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鬼畜ま 24 +お知らせ

唐突に申し訳ないけど、鬼畜まはこれで一端休止させていただきます。
非常に中途半端なところで切ってかなり罪悪感があるんですが……もう無理。
その、次の話が思い浮かばないというのもありますが、それ以上にマガジン本誌が。
展開についていけないとかじゃなくて、ここまで読むのさえが辛くなるとは書き始めた頃は予想だに出来ませんでした。
やはり、連載中の作品の二次は私にはレベルが高かったのかもしれない。

正直もうこれ以上原作踏まえてそこに自分の妄想足して、という作業ができる気がしませんので、無理やり投げっぱなしにでもなしつけて完結させるのか、それとも続けるのか、という最低限のところも原作が完結してから決めたいと思います。
期待してくださった方、真に申し訳ありませんでした。


完結後追記
……まだ頭が展開についていっていません。もうちょっとお待ちください。
いや、一区切りはつけるつもりですよ? 
でも学祭で終わるメリーさんの方が先に出来上がりそうなほど、未だに魔法世界編あたりから思考能力が追いついてないです











「ネーギ先生❤」
「え?」


大堰川のほとりで明日菜を待っていたネギは唐突に後ろから声をかけられて、思わず振り向く。その明らかに明日菜とは異なる声のトーンに驚いて振り向くと、そこに明日菜はいたものの、それ以外にも修学旅行五班メンバーが勢ぞろいしていた。みんな修学旅行ということで精一杯着飾っているのか、一層明日菜の服にお金をかける余裕のなさが強調されてしまっているが、ネギは英国紳士らしく無難な感想を返した。


「わあ~~~っ、皆さんかわいいお洋服ですねー」


……………そして、その直後にようやく何故ここに明日菜以外の人間がいるのかという疑問に気付いた。


(じゃなくて、なな、何で明日菜さん以外の人がいるんですか~~~~っ!)
(ゴメン パルに見つかっちゃったのよ)
「ネギ先生、そんな地図持ってどっか行くんでしょー私達もつれてってよー」


 そんな内密の話をネギと明日流している事にはてんで気付かず、ハルナが気楽にネギの思惑をぶち壊す発言をしている。
 その横でこちらを窺っている刹那は今にもやれやれといわんばかりの雰囲気をかもし出しているが、助け舟を出してくれそうな気配はないようだ。






 こうなったら仕方が無い、途中で抜けるとするか、と思ってネギは仕方なく、明日菜以外の人間を撒くための場所を探し始めた。
 そんなこそこそとしているネギと明日菜に違和感を受けたのか、ハルナは明日菜に向かってちょっとした世間話をするような感じで問いを発した。


「…………ねえ明日菜、ちょっと聞いていい?」
「ん? 何?」
「……あんた、ネギ先生とつきあっていないよねぇ?」


土語者!!


 凄まじい効果音を響かせて明日菜が近所の信楽焼の狸に向かって頭突きを繰り出す。はっきりいって親父趣味である明日菜にとってネギ、というか十歳のガキなんて恋愛対象弩級アウトである。そのため巻き起こったリアクションに、明日菜の返答を聞くまでもなく悟ったハルナが謝る。


「その様子だと違うみたいね………」
「あったり前じゃ無い、十歳なのよこの坊主は」
「ご……ゴメン、そーだよね(まあ、フツーはそっか……まだ小学五年生とかだもんねー)」


 そういってその数少ない例外であることが昨日の大まくら投げ大会における夕映の証言で判明した親友の一人であるのどかの方へとハルナが視線をやると、未だ大会でのキスの余韻が抜けていないのか記念品のカードを持ってニヤニヤというかニコニコとしてちょっとみんなから遅れてついてきている。
 まあ、いかに世間一般の倫理から離れていたとしても、そもそもそんな倫理なぞを気にするような輩がオタクになる訳がないとして、明日菜とのブッキングもないことから気兼ねなくハルナはこの修学旅行中にネギとのどかの距離を縮めてやろうと思った。
 そのため、普段から引っ込み思案なのどかのためにこの機会で積極的にチャンスを与えてやろうと思って声をかける。


「オーイ、のどか。あっちにゲーセンあるか記念に京都のプリクラ撮ろうよ、ネギ先生と一緒に! ね」






「おーーーーすごい、ネギ君」
「おおっ、うまい!! 先生、ホントに初めて!? さっすが天才少年だね~~~~」


 ネギがそのゲームの魔法使いという言葉に引かれたのか、ゲームセンターにおいても非凡なる才能を発揮していると、そこに近づいてくる影があった。


「………おいしそう」
「姉さま………」
「お、おい。……と、隣入ってええか!」
「え あ、うん。いーよ」 


 そうやってなんだかんだ言いながらネギたちがこのゲームセンターを楽しんでいたそのとき、一組の男女がそばに現れた。
 たれ目ながらも絶世の美女にかわいらしい少女、そしてこの年ですでにワイルドさが十二分に漂っている少年。たぶん今現時点において京都で一番危険な妖、初音姉さま御一行だった。


初音がネギ達を見て思わずつぶやいたその一言を聞いてしまった小太郎が、あわてて話題を逸らすかのようにネギに対して対戦の許可を求めた。
彼の信じる幼い正義感からしてみれば、初音の「食事」は許されるものではない。奏子とは異なり、自らもいつかはこの生簀の魚としての立場から逃れる事をねがっている小太郎だったが、その前に己かわいさに他者を犠牲にして逃げるような事は許されないとして、なんとかこの場を被害ゼロで切り抜けたかったからだ。

 突然現れた一同にちょっと目を見開いて驚きをあらわにするネギだったが、先ほどの練習中にも隣で何かと騒がしいハルナに説明されていたので、自分が勝負を挑まれているのだという事を理解して、了承の言葉を返す。


「おーーーー美人さんらに美少年。うちらみたいなカップルやなあ」
「乱入だよ、大丈夫!? 先生」
「ネギ君、がんばれーーー」
「地元の子なんかに負けるなーー関東の意地見せてやれーー」


 その一行に対して本気か冗談か良くはわからないような言葉を木乃香が返すが、そんな言葉を押しつぶすようにハルナがネギに発破をかける。
 それを見て興が乗ったのか、初音もその整った唇を小太郎の耳に近づけて、囁いた。その言葉を受けて、小太郎が思わず背筋を伸ばす。ちなみに内容は秘密だが、微妙に小太郎の腰が引けているところから察していただきたい、南無。
 とにかく、自身の身の危険が迫っているからか、小太郎はネギが初心者という事が分かっているにもかかわらず容赦のない攻めを繰り出してくる。


「よ、よーし」
「いけ! そこだ!」
「そこで杖のカードです!」


 そして、ネギたちに目をつけたのは小太郎たちだけではなかった。ネギ達をさらに遠くから不敵に見張る三つの影があった。初音たち妖のものとは異なった完全に人の気配しかしないが、それらの雰囲気は人の暗黒面に落ちたかのように禍々しい。奇しくも小太郎たちとは対照を成すかのように男二人に女一人の組み合わせだった。
 その彼らがネギたちに投げかけているその視線は、決して好意的なものではなかった。


「ふふふふふ、あの坊や達、たいした実力もない魔法使いの癖にあんなに注目を集めて、ちょっと調子に乗っているんじゃない?」
「ふ、まああの年頃のガキ共には良くある事だ。俺たちが教えてやればいい、現実の厳しさってやつをな」
「そうそう、この世界は一体誰が仕切っているのかってのを教えてやる事にしようぜ!」


 そういって、三人は機を図るかのように徐々にネギたちの背後に近づいていった。

 そんな身近に迫る危機には気づきもしなかったネギたちだったが、奮戦むなしくやはり小太郎に敗れた事で「あーあ」といった雰囲気が漂っていた。
ちなみに初音は小太郎たちの動作に飽きてどこかにふらふらと流れていった………あ、今はUFOキャッチャーの握力のなさに戸惑っているようだ。今度は奏子にやらせているが、うまくいっていない。このままでは景品口から糸を突っ込み始めるかもしれない。
 そんなことには気付かず、ネギと生徒達には柔らかな雰囲気が流れ始め、ようやく周囲に初音たちがいないことを理解する小太郎。


「あっ」
「あーーー負けたーーー」
「いやー初めてにしてはよくやったよ、ネギ先生」
「―そやなあ、なかなかやるなぁ。あんた(きょろきょろ)」


 なにやら挙動不審な小太郎だが、ハルナ等にもみくちゃにされているネギは気付かなかった。それを幸いに小太郎があわてて目と鼻と耳を駆使して周囲の状況を探る。
 そうこうしている内にお目当てのものを発見した小太郎は、ネギに最後にアドバイスというか挑発をして席を立った。


「でも……魔法使いとしてはまだまだやけどな(おった!!)」
「え……うん…どうも」
「(またなんかしとる……)ほなな、ネギ・スプリングフィールド君」
「えっ! ど、どうして僕の名前を!?」
「だってゲーム始めるとき自分で入れたやろ?」
「あ、そっか」
「ほな!」
「あ……」


 そういって、あわてて初音を追いかけていく小太郎。その背に向けて、せめて名前ぐらいは聞こうと声をかけようとして席を立ったネギだったが、自分の使命のことを思い出してその場に立ち竦む。ゲームに夢中になっていたが、ネギは関西呪術協会に行かなければならないのだ。
 自らの使命を思い出してはっとするネギの背に、戦いを挑んでくる声が聞こえた。
 ネギが注意を逸らしたその瞬間に、ネギたちに向かって粘っこい視線を向けていた三人が彼の生徒達に襲い掛かってきていたのだ。


「ちょーーーとまったーーー!」
「ふっふっふ、そこの少女達、関西限定カードを手に入れるために生贄になってもらうぞ!」
「何者っ!」
「私はライア!」
「俺はモルテガ!」
「俺はナッシュ!」
「あ、あんた達は確か、初心者が入ってくれば容赦なくポイントにするってオフィシャル掲示板で注意書きが入っていた!!」
「ふん、あんな弱い連中ばっかり集まっている掲示板なんて関係あるかよ。俺たちはレアカードを手に入れるためならば何でもするだけの、プロの三連星だ!!」


 彼女達にわざわざポーズを取ってから襲い掛かっていたのは、カードゲーム「アヴァロンの鍵」OHPでも話題になっていた、外道魔法使い連中だった。実力者や公式大会には決して参加しないで徹底的に弱者たたきを行い、制約ぎりぎりの特殊カードを金にあかせて組み込むなど、マナーがなっていないということで幾度となく注意書きに記載されているにもかかわらず、未だ改める様子もないともはや魔法使い個人名でアナウンスがなされるほどだという事を、このゲームにはまっていたハルナは覚えていた。


「ふふ~ん、上等。返り討ちにしてあげるよっ! やるよ、ゆえ、このか!」
「わかりました、ハルナ。あなた達もルールの重みを思い知りなさい」
「え? ウチも? う~ん、まあええか」


 彼女のネット上の知り合いも彼らにカードポイントを巻き上げられたという事で義憤に駆られていたハルナは、一緒に良くやっている夕映、そして賞品等の小物好きで結構ハマっている木乃香と組んで、チーム戦を挑んだ。もはや先ほどの少年やネギたちのことなど頭の片隅にもなかった。

 思わぬ展開に目を点にするネギと明日菜。だが、これは絶好の機会だということで刹那に目線をやって一つ頷くと、ネギと明日菜は近くの総本山に向かって駆け出した。








「お! お前は」
「どうも~一晩ぶりですなあ~」


 ほぼ同時刻。ランスは先日逃した獲物の一人と遭遇していた。シィルは教育実習生として3-Aの生徒達の一班に拘束されており、なぜかあてなもそれに乱入したため、ランスは一人でぷらぷらと最近のマイブームの芸者ガールを探して京都の町を歩いていた。
 そこに現れたのは昨晩ランスたちと争った誘拐犯の一人、月詠だった。なぜか大正時代の貴婦人のような格好をしており、人力車に乗ってという派手な登場だった。
この時点でランスから身を隠そうという意図がないのは明らかである。ここでネギなら真相を聞きだそうとするだろうし、麻帆良学園の正規教師、たとえばタカミチ教員であれば問答無用で仕掛けて捕縛して背後関係を吐かせようとしただろう。麻帆良学園のVIPの一人である木乃香を攫おうとしたのだ、そのくらいは普通のものであれば当然だろう。

 が、いかなる意味でも常人とは異なるランスからしてみれば、昨日は運悪く逃してしまった鴨が葱と鍋と出汁とコンロをもって現れたようなものという以上の認識はなかった。
そのため、前回の去り際の約束の履行を求めようとした。


「おお、ちょうどいい。さあ、約束だぞ、今すぐやらせろ!」
「いらちなお人やなあ。とりあえずお昼でも一緒にしません?」


 やんわりとなだめる月詠だが、もはやランスからしてみればこの場でGO! という感じなので、ほとんど聞く耳を持たない。そのやる気満点のランスをゆっくりと月詠は懐柔していく。


「まあまあ、上鴨茶寮の御椀とか美味しいですえ。ちょうど座敷もとってありますし、その後でもゆっくりに」
「むむむ…………」
「こんなところでは風情も何もないし、やすけないわあ」
「ふむ、そういうことならいいだろう、がはははは」
「それではこちらに~」


 そういってランスを説得する事に成功した月詠は、そういって人力車の座席にランスを誘う。普通の人間の神経であれば罠やだまし討ち等を用心してわざわざ相手の用意した場所なぞに入って行きなどはしない。
 が、ある意味究極にアホなランスはそんなことなぞ考えない。月詠が感心するぐらいに堂々と乗り込んできた。しっかりと座席に腰を下ろし、すかさず月詠の腰に手を回す。
 認識阻害の魔法等で透明化しているとはいえ、鎧を着けているので月詠が離れていようが密着していようが感触的にはさしたる影響はないはずなのだが、それでも実に自然な動作で女性を自分に近づけようとする。

 そんな奔放さにくすりと口元を緩めた月詠は、下品にならない程度にランスに向かってしなだれかかって見せ、車夫に向かって頷きの合図を返して見せる。それに伴って、黒の前覆いを被って顔を見せていないランス以上の体格をもった車夫がゆっくりと車を引いて走り出していった。





かっぽーーーん

 ししおどしの音だけが響き渡る邸内において、ランスと月詠は差し向かいで座敷に座っていた。ニコニコと愛敬を振りまく月詠の前で、とりあえずは一つのことに専念しているのかばくばくむしゃむしゃとランスは一心不乱に京会席をむさぼっていた。


(ホンマに豪快な人やなあ。毒入ってるとか思わんのやろか)


 表面上はにこやかにしていながらもここにランスを引き込んだ目的を考えると、何故ここまで無用心にしていられるのかという事が月詠には理解できなかった。

 若くして傭兵家業に入った月詠にしてみれば、敵の出す食物にまったく用心もせずに手をつけるその神経は信じられないほど愚かである。
 実際に、月詠は駆け出しの頃その容姿を見て侮った依頼者に筋弛緩剤入りの茶菓子を出された事があるし、相手との講和の会談において出された茶に不用意に口をつけて遅れをとった新入りをみたこともある。卑怯卑劣が通じない世界において、なぜこんなにこの男はのんきなのだろうと半ばあきれるような気分でその豪快な食べっぷりを見つめていた。

 とりあえず相手に不必要に警戒されるようなことになってはならないと、こちらも毒見用の付喪神を召喚した後ちまちまと口に運んでいるが、そんな必要なぞなかったといわんばかりにランスはこちらの様子を窺いもせず一心不乱に食べ進んでいる。どう考えても女を口説いている態度ではないと思うが、本人は本気のようだ。
 とはいえ、このままただお食事を取るだけではせっかくこんなところまで誘い込んできた意味がない。わざわざ危険を冒してまで相手についている護衛の魔法教師達を振り切ったのだ、とりあえず表向きになっている月詠の目的ぐらいは果たしておくべきだろう。


「ランスさんいいましたなあ、誘っといてなんなんやけど、木乃香お嬢様ほっといてよかったん?」
「木乃香お嬢様? なんか聞いた事があるような無いような……誰だ、美人か?」
「はあ、昨日ランスさんが助けはった子のことやけど」
「ああ、あのぽややんとした子のことか。三年後ぐらいにまた会いたいものだな」


 とりあえず、この男を木乃香の元に行かせないよう釘付けにするという千草からいわれた役目はこの上なく果たしているにもかかわらず、何か自分は根本的に間違っているのではないのかとの不安を感じさせられる受け答えだった。


と、いうか何故護衛対象を知らない?
 とりあえず言葉を重ねて理解の糸口を探す事にする月詠。


「……………先日のあれは、護衛ちゃいましたん?」
「うむ、たまたま通りかかっただけだ」


 そういいながらも箸を止めないランス。
意外と上手に使いこなしているその二本の棒を見て、ぼんやりと外人やないんかいな、などとも考えながら、必死でランスのもたらした想定外の情報を整理する月詠。


「ほな、ここには観光できはっただけですの?」
「いや、爺に頼まれてだ…………関何ちゃら教会とかいうところのやけに頭の長い爺だった」
「木乃香お嬢様の護衛ちゃうんやったらどんなお仕事を?」


 なぜかその問いに対して数瞬の沈黙が続く。その後、首を捻ったランスの口から、疑問交じりの答えが搾り出された。


「………………………生徒の護衛?」
「いや、ウチに聞かれても~」


 食事をして会話を続けている最中にも、ちょっとはだけて見せている胸元や手袋を取った手元などに視線が投げかけられているのを感じながら、ようやく搾り出されたランスの返答などから糸口をつかんでつらつらと会話に交えてランスの情報を引き出していくことに成功した月詠は、今までの経緯をこっそりと思い返す。

 関東魔法協会の名が出てきた上にこの容姿、あの力量。この男が麻帆良学園の鬼畜戦士だということはどうやら間違いないはずだ。木乃香の名前すら覚えていないという事で、こちらに派遣されてきた理由は良くわからないが、あの近衛近右衛門直々に依頼されてという事から、どうやら我々のようなものに対する牽制としてこの京都にきたのではないのか、と月詠は要領の得ないランスからの答えから想像していた。
 たまたまといっていたが、あれほどタイミングよく敵対者の元にその力量を示しだしたのだ。証言自体が偽りか、もしくは本人は気付いていなかっただけで学園の者によって誘導されていた可能性が高い。


 確かにその効果は絶大だった。あれほどの力を見せ付けられてしまった今となっては、千草は数少ない手札の中から月詠というカードをこの男に貼り付ける羽目にとなってしまっている。関東の実質的な支配者である近右衛門の求める効果は十分に出ているだろう。
加えてあちらにはまだこの男と同等以上の力を持つ魔法使いが残っているのだ。なるほど、関西呪術教会にろくに情報がいっていないこの連中ならば急進派とてそうそう抗議を行う事はできないだろうから、親書が届いて正式に条約が結ばれるまでの護衛としては、まさにうってつけの相手だろう。

ということは、おそらく自分のペット達が集めてきた情報も意図的に流されたものだろう。今のところ千草一派は完全に手玉に取られている。


 ようするに、あまり頭のよろしくないこの男は、関西魔法協会の長じきじきの命令を理解する事ができず、半ば物見湯山のつもりで護衛の仕事を引き受けたという事だろう。
 そんな人間に剣の腕で負けたということは屈辱であるが、まあいい。この男が強大な力と関東魔法協会の長へのコネを持っているということを胸の奥に刻んで、不審がられないようにとりあえずこの話題を切り上げ、月詠はまた別の単なる世間話で時間をつなぐ事にした。
 そして、どうでもいい話を続けている途中で、あらかた食べ終えてようやく人心地付いた様子のランスを見て、こちらもある程度の方策を立てた月詠は頃合いか、本題を切り出し始めた。


「ランスさん? ちょうお願いがあるんやけど」


 さて、ここからが本番だと唇を舌で湿らせて、月詠はちらりと後ろの布団が敷かれているであろう座敷に流し目をした後、自分のための契約成立を願った。







 とりあえず、この目の前の超常現象は何だ、と脳内の自分が突っ込みを入れているのを他人事のように千雨は感じていた。隣を見ると、ついてきていた二人も同じように目と口をまん丸に見開いていた。只、その瞳の色を見るとその身に宿っている感情の方向性は自分とは異なるようだが、まあ傍から見ればどちらも同じく呆けているという以外には見えないだろう。

 三人の視線の先には、飛び散る石畳。なぎ倒される竹林。不自然な風に揺られる落ち葉。
時折拳が肉をたたく鈍い音も聞こえる。
 手からビームを出す自分たちの担任に、その担任と同じぐらいの背丈しかない少年におかしいくらいの威力で殴りかかっているクラスメート。そして、それすらもワープといえるような機動であっさりとかわして担任を殴りつけるその少年。

 そんな現実離れした光景があった。


 ビーム教師と馬鹿力生徒とワープ少年。

 魔法使いといっても、自分の担任をしていた少年だけは古の錬金術師のような地味なものであってくれ、と願うような気持ちを持っていたのだが、その最後の自分をごまかす考えですら、嘘から誠とは行かなかったようだ。
目の前の三人がそれを思いっきり否定してくれる。

 先ほどの副担任が見せたのとは比べ物にならないほど派手な魔法での立ち回りを自分の担任たちは披露している。やはり担任と副担任では魔法の力などといった面でもかくも違うものかなどと現実逃避にも似たことを考えてしまうほどだった。



 百歩譲って神楽坂明日菜はまあいいだろう。はっきり言ってお前はどこの達人様だよとか、運動神経と乳に過剰な栄養が回っているからお花のイアソンも訳せねえんだよ、などとつっこみたいものの、まだめちゃくちゃすごい少女というランクで人間の範疇に入らない事もない。

 だが、ネギたちが行っている超常現象は千雨の常識ではもはや完全に計れない。目の前で広がるこれらは先ほどシィルが見せたような炎が出るなどといったちゃちな手品ではない。光り、飛び、はじき、吹き飛ばし、轟かせる。
そこには、ゲームや映画の中でしか見ることはないと思っていた『魔法による戦闘』の映像が広がっていた。これはもはや火炎放射器とか、手元に収まる小型レーザー装置などといった科学装置が介入できるレベルのものとは誤認するのも難しいほど現実離れした現実だった。

超常の力、科学とは相反する原理、狂っているとしか思えない威力の殺人ビームを手から出せる人間が確実に存在するという正に生ける証拠だった。


 改めて魔法というものの力を本格的に身近で感じて、これほどまでの力があれば単なる女子中学生一人の生活をゆがめるには十分すぎる力だと再びネギに対する憎悪とすら言えるほどの感情をよみがえらせる。


 その苦い感情に拍車を掛けるのが、ほうけた状態から立ち直ってさっきからシャッターを切りまくっているデバガメ女に加えて、目を輝かせてこの漫画のような現実を見つめている根暗女。

 そして、ついに我慢の限界が来たのか、自分たちがこっそりついてきたということも忘れ声を出して応援を始める朝倉と、それにあおられて本人なりには一生懸命なのだろうが、隣にいる千雨にすら聞き取りづらい音量でぼそぼそと応援するのどかを見て、千雨はため息をついた。
 正直に言って、あの男と副担任から魔法の世界の事を聞き、ネギ本人を問い詰めてなお、否定したかった事が現実に起こっていることを認めざるを得ず、そして、そのことを喜んで受け入れている理解しがたい人間がいるということを改めて感じたからだ。



 何を考えているのだろうか? のどかはさておき朝倉は、大きな声を出すことで両者の注意が逸れ、流れ弾でもとんできたら、おそらく大怪我するなどといったことを考えないのだろうか。
 少なくとも千雨は、ネギが劣勢に陥っていたとしても彼女らのように自らを危険にさらしてまで応援する気も、明日菜の様にわざわざあんな化け物たちの戦いに介入する気も起こらない。

 こういった、後先考えないお祭り体質こそが千雨の最も認めがたい点であると改めて内心軽蔑の視線を二人に投げかけ、戦っている三人に注意を払いつつ、隣の二人からそろりそろりと距離をとる。
 この同行者たちを自ら選んだわけではないものの、人選が致命的に失敗だったと千雨はいまさらながらに心底後悔していた。



 状況証拠だけでは弱いような気がしたので、何か決定的な証拠か弱みをつかんでやろうと元々自由行動のこの日は、ネギの粗探しをするつもりだった。
千雨にとっては一緒に京都を巡る友達もいないので、修学旅行という行事に対して執着はないということもそれに拍車をかけた。

しかし、ネギの向かった方向を確認しようと辺りを見回していると、ここ二日ほどで確実に進行が進んでいるツッコミ体質が、ネギの後ろでばればれの尾行を行っている宮崎のどかと、そののどかをさらに尾行している朝倉和美を見たときに反射的に発動してしまったのだ。
 その結果として、自分もこんな馬鹿一味に混ぜられてしまい、やっぱりついてくるんじゃなかったと千雨は改めて思う。

 はっきりいって、状況証拠だけでも十分だったのだ。なんなら、あのおつむの軽い馬鹿レッドを問い詰めて携帯で録音しておいてもよかった。
それをわざわざ自分もこの馬鹿達同様尾行をしようと思っていたということは、千雨自身も多少浮かれてクールじゃない部分があったのかもしれない。


「チィ、私もまだガキだったってことか……」


 そういって、ネギやのどかとはまた違った方向性で中二病にかかっている千雨は、自分では大人だと思っている典型的な子供そのもののつぶやきをこぼした。






Comment

No Title

更新乙です。
残念ではありますが、いたしかたないかな、と。のんびり待っております。ひとまずお疲れ様でした。

No Title

更新お疲れ様です。
停止は残念ではありますが、原作の後付け・パワーインフレ祭りを考えると……まぁ、無理ですよね。
取り敢えずお疲れさまでした。

No Title

更新停止は残念ですが、本誌の方を考えるとそれも仕方ないかなあと思います。
面白いSSを読ませていただきありがとうございました。

No Title

24~34はどこだよwwwwwwwww

No Title

原作が悪い。原作読んでないけど。

No title

原作が悪いですよね。
更新停止は残念ですが原作はなんとか学園祭までかな……まともに読めるのは。
お疲れ様でした。

No title

そういや原作終わりましたけど やっぱり続きはないのかな。
いや非常にアレな終わりかたしましたけど。
非公開コメント

プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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