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狼狽皇子様11

いろんな意味で急展開な話












立ち直り、冷静に考えてみると、マリアンヌがアーニャの体からいなくなった、ということがどれほど恐るべき自体なのか、という事がクロヴィスにはあっという間に理解できた。
人間、命の危機に直面すると頭の回転も普段よりも活発になるものである。


本人から断片的に伝え聞いたものでしかないが、マリアンヌの「自己の人格を複写する」ギアスは、死の間際にしか発動できない失敗作といってもいいものであったが、それでも相当強力なものだった。
普通の人間のみならず、ギアスを使うものにとってすらもCの力を継承しなければ超えられない絶対の壁、『死』を乗り越える事が出来るその力は、ルルーシュの母らしくありとあらゆる分野に対して豊かな才能を示したマリアンヌにはまさに相応しいものであったといえよう。

常時発動できるわけではないが、それでもある程度までは宿主であるアーニャの意思や記憶にも干渉して自由に動ける上に、一度死のふちを除いているからかなんか離れた場所のCCとも会話できたりもするらしい。
たまたま死の間際に目があったのがアーニャだけだったが、あと二三人その場にいればラウンズ並みの運動神経とルルーシュ母の思考能力を持つ恐怖の若作りアイドルグループ「ザ・マリアンヌ」が結成できる可能性すらあったのだ。
VVから伝え聞いたクロヴィスの持つ「血縁者にオートで憑依する」ギアスとか言う訳の分からないものと比べても遜色のないわけの分からなさであるが、クロヴィスの持つもの同様、極めて優れた能力である。


が、その絶対の力も嚮団の改造によってジェレミアに与えられたっぽい「ありとあらゆるギアスの効果を消去する」ギアス、ギアスキャンセラーの前では全くの無力に成り下がる。
あれほどの知や力を持ちながらも、一切の抵抗さえ許されずにマリアンヌはCの世界へと帰っていったっぽいのだ。

今度こそさようなら、マリアンヌ様、とかクロヴィスが再びの別れに一言かける暇すらなく、彼女は無へと帰った。



そこで振り返るのが、己が身。

「ギアスをつかって実の父に取り付いている」自分の存在について思い至ったクロヴィスは、心底震え上がった。
VVが極めて非協力的なため、未だにCの力の継承者はギアスが効かないという事実をはっきりとは自覚していなかったクロヴィスにとって、マリアンヌを除霊したその目はルルーシュが狙う拳銃と同じような自身に対する凶器にしか見えない。
自分も消されると恐れることは、自己保身が九割を越える今の彼の思考の中ではごくごく当然のことだった。


そんなのが、混乱のさなかから我に帰ってみるや否や今や自身の最大の敵であるルルーシュと手を組んでいたのだ。
何やってもチェスで負けていたルルーシュの知力+せっかく死んでも生まれ変われるようになった自分すら殺せるっぽいジェレミア=死




絶望には底がないことを、クロヴィスは知った。


『ふっふっふ、助けてやろうか、クロヴィス』


だからこそ、虚空から聞こえたこんな怪しげな声に思わずすがってしまいそうになった。








CCは再び考える。


現状は、長年の付き合いがありそこそこ気心も知れていた盟友とも言うべき対象、マリアンヌが突然事故によりお亡くなりになってしまったのだ。
多分あの性格からすると天国にはいっていないだろうな、などと考えつつもちょっとびっくりしたCCの感想。


(まあ、仕方がないか。安心して成仏しろよ、マリアンヌ。ルルーシュは私が面倒を見ておいてやるよ)


戦闘以外では衣食住すべてを実質ルルーシュにおんぶに抱っこのニート生活をしているくせにやたらと態度のでかいCCは、たったそれだけで長年の盟友の死を受け入れた。

長く生きているといろいろとあるのだ。

ぶっちゃけもはやマリアンヌいないほうが、自分がCの力を継承してもらうにも、ママンがいなくなったルルーシュを甘やかすのにも好都合だし。
勝手な女である。


だが、とりあえずマリアンヌと組んで面白おかしくルルーシュを弄繰り回してギアスを成長させてもらおう計画が頓挫した事だけは少々痛手に感じる。
マリアンヌらがたくらんでいた『Cの世界にすべてを溶け込まそう』計画は、もはや童貞ではないにもかかわらずあいも変わらず潔癖症なルルーシュにたぶん受け入れられる事はなかっただろうから、自分が不参加決め込む事で失敗確実なその計画は結果としてルルーシュを育てるよい試練となったであろうに……

だがまあ、自分が計画に賛同しないのであれば敵となりそうなシャルル・マリアンヌ・VV連合がもはや完全に破綻したという事で、これからのんびりとルルーシュ育てればいっかーとか思っていたCCに隙はなかった。
ルルーシュと肌を交わした事は、結構CCの内面にも影響を与えていたりする。


『ド、ドウスレバイインダ! ルルーシュガ、ジェレミアト……』
(……は?)


だから、突如頭の中に伝わってくる謎の通信。
突然声にならない声が聞こえるなぞと、普通の人であれば発狂してもおかしくない事態であるが、ぶっちゃけもう数百年ぐらい生きているCCの神経の太さは、ルルーシュにピザ代をタカっても微塵も罪悪感を覚えないほどぶっといがゆえに、別に取り乱しもしなかった。
さて果て、今度は一体全体何が起こったのか、という感じで興味深げにそのまましばし待つと、とにかくひたすら『ルルーシュに殺されちゃうよ! ピンチだよ!』という声が聞こえてくる。


(ほう、クロヴィスか……マリアンヌが消えた事でこんな影響までが出るなんてな)


Cの世界経由でマリアンヌから伝わってくる声に似ていたそれの内容から、現在この通信を送ってくるのがクロヴィスであろうと当たりをつけるCC。
原理はわからないがこれも謎パワーでマリアンヌが出来た事だ。
彼女の亜種っぽいギアスを持っているらしいクロヴィスならば、と考えたそれは全くもって正しかった。

どうも、一人分の通信回線だったCの世界経由のCCホットラインが、使用者が倒れた事で次の継承者に相続されたっぽい。



ただ、その原因となればさっぱりだった。
未だにギアスは謎がいっぱいで、授ける側のCCにもわからないことだらけだった……そもそもCC、学校に通っていた事すらないので学歴上は『修道院幼年舎中退』となるので、Cの世界の研究とかろくにした事がないし。
もっとも、わからないからといって使用をためらうような育ちは、中世生まれのCCにはない。それゆえマリアンヌとは原因がわからぬもののそれなりに有効活用していたその通信が、クロヴィスと繋がったという事実さえ分かればいい。


だが、マリアンヌならばさておきこんなのと繋がっても何の意味もないしなあ、とか考えてた…………まさにそのとき、歴史は動いた!
CCの頭に天啓が宿る!


『ふっふっふ、助けてやろうか、クロヴィス』
『!! ダ、ダレダ!』
『まあ落ち着け、私が誰か詮索するよりも今は自分が助かる事の方が大切じゃないのか』
『ソ、ソレハ……』


これが、「マリアンヌよりも頭が悪いであろうクロヴィスを操って、ルルーシュを育ててもらおう計画」の始まりだった。

ぶっちゃけてしまえば、すべての元凶であるシャルルとマリアンヌさえ消えてしまえば、世界にとって危機はなく、ブリタニア本国とルルーシュを同一サイドに並べる事も不可能はない。
ルルーシュの望みは『ブリタニアをぶっ壊す』というものであったが、これはあくまで『ナナリーのために安全な場所を作る』という事が前提だったからだ。
ナナリーがブリタニアサイドについた以上、ルルーシュの踏ん切りさえつけばこの望みは、枢木スザクのように『ブリタニア内部から悪いところを変えていく』という事にも変更可能なはずだ。



『助けて欲しければとりあえず、私の前にチーズ君限定版バージョンを用意してもらおうか。皇帝なんだからできるだろう?』


とんでもなく俗っぽいものを脅迫の対価として要求するCC。
彼女は一体どこに行くのであろうか……だが、命の危機がマックスで迫っているクロヴィスはそれをただただ聞くしかない。


『チーズ君? ナンダソレハ!』
『……』


が、当然ながら宮廷料理漬けでピザなど食べない皇帝のクロヴィス、チーズ君など知らない。
思わず反射的に通信を打ち切ろうとしたCCの不穏な雰囲気を察したのか、慌ててクロヴィスは言葉を続ける。


『わかった、それでいい、それでいいから助けてくれ!』
『最初っからそういえばいいんだよ……これは契約。お前の望みかなえる代わりに、私の願いを一つだけじゃなく叶えて貰う』



こうして、神聖にして絶対の契約は結ばれた。
世界すべての悪意を一身に受けて世のため人のために死んでやろう、とか思わない限り解除されない契約により、世界はまた一つ美しく生まれ変わったのである。


ああ、なんと自分はいいことをしたのだ、などとCCが自己中なことを考えまくってとりあえずクロヴィスやシャルルのやったことを全部シュナイゼルに押し付けてやるか、などと思案を練りつつルルーシュとジェレミアの主従の方へと視線をやると……


(……は?)


そこには今まさに落ちてくる巨大な鋼の拳があった。



この状態で乱入してくるようなものなど、話の流れからして限られてくる。
その拳を打ち下ろした機体は、全体的に白い塗装が施されていた。



『ゼロオォォォォォォォォォ!!』


突如現れるランスロット。
本当に彼は空気読めていない。

それでも能力だけは確かなので、もうマジ殺すつもりとしか思えないほどの勢いで宮殿を幾重にも取り囲んでいた衛兵のKMFさえもたった一人で蹴散らして、ゼロに向かってその断罪の拳を落としたのはそう、寝取られ男の枢木スザクである。

ぶっちゃけ事態というか、彼とユーフェミアの出番は第一期でほとんど終わっていて今はCの世界の因縁とかの方が主題になりつつあるというのに。


『(チィ! スザクが何故ここに!) ぐぁぁあ!』
「ゼロ様、お下がりください!」


何とか繰り出されたランスロットの拳は交わそうとするルルーシュ。

だが、それは余りにも緩慢に過ぎた。
生身でKMFの拳をかわすなんてこと、もやしボーイの彼にできるはずもないことだったのだ。
ましてや、殺すつもりはないとか言っていたスザクの乗るランスロットから繰り出された嫉妬拳は、どう考えてもルルーシュの殺害を狙っていたものにしか見えないものであった。
それでも、人知を超えた反射神経を手に入れたジェレミアによる助力があったこそ何とかその場を退いたゼロであったが、やはり完全には回避できなかったのか、いい感じにその仮面に地面の破片が結構な速度で吹っ飛んで迫る。

かくして、「何俺の皇女さま誑かしてんだよ、コラ」という嫉妬を載せた嫉妬弾は、その余波とはいえ見事な感じで仮面に直撃したのだ。



かくして、ブリタニア王宮にて捨てられた皇子、ルルーシュ=ヴィ=ブリタニアの姿がこうして現れたのである。
母の消滅と引き換えたかのようにその場に立ったその姿は、仮面を除いたゼロスーツという怪しげな格好をしていてもなお、優美なものであった。


『やはり』
「やっぱり!」
「『ルルーシュゥゥゥ!!』」


だからこそ、その親友と義理の兄は、悲鳴にも似た絶叫を上げることとなる。
片一方は殺意を向ける側で。
そして、もう片方は殺意を向けられている側として。



次のお話へ

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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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