の力にする神々にしてみれば、今のランスは理想の顧客となる。

実際、上位の神々であれば今の彼の行動を喜ぶか、あるいは邪魔に思うかは別としてさして心を動かされることはないだろう。
神としての位階を上げ、あまりにも人とはかけ離れた最上位者、創造神に近付くとはそういうことだ。


『ランスさん……』
「ほら、仕事がすんだならさっさと帰れ。それとも……そんな格好してることだし、犯されたいのか? それならば遠慮なく」


だが、レベル神というもっとも人に近い神であり、未だ人としての心を持ってしまっているウィリスには、そう割り切ることが出来なかった。

ただひたすらにランスが哀れで、痛々しく悲しい。
彼と彼女の関係を知ってはいても、シィル・プラインという少女を失うことがこれほどまでに彼を追い詰めるとは想像さえしていなかった自分が、同時に愚かに思える。
だが、彼の担当の神と名乗ってはいても、実際にはほとんど彼の役に立つことのできないウィリスは、氷に閉ざされて未来永劫そのままになったシィルはもとより、残されたランスに対してもレベルアップとその後の体力の回復を除いてしまえば、ほんの僅かな手伝いぐらいしか出来ることはない。


『はぁ……もう! それじゃあ、また』


だからこそ、ウィリスはほんの少しだけ神力を使ってこの周辺の宝箱に干渉するだけで、溜息一つを残して。
レベル神の身でありながら、シィルが『亡くなった』ことで荒れるランスの心を、どうか神が救ってくれますように、と祈りながら。
誰よりもランスに近く、誰よりもランスを知っていた神は、姿を消した。


「ふんっ、ウィリスごときが余計な差し出口を」


それと共に後光も妙なる音楽も消え去り、あたりを静寂が包む。
女の子モンスターであるメイドさんが入れるレベルの迷宮ではないが故に常にかび臭い匂いと埃とぬるぬるとした苔、そして不気味な悲鳴と物音にまみれた薄暗い迷宮が帰ってきた。
女神の残り香さえ、すぐに薄れて消えた。

その中に一人ランスが佇む。
先に殺したストーンガーディアンの残骸が目の前にあるそんな状況において、ランスは鼻を一つ鳴らすと再び踵を返した。


迷宮を、進む。
冒険を、続ける。
後悔も、倦怠も、無気力も、全て忘れて。
ただひたすらに、力と命を求めて。

誰の助けもなく、必要とせず、ランスはたった一人で迷宮の闇の中へとその身を躍らせた。



  玉響へ

Comment

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ランスSSなのに男臭すぎる…しかしあのEDからすると納得。
面白かったです。
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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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