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狼狽皇子様6

伯父さんな話
CCのある意味同僚であり、同盟者であるVVは、シャルル・ジ・ブリタニアの実兄であり、その中の人クロヴィスからすれば伯父に当たる。れっきとした皇室の生まれであり、世が世ならばシャルルを差し置いて神聖ブリタニア帝国の皇帝になっていたかもしれない身分だ。
しかし、マリアンヌに聞くまでクロヴィスが全く知らなかったように、基本的にその存在は今まで抹消されてきた。


なんといっても、幼いころにVVとしての力を手に入れてしまったばっかりに、体が十歳程度で成長を止めてしまっているのだ。それをシャルルの兄であるなどと公表してしまえば、大混乱が起こる。
ありとあらゆるものにVVはその身柄を狙われるだろう。

また、VV自身の持つ望み、嘘のない世界を作るためにも、皇族としての地位はないほうが都合が良く、また王宮から離れて嚮団という王の力を研究している集団のリーダーの座をCCから受け継いで運営していく上でも便利だった。




求めるものは「嘘のない、優しい世界」。
要するに、すべてがLCLに帰って一つになってしまえば、戦争も、生死も、不幸も、すべてなくなるんじゃね? という人類補完計画。
求めているのはそれだけなのだから、他者とのふれあいも、皇族としての娯楽も、VVには必要なかった。
すべてを目的のために費やし、それを他人にも強制した。



肉体の停止が精神の成長を止めたのか、VVは実に純粋に嘘のない世界を求めている。いわば、子供が遊園地に行きたい、と駄々をこね続けている状態で固定されているのだ。それに夢中になっている間は、もうそれしか見えていない。
そして、弟であるシャルルも当然同じように思っていると思い込んでいる。

自分がシャルルのことを愛しているのだから、シャルルも自分のことを愛しているはずだ。
計画にはない「他人との距離が徐々に縮んでいく楽しさ」など覚えていかずに、「一足飛びに他人との垣根がなくなる世界」だけを求めないと、嘘のない世界は作れない。
すべては、自分たちの信じる「優しい世界」のために。


それはある意味妄信に近いものであったが、だからこそ純粋なものでもあった。
そのため、嚮団に引きこもっていた状態から最近どうにもシャルルの様子がおかしいから見にいこうとして久しぶりに世間様に戻ったとき、自分がマリアンヌ殺害の犯人にされていることに心底VVは驚いた。











「シャルル、いったいこれはどういうことなんだい?」
「V……兄ぃさん、これは、その」


VV襲来、VV襲来!


最近嚮団とか言うところに引きこもっていたので半ば忘れていたのだが、考えてみればこやつも危険なのだ。
なんといっても、最近なんだか思っていた以上に黒いところが垣間見られて少々引いているがあのマリアンヌ様を殺したような相手なのだ。
自分が、シャルルではない、と気付かれた場合始末される可能性が高い、と血の気を引かせるクロヴィス。

出来れば遠ざけたいのであるが、どうしたわけかこの者はどれほど警護を厳しくしても容易く近づいてくる。
にわか皇帝のクロヴィスとは異なり、何十年もこの皇宮でも最も警備の厳しい奥の間に住み着いているだけはある、と言うことだろうか。



かといって、暗殺を企もうにも無理っぽい。

額に浮かぶ鳥が翼を広げる様を極限まで簡略化したようなマーク。
VVと言う名前。
この体――壮年を超えたシャルルの兄だと言うにもかかわらず、その幼い容姿。


そろそろ、クロヴィスも彼がCCと同類ではないか、と言うことに気付き始めてきた。
万が一暗殺をおこなったとしても、CCと同じ不老不死ならば、無駄に終わるどころか此方に死亡フラグが立つ。


いまさらながらに、マリアンヌの口車に乗ってVVをマリアンヌ殺害犯に仕立て上げたことを後悔する。
あの時はルルーシュの怒りを納めることだけしか考えていなかったが、考えてみればそんなことをすればVVの不信を買うのは当たり前のことだし、そもそもろくすっぽルルーシュの機嫌も取れていないのだから、あれは明らかに失策だった。

が、いまさらそれを言っても何ともならない。
周囲を見渡すが、運悪くこういった場合そばにいなければならないバトレーは今は研究所にてジークフリートの改修を進めているから、ここにはいない。
自分だけで何とかしなければならない事態に、クロヴィスは心底びびっていた。

が、この程度で何も出来なくなるようでは、皇帝家業は勤まらない。
ここ数ヶ月の王宮での皇帝生活は、今までのクロヴィスが持っていなかったハングリー精神を彼に持たせた……まあ、ルルーシュとかに比べれば冗談のようなレベルではあるが、今までのんべんたらりと日々を過ごしていたことを思えば格段の進歩である。



「兄ぃさん、ぬぁぜ、マリアンヌさ……マリアンヌを殺したのですぅっ!」



もうここは、勢いに乗ってしまおう、とクロヴィスは思った。
なんと言っても殺された本人が、自分はVVに殺された、と言っているのだ。
マリアンヌが嘘をついていなければ、犯人がVVであることは間違いないことだし、それを公表しなかった今までがおかしいのであって、犯人をしっかりと追及するのは近代国家の常識であろう。

と、いうわけでとりあえず、事件の犯人がお前だ、と世間に向かって公表した自分が悪いのではなく、そんなことをした弁解をまずしてみろやコラ、と言う口調でVVを問い詰めたのだが、答えは実にあっさりしたものだった。



「邪魔だったからだよ」
「…………は?」


思わず素に戻ってしまうクロヴィス。
仮にも弟の嫁を、まるで、「エリア11でレジスタンス活動するには、派手なデビューが必要だから、とりあえず総督でも殺しておくか、腹違いとはいえ実の兄だけど」ぐらいのノリで答えられて、思わず硬直する。

だが、そんなクロヴィス(外見シャルル)の反応なぞ意にも介さず、VVは続ける。


「いい? アーカーシャの剣を使えば、すべての人間は平等になるんだ。それなのに、マリアンヌなんかにかまっている時間がもったいないじゃないか」
「それだけの……理由で?」
「そうさ。シャルルだって本当は分かっていたんだろう?」


なんか最近ちょっとおかしいものの、いまだに皇帝の座に住まうのが実の弟であると思っていたVVは、そうこともなげに言ってクロヴィスに近づいてきた。警護の兵は、いつの間にかすべて遠ざけられている。

ルルーシュのような他者を強制的に従える特異な力があるわけではないが、皇族として数十年間無事に生き抜いてきた、というのはそれだけで力になる。
玉座であろうと、VVにしてみれば単なる弟が座っている椅子にしか見えないということだろう。

実の弟であるシャルルですらついていけなかったその理想に、今までほとんど交流のなかったクロヴィスがああ、そうですか、と納得できるはずもない。



話には聞いていたものの、想像以上にイカレタ様子の伯父の姿を見て、すっかり腰の引けているクロヴィスは、親しげにVVがおのれの手を取ることも、それによって雑多な記憶のフラッシュバック、不死の能力を持つものによって引き起こされるあまりに捩れきった記憶や現状の混雑であるショックイメージに巻き込まれることも止めることが出来なかった。


いろいろと皇室に生まれたごくごく普通の皇族としてのイメージや皇帝になってからのいろいろな苦難の歴史がそのイメージには現れたが、もっとも重要にして影響の大きい一つをあげるとするなら、こういうことが出来るだろう。


すなわち、皇帝の体をクロヴィスが乗っ取っていることがVVにバレた、と。
ギアスを与える側のプロフェッショなるであるVVは、今までビスマルクやシャルルといった面々にさんざんギアスを与えてきた。
当然、ギアスに関するノウハウはクロヴィス以上に所有しており、当然ながらギアスに掛かったものがどういった反応を示すのか、ということも熟知していた。

すなわち、最近様子がおかしい弟がひょっとすると誰かにその精神を操られているかもしれない、ということにVVは瞬時に気付いた。


「っ!!」
「どーしたのです、兄ぃさん」


それからすると、確かにクロヴィスは無防備すぎた。
今まで世界すべてを巻き込む陰謀の真っ只中にあって、マリアンヌが適当ぶっこいたばっかりに正確な内容を知らなかったクロヴィスは、VVに対してもそれほどの警戒心を抱かなかったばっかりに、最愛の弟を何者かのギアスによって奪われた、と瞬時に悟ったVVに対抗する事はそう簡単ではない。



「お前…………シャルルをどうしたんだ!!」
「げっ!!」


いきなり服の内側からマシンガンを取り出してくるVVにたいして、肉体は完全無比な皇帝であり、一定の護身術を身につけているものの、中身はヘタレであるクロヴィスが取れる手段はそう多くはなかった。

至近距離、しかも相手は銃器を持っているということで後ろに逃げるわけにはいかなかったクロヴィスは、前に進むしかなかった。


だが、それはどちらにとっても最悪の結果しか生まなかった。



「お、落ち着いてください、伯父上っ!!」
「うぁあ、や、やめろっ! やめるんだ、この偽者め!」




VVの体を抱きしめるような形でしか、その凶弾を避ける手段がなかった男は、結果として二人でダンスを踊るかのような体勢に押し込まれ……やがて、二人は一つになった。



得体の知れない感覚が徐々に自分の体の中に入ってくるのを、可能な限りの意思で拒絶しながらも、しかしクロヴィスはそれを止めることは出来なかった。

VVにしてみてもこれは予想外のことだったのだろう。
苦しげに表情をゆがめるが、そもそもVVの体格は子供だ。
かつてはVV自身もギアスという超常の力を持っていたのであろうが、それはもはや失われている。
今になってみれば不死の体を持つとはいえ、単なる子供に過ぎない。
当然、その腕力もその体格に相応しい程度でしかなかった。

皇帝シャルルのそれを奪ったが故に成人男子として恵まれた体格を持っているクロヴィスに抱きすくめられてしまえば、一切の抵抗が無に返し、せっかく持っていた唯一クロヴィスを殺すことが出来たマシンガンも取り落としてしまう。





そして何より、VVはCCと同様のCの力、不老不死と他者に「力」を与える能力を持っており、シャルルの体に入ったクロヴィスはそれを受け継ぐに足りる十分なほど「力」を使いこなしていた。

CCの望みは、不老不死である己の体を、その源であるCの力を誰かに奪ってもらって死ねる体を手に入れることである。
そのためには、一定以上ギアスを使いこなしている人物が必要なので、今現在はそれを育てている最中だ。




つまり、一定以上のギアスの制御能力さえあれば、不死の力は奪えるのである。














結果、当然のようにVVから不死の力がシャルルボディに入っているクロヴィスに受け継がれた。


不死皇帝、クロヴィスの誕生である。






「なっ………いいのか、こんなことをすれば、お前の力、『死んだときに最も血縁に近いものの精神を奪う』ギアスだって、使えなくなるんだぞ!」
「何ぃいい――――!」


いきなりVVから告げられた、おのれの能力を知って思わずクロヴィスが悲鳴を上げる。
彼からしてみれば、そんな能力があることなんて今まで知らなかったのに、いきなり言われても、見たいな感じである。



クロヴィスは他者にギアスを与えることが出来る能力を持つ少女、CCを捕獲していた親玉である。つまり、ルルーシュなぞよりよっぽどCCと付き合ってきた時間は長い。
CCにいろいろな実験を行った結果、本人に自覚がないまでも、いつの間にかその力『ギアス』が瞳に宿っていた。



とはいえ、それに気付かなかったのも無理はない。

CCによって中華連邦に置き去りにされた少年、マオの『他者の心を読む』ギアスは、常時発動型であり、意図せずとも発動しっぱなしで、常に彼の体には他人の思考が流れ込んでくる。
ナイトオブワンの持つギアス、『他人の思考における未来を読む』ギアスも、これに似た性質、ギアスの宿る瞳を縫い付けておかないと勝手に発動してしまう、という性質がある。
これらのギアスは常時発動型であるため、常に使用者の脳に負担を掛け続ける非常に不便なものであり、力に心が振り回されがちになってしまうという欠点をもっているため、VVやCCのような能力者からしてみれば、失敗作である。


逆に、成功作であるシャルルやルルーシュの力を考えれば、これらの能力―――『記憶を書き換える』『一度だけならいかなる命令も刻める』ギアスは、本人が望んだときにしか発動しない、使用者に負担をかけないものだ。このようなものの方が、ギアスの力の大きさに飲み込まれず、長生きをする可能性は高い。
ギアスを使いこなすことを望むCCのような存在にしてみれば、こういった存在こそがギアスの使い手として望ましい。

ただし、これらの能力は対象の瞳を見つめなければ発動できない、という致命的な欠陥がある。

現在ギアス嚮団に存在する実験体の中にはこれらの条件をクリアしたものもいないではないが、その代わりに「使用中自己の心臓も止まってしまう」などといった余計な条件が換わりにつく以上、失敗といわざるを得ないだろう。
つまり、相手の目を見る必要があるが必要なときのみに発動する、これがギアスの完成系である。


すなわち、ギアスの発現条件は、大きく分けて「常時」か、「任意」かの二つに分けられる。他者の意識に干渉するものは相手の目を見なければ発動せずに、自己の意識に他人とは違う能力を与えるものは、常に発動しっぱなしになりやすい。
ルルーシュやビスマルク、そしてシャルルはそれらを念頭に置いて、対ギアス対策を練っていた。





だが、これらの能力とはまた違った派生系がこの能力には存在する。
すなわち、「死の直前にのみ」に発現する、マリアンヌの持つ「自己の人格を他人に複写する」ギアスのような、特殊条件が存在する代わりにルルーシュたちとはまた違った、非常に強力な効果をもたらすギアスだ。



実験中のCCから偶然にクロヴィスから取得したギアスも、この「死の直前にのみ」しか発動しないタイプのギアスだった。
それは、マリアンヌの持つギアスに非常に良く似た性質を持つものであった。


すなわち、クロヴィスのギアスは、『死の間際にのみ発現するギアス。もっとも近い血縁関係のものとそっくりそのまま精神を入れ替えて成り代わるという、いわばマリアンヌのギアスの亜種であり、相手の目を見なくても死ねばオートで発動する』と、いうものだ。

ちなみに有効距離、実に二万キロメートル。
地球上にいる限り、ほぼ全土をカバーしているから、地球の裏側からでも誰かを乗っ取れる。


ショックイメージからクロヴィスのギアスの詳細を読み取ったVVは思わずそれを叫んだが、その内容はクロヴィスにとって見れば予想外の内容であった。


クロヴィスからしてみれば、自分が父であるシャルル・ジ・ブリタニアの中に入っているのは、てっきりルルーシュの力によるものだと思っていたのだ。
彼は、ルルーシュがギアスを使って自分を父の体に閉じ込めたのだ、と勘違いしていた。故に、よほどおのれがルルーシュに恨まれていたのだ、とびくびくしていた。
まさかそれが、自分の死を契機として自力で発動した能力だなどと思ってもいなかった。

自分にそんな能力があること、そしてこの厭で厭でたまらない体を抜け出すためには、自分が死ねばいいだけだった、などということは完全に予想外のことであった。


しかも、知った瞬間にはすでにおのれは不死の体。
不死ボディだとギアス能力が消える、とか以前の問題として、「自己の死」が発動のトリガーになっている以上、他人に乗り移ることなどできるはずがない。



「さっさと死んでいればよかったーーー!!」



ようやくこの似非皇帝姿から逃れられる手段を知ったにもかかわらず、実行不可能になったことを知ったクロヴィスは、自分がVVに命を狙われていたことも忘れて、思わず呪いの言葉を宙に吐いた。









そんな中、ルルーシュは最愛の実の妹より、「お兄様は私の敵です」宣言をされて、完全にへこんでいた。







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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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