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狼狽皇子様5

ナナリーな話
連れてきたナナリーのまぶたを開けさせてぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~と「能力」をかけた次の瞬間、今まで何をしても治らなかったナナリーの足がぴくりと動き始めたではないか!


そして数日後……そこには元気に走り回るナナリーの姿が!
今では彼女が健常人、なぜなら彼女はクロヴィスにとって特別な存在だったのですヴェルターズオリジナル。


とまあ、そんな感じでナナリーの足と目は、なんか適当にファジーな感じで以前掛かっていた母親の死に目を直接見てしまったというトラウマの捏造記憶を、皇帝が持っており、今はクロヴィスが受け継いでいる「記憶を改変する」能力で掛けなおしたら、元に戻った。

この能力は相手の目を見なければ発動しない、つまり視神経から入っていくので盲目のナナリーには通じないかな、とも思ったのだが、マリアンヌの死の真相の報道が真実だと繰り返し告げ、ガン見しながら何回もかけたらうまくいった。
光情報なので相手の目が見えないと効果がないこの能力ではあるが、物理的に神経が断裂していなかったから助かったようなものである。

皇帝はルルーシュとは比べ物にならないレベルでこの「能力」を使いこなしていたので、その中の人になっているクロヴィスも結構この能力を使えるようになっている。
まさに皇帝様様、縦ロール万歳であった。



そんなこんなでナナリーの目と足の障害も元々怪我がどうこうとか言うものではなく、心因性のものが原因だったので、今までろくに使っていなかったため筋肉のついていない足はもう少しリハビリを必要とするであろうが、目は二、三日もすればすぐにでも見えるようになった。

結構可愛がっていた妹が美しく成長した上に障害も治った+これで確実にルルーシュの機嫌も直るだろうと思ったクロヴィスは大フィーバー、元々皇帝とはいえ中の人が派手好きなので、ナナリーのお披露目もかねて一大パーティーを開いた。
そしてその様子を嬉々としてエリア11に流すバトレー。今度こそルルーシュも機嫌を直してくれるだろう、と思ったのだ。

なんといってもあれほど幼いころ可愛がっていた妹が元気になって父と共にいるのだ。
いつのまにやら妹と大喧嘩でもしていない限りその回復を喜んでくれ、父である自分に対して感謝しているだろう、と。





この瞬間、今度こそクロヴィスはルルーシュの怒りを納められると確信していた。





「でも、本当にナナリーが元気になってよかったわ。生きていてくれた上にちゃんと目と足まで治って……本当に神様に感謝しなくちゃいけませんね」
「まあ、ユフィ姉さまったら」
「(ああ、癒される。なんて二人ともまともなんだ。これで私が元の体であれば言うことないのだが、そこまでは望むまい。後は、早くルルーシュが帰ってきてくれれば、二人も喜ぶのだし言うことがないのだが)」


その結果として今、クロヴィスは彼の妹であり、現時点では娘でもある異母姉妹、ユフィとナナリーと共に暢気にまったりとお茶の時間を過ごしていた。
生前の彼の母と仲がよく、クロヴィスと親交の深かったなんかドラクエとかにでてきそうな外見のレ家の異母姉妹、カリーヌはごくごく一般的なブリタニア皇族だったのでお茶をするにしても結局のところ腹の探り合いになってしまい、こんなほにゃほにゃな雰囲気にはならないため、久しぶりに再開した妹達は肯定となってからのもろもろの事情によりささくれ立っていたクロヴィスの心に実に良く働いた。

二人と同じ和み系とはいえ、流石に第一皇子オデュッセウスはクロヴィスとお茶をしてくれるほど暇ではないことだし。



他はほとんどシュナイゼルの劣化版、良くてコーネリアの派生系しかいないブリタニア皇族。
あくまで、コーネリアの力によって今まで政務からも軍務からも遠ざけられ、お花畑で育ったようなユーフェミアと、ルルーシュの尽力によって優しく優しく育てられたナナリーだけが別格なのである。
今現在クロヴィスの命を脅かすものの筆頭のうちの二人、ルルーシュとコーネリアの妹とは思えないほどに。


「はっはっは、きっとルルーシュの願いが天に届いたんだろう。ルルーシュのことだ、きっとよほどナナリーに過保護にしていたんじゃないかい」
「ええ……本当にお兄様は今どこにいらっしゃるのでしょう」


そんなクロヴィス(外見シャルル)の声に、ナナリーは血の繋がった兄のことでも思い出したのか、落ち込んだ声を出す。
ナナリーを保護した直後から、ルルーシュの行方は全くわからなくなっている。




まあ、普通に考えて逃亡中な訳だが、現在の皇族の中でトップ5にはいるぐらいのお人よしトリオは、その原因がさっぱりわからない。

クロヴィスなど自分が理由にもかかわらず、ナナリーの目と足が治ったのだし、ルルーシュの身分だって保証するんだからゼロなんてやめてさっさと戻ってこればよいのに、と本気で思っている。




ちなみに、クロヴィスはこの二人の前でまであの口調で話すのは面倒なので、あれは演説用に作っている声なのだ、ということにしている。

あの幼いころより聡明だったルルーシュならばさておき、日本に行ったときはまだ物心がついたかつかないか程度の年だったナナリーはもともとのシャルルのことなどほとんど知らないし、今までそれほどシャルルと語ったこともなく、また頭の中もほとんどお花畑で出来ているユフィもそれに疑問を持つことはなかった(コーネリアには内緒と釘をさしている)。


まあ、バトレーに守られ続けてきたクロヴィスが人のことは言えないのだが。



「きっとすぐに見つかりますわよ、だから元気を出して、ナナリー」
「うん、ユフィの言うとおりだ。それに医者の許可が出たらナナリーも探しに行けばいいじゃないか」
「そう……ですね。今まで私がお兄様に頼りっきりだったんですから、今度は私が探しに行かなくては。ありがとうございます、ユフィ姉さま、お父様」
「早く見つかるといいわね、ナナリー」
「はい」



その雰囲気に呑まれて、クロヴィスも早くルルーシュが見つかって、自分と仲直りしてくれればうれしいなあ、などと思っていた。
自分が殺されたことなど棚に上げて、もういっそ王位はシュナイゼル兄上に任せて兄弟―――というか、今は親子だが―――で仲良くアニエス宮の隅で過ごそうではないか、など思ってしまうほどに。
基本的にクロヴィスはどこまでいっても善良なのだ。

ルルーシュに殺されたことで彼に対しておびえてはいても、それでもルルーシュが謝罪すればあっさりと受け入れるだろう。
シュナイゼルやコーネリアのような権力欲バリバリの人間とは、明らかに感覚が違うのだ。


ある意味優しい世界がここにはあった。















だが、登場人物のすべてに死の危険が付きまとっているといわれているこの世界は、そんなにあっさりと兄弟の和解を許すほど優しくない。
ここは、いつ今までさんざん頼ってきたはずの配下たちが裏切って自分を売ったり、最近仲良くなってきたはずの義理の弟がいつのまにやら自分の友人の少女を殺したり、はたまた最愛の妹が敵に回ったりするかわからない殺伐とした世界なのだ。



元々の印象が悪ければ、どんだけ善意によるいいことをしても、早々認めてもらえないのが世の常である。
クロヴィスが三人で幸せ家族計画を行っている最中、ルルーシュはナナリーが五体満足で皇族に復帰したという放送を見て怒りに怒り狂っていた。



「ふ、ふざけるなっ! 糞、あの男め。ナナリーを、よくもナナリーを皇室なぞに……」
「おい、落ち着け。シスコンもそこまで行くとちょっと引くぞ」
「黙れ、ナナリーが、ナナリーがあんなところにっ!」
「これがあっちの挑発なのは自分でもわかっているだろう? だから、ピザでも食って少しは落ち着け。契約を果たされる前に死なれては困るんだ」



ナナリーが皇族=兄であるルルーシュが皇族、と言うことになるのでアッシュフォードにも戻れず、ここ黒の騎士団の本部である移動式トレーラーの中でルルーシュはひたすらぶつぶつと呟いていた。

今までさんざん世話になってきたアッシュフォード家は今回のナナリー発見によって皇帝の手が入りに入っている(=爵位復活&領地獲得&補助出まくり)ため、もはやミレイに一目会うことすら出来ずにあせりまくっているルルーシュに、ここに来て駄目押しの皇室で儚げに笑うナナリーの映像。
普段はルルーシュの行動に干渉しないCCが思わず口を出してしまうほど、ルルーシュはやばい状態になっていた。



「妹命!」なルルーシュにとって見ればナナリーの目と足が治ったことは何よりも喜ぶべきことだが、それがあの皇帝のとなりで、となればもはや悪夢に近い。

自身がもっとも危惧した、「自分らがブリタニア皇族であると見つかり、再び政治の駒にされる」ということが、自分がテロ活動なんてものをしたばっかりにナナリーの身に降りかかってしまったのだ。
そこにきて、周りを皇族や貴族に囲まれた状態で自分の助けもなくあの父の横ではかなげに微笑むナナリーの絵。




実際は、せっかく目が見えるようになったのにお兄様がいないから落ち込んでいるわけだが、ルルーシュからしてみればせっかく目が治ったナナリーが自分をおびき出すために無理やりおとりにされているようにしか見えなかった。


自虐に陥りがちなルルーシュは勿論自分を責めたが、それ以上にこんな事態を引き起こした皇帝を恨んだ。
クロヴィスの思惑とは裏腹に、今回のナナリー皇族復帰の件は、本気でゼロ=ルルーシュということを何らかの方法で知った皇帝が、ルルーシュを引っ張り出すために張った罠だ、と思ったのだ。


「ゼロを引きずり出すために、ナナリーを利用するとは、これだからブリタニア皇族は!」
「今ならそのナナリーだってそのブリタニア皇族だぞ」
「ナナリーは違うっ! ………………違うんだ、俺はっ……ナナリーだけはあんな男に利用されたりしない、優しい世界を作ろうと戦ってきた………なのに、なのにっ!」


本当にこいつはナナリーのことになるといつもの冷静さがどっかに行くなあ、とは思いつつも、この契約者のまっすぐさはCCにとって心地よい。



CCからしてもこれは予想外のことだった。
全くもってシャルルとマリアンヌの狙いが読めない。




こんな挑発をして、ルルーシュの憎しみを買うことが一体なんの役に立つのか?


妹を奪われたルルーシュは一層ブリタニアを憎み、その憎しみをギアスを成長させる糧とするだろう。
ギアスを使う回数が多くなり、それを使いこなそうとする意志が強ければ強いほど、王の力の侵食は強くなる。


今はルルーシュは左目に自在に王の紋章を浮かべたり消したりできるが、やがて消すことが出来なくなったり、両目に発現したりするだろう。
そしてそのたびにギアスは、強制力が強くなったり、射程距離が伸びたり、一人につき一回という回数制限が取り払われたりして、CCの持つ不死の力、Cの力に近づいてくる。



その結果としてやがてルルーシュはCCの力を奪ってくれるかもしれないが、それがシャルルとマリアンヌに対して何の益がある?
自分にとっては万々歳だが、CCから能力が移って、自分たちに非協力的なルルーシュがこの力を持つのは、連中がたくらむ「みんなみんな心のうちをさらけ出せば世の中に嘘と駆け引きとか邪悪なものはなくなるよね」計画にとって、不都合なはずだ。


まさか、マリアンヌが姿を現せばルルーシュがあっさりと言うことを聞くとでも思っているのだろうか?
だが、それならばここでルルーシュとナナリーを引き離してルルーシュの恨みを買う意味がない。


いくらなんでも中の人がクロヴィスになってテンパリまくっているなんて予想できるはずもないので、CCにはあの二人の考えていることが全くわからない。
VVを切り捨てた、ということはすでに皇帝は不老不死に成っているのかもしれないが、計画にはどうしてもCCの力が必要だ、ということは二人にはわかっているはずだ。いまだに不死の力を保持している自分をルルーシュごと切り捨てる意味がわからない、などと中の人の浅慮など全く考えもせずにひたすらに深読みしていく。

とにかく、ルルーシュの怒りを買うようなことばかりをしたその上で、さらにCCの力よルルーシュに移れ、とばかりにルルーシュに一層のギアスを使わせようとする意図がまったくわからないCCは、とにかくひたすら思案をめぐらす。
その中には、危惧もあった。




万が一、ルルーシュがぶちきれて本国に乗り込んだらどうするつもりなのだろうか。






はっきり言って、ルルーシュが「ギアス」と名づけた力、それも彼に与えられたものは絶大だ。
桁違いといってもいい。

それはどんな相手にでも、たった一度だけ命令を下せる「絶対遵守」の力。
すべてのギアスの中でもおそらく最強の能力だろう。
「体感時間を止める」「未来を読める」「他人の心が読める」「記憶を改変する」それらの力のどれもが児戯に見えるほど強力な力だ。


枢木スザクはゼロの、ルルーシュのやっていることを「間違った行為によって結果を得ようとしている」と評したが、CCはそれは違うと思っている。

本気でルルーシュが皇帝を下し、ナナリーに対して安全な世界だけを作りたいというのであれば、こんな黒の騎士団なんていう迂遠な手段なんてとる必要はないのだ。
もっと簡単で、もっと間違った手段が存在している。




そう、すべて支配してしまえばいい。




出会ったものすべてに対してギアスをかけ、「俺に従え」と一言かけるだけでいい。
それで終わりだ。
それだけで地球上のほとんどの勢力がルルーシュの手に落ちる。
無限の人材に支えられた人海戦術は、皇帝側にギアスの性質を防ぐバイザーなどの対策を取られる前にあっという間に数百万、数千万の単位で死をも恐れぬ兵隊を作ることになるだろう。
あの力の前には、民間人、軍人の区別など意味を成さない。



確かに、「自分に従え」などというあまりに広範囲で、自分の意に反する強力な強制力を掛けられれば、そのものは常時ギアスの効力に捕らえられることとなり、すぐに現実とギアスとの間に挟まれて、脳組織を酷使することとなり、死んでしまうだろう。

だが、それがどうした?
弾などいくらでも補充が利く。



出会った兵を片っ端から奴隷へと変え、内部から、外部からブリタニアを崩壊させる。

死をも恐れぬ狂信者に加え、いつ自分たちの身内が敵に回るか判らない疑心暗鬼感。
敵にしてみれば悪夢に近い。


いかに世界の三分の一を占めるブリタニアとはいえ、あっという間に瓦解するだろう。




だが、ルルーシュはそんな手段を取ろうとはしなかった。

軍人に対してならいくらでも残酷になれるのに、一般人を戦いに巻き込むことを嫌っている。
殺すならばまだしも、その心を奪い取り、ゆっくりと滅んでいくことは許さない。
使い勝手の悪い愚鈍なコマであるはずの黒の騎士団に対しては、ギアスをかけようともしない。



ただただ、正当に、ブリタニア王家に対する反逆者としてごくごく真っ当な手段、支配地域の国民を指揮することによる武力による反乱、という植民地における「もっとも正しい」手段を選択している。




それは、とても迂遠な方法で……どこまでも、皇帝のような他者の意思を無視した行為に対して反発した方法だった。

結局こいつは、ナナリーの求める「優しい世界」の実現のために戦っているのだ。

その過程で卑劣な行為もとるだろう。
その中には他者を殺される手段も選ばれるだろう。

それでも、その根底には他人にも、自分にも優しい世界を実現したい、と言う「正義」がある、とCCは思っている。



「だから、とりあえずそのブリタニア本国での無差別テロ活動計画をやめろ。優しい世界を作るんじゃなかったのか」
「ナナリーがいてこその優しい世界、ナナリーがあってこその黒の騎士団だったんだ!!」
「そんなことしたらナナリーは一生お尋ね者だぞ、少しは落ち着け」



だが、それらもすべてナナリーのため。
もし彼女がいなければ、ルルーシュは手段なぞ選ばないだろう。



(おい、本気でどうするんだ、シャルル。このままでは本気でブリタニアという国が瓦解するぞ)


ナナリーを奪われたと本気で思っているルルーシュは、怒り心頭のあまり無差別にその怒りを撒き散らそうとしている。それほどまで、ナナリーの存在は大きかったのだ。




そして、それを止めようとしているCCも、何故自分がそんなことをしているのか理解していなかった。
彼女からすればルルーシュがそういった手段を取った方がよっぽど都合がいいのに。


結局、不死の魔女は優しすぎたのだ。

ルルーシュのことを単に契約者とだけ見ることは、数百年を生きるにしてはあまりに人間味のある彼女には出来なかった。






そして、そんなこんなでCCがルルーシュを止めているうちにそこそこの月日が流れ。












結果、お兄様を探しに、エリア11にてナナリー副提督が爆誕した。



その出発を、手を振って見送ったクロヴィスは今度のお茶会はルルーシュも込みで和やかな雰囲気になることを願ってやまなかった。





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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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