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外史につくろう穢土幕府・18

ボクの考えたかっこいい内政のやり方。


ご質問のあった袁家の長は袁紹と袁術のどちらなのか、については「本家」と「元祖」で争ってる二軒のたこ焼き屋をイメージしてくれればいいかと。
両方とも自分こそがトップであると言い合ってる感じです。














『やってみせ、いって聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ』


今一刀がいる時代から考えれば遠い未来の名将(多分この世界なら女の子)がいうであろう人使いの極意の一端を示した言葉である。
対等の立場のものに対して依頼するには余りに馬鹿にした台詞ではあるが、自分よりも下の人間に対して物事を執り行わせるにはこれ以上なく本質を突いている。


ある程度の地位とともに責任感を自覚した人間であればさておき、凡人というのは基本的に仕事なんてしたくないのだ、それを無理にやらせるならばそれ相応の手を尽くすべきである、というそれは、この時代においても同じ。
アホにどれほど働けといったとしても、所詮はアホなのだからアホらしく使命の自覚とか高貴がゆえに求められる義務とかに自分で気付くなんてことはない。
所詮は、アホなのだから。



おだてて、脅して、懇願して、理を示して、褒めて、ちょっとだけ引いて、またおだててやらねば豚は木に登ってくれないのだ、ということを賈駆はこの数ヶ月間の苦労と引き換えにようやく学んだのだ。
この戦乱の世、ただ現状維持を続けるだけでは一年後、十年後にどうなっているかわからない、ということを熟知していた彼女は、だからこそ一刀が来るずっと前からどうにかして董卓の身を安全にすることが出来ないか、ただそれだけを考えていた。

現時点において月は一刀にぞっこんになってしまっているが、それが妖術書の力によるものである、とまでの確信を持っていない詠からしてみれば「悪い男に引っかかった」というそのことに対しては数ヶ月という時間さえあればある程度の諦めが頭をよぎっている。
実際恋に恋している感じで多少は変になっているが、それでも以前の月との共通点はいくらでも見つけられるのだ。


だからこそ、詠が考えるのは月の現実的な身の危険になりそうな周囲の諸侯の動向と、漢王朝の動きである。
現時点では公孫賛あたりが突然とち狂って責めてきた瞬間に滅びることになるのは間違いないし、現時点で都が袁紹によってしっちゃかめっちゃかになりつつあるので、漢王朝の臣としてのある程度の安泰もいつまで持つかわからない、と詠は冷静に考えていた。

有事の際の備えは、今の時点からはじめておかねばならない、と。


そして彼女は、月のためならばプライドなんていくらでも捨てることが出来た。



「ほ、本当にこれをしたら、屯田制とか言うのについて教えてくれるのでしょうね!」
「御託はいいから早くスカート捲って咥えてくれよ」
「ちゃんと約束しなさいよ!」
「わかったわかった。約束するって。だから早くしてくれ」



真っ赤になってお着せのメイド服のスカートのすそを握っていた詠は、その一刀の言葉に覚悟を決めたかのように震える手を徐々に持ち上げていった。


一刀に内政無双をするだけの能力なんてありはしない。
たかが高校生の聞きかじりの知識だけで執り行えるほど、政治というのは簡単なものではない。

だから、一生懸命政務を執り行う詠の傍らで一刀は、ひたすらにエロイことに励んでいた。
こういうことだけは真面目に日々鍛錬を欠かさない一刀の脳みそは、もはやそのことに完全に特化してしまっていた。
こうやって、ある日突然政務をやっている詠のところにやってきて下着を剥ぎ取って一日を過ごさせるなんてこと、日常茶飯事だった。



「はっやっく、はっやっく!」
「(これも月のため、月のため、月のため~~!)」
「うひょ~」



もう、悪党とか善人とかそれ以前の問題として、馬鹿以外の何者でもない一刀。


だが、だからといって一刀が政治になんの役に立たないか、といわれればそれは否だ。
一刀は少なくとも三国志と演義に出てくる人物のおおよその能力は知っているし、それ以外でも天の国から北としか思えないほどの多種多様の、風変わりな知識を持っている。

この時代のちょっと後において曹操がやった身分が低くても能力が高ければ用いる唯才是挙、すでに始めている略奪がおもな収入源だった兵士たちを農耕に用いる屯田制などについてもとりあえず表向きだけを語ることだけは出来る。
連環の計についても知っていたし、天下三分の計も勿論こんなもんだろう、とか言うことはできる。

こんな辺境の地にいながら、孔明が劉備という人物に三顧の礼で自陣営に迎え入れられた、ということをそれが実際にあっているのか間違っているのかはさておき、物語のようにある程度論理だって語ることさえしてみせた。
十日で矢十万本を手に入れる方法が船に人形を付けて敵に打たせるだけだなんて、賈駆には目から鱗の情報だった。
泣いて馬謖を斬った三国最高の軍師が、後の世で「清濁併せ呑む器量に欠けていた」と評価されたことさえ、知識は確実に賈駆に力を与えた。



それを実現可能とする知識については一切ないが、それでも知識だけならば一刀はこの時代における最高の知識人すら凌駕するモノさえその頭の中にもあるのだ。


普段の会話からそれに気付いた賈駆は、それに利用価値を見出した。
なんといっても、各地の諸侯らの大雑把な人柄から、彼らが必死こいて考え出すであろう様々な政策、計略について概要だけであっても知れる、ということは凄まじいまでのアドバンテージになる。

この段階までこれば、例え政務が一切出来ない、やる気のない一刀であろうとも利用価値がないなどとはいうことが出来ない。
だからこそ賈駆は董卓のために必死になって一刀から知っている三国志の知識を可能な限り搾り出そうとありとあらゆる努力を行った。

頭でっかちな一刀に知識しかなくて、内政、外交を行う能力が一切なかったとしても、一刀の部下である賈駆には知識さえあればそれを十分使いこなせるだけの能力がある。
そして、詠はそのことを十分自負していた。

だからこそ。
メイドにチャイナ、裸エプロンにVフロント、一人で一刀と月と三人で、お手手にお口にお尻に脇にと、風呂で自室で外で森で河で。
ありとあらゆることをやらされることと引き換えに様々な知識を吸収していく詠は、まさに軍師・政治家の鑑といえよう。




やがて、その屈辱的な日々は報われることとなる。



「禁酒法……それも曹操がやることなのね?」
「ああ。だけど、アメリカで禁酒法制定した瞬間にマフィア……匪賊が暗躍したとかいう話も聞いたことがあるような気が……」
「(そもそもあんたが匪賊の頭でしょうが!)……一長一短ってことなのね。っていうか、まずその『あめりか』ってのは何よ!」
「え~~~、教えてほしいんだったら、それなりの頼み方があるんじゃないのか、メイドさん?」
「くぅ~~~~~!!」



わざとらしく腰を突き出す一刀の前に跪いた体勢でゆっくりとその桜色の唇から舌を出しながら、議会政治という概念とその民衆に知識を分け与えた結果の危険性について一刀から学ぶ。



一刀が知っているのは、当然ながら三国志の知識だけではない。
他所の世界から来た一刀にとっての一般常識は、賈駆にとっては今まで聞いたことすらない真新しい知識だ。

猫顔人体の怪人の体長が林檎二つ分ということや郵政民営化のあんまり変わってねーじゃん感、お財布携帯という便利グッズにカップラーメンを使った自慰行為のやり方、二毛作に三段打ち、気球の仕組み。
ブックオフの商売法、パソコンの便利さ、CDの薄さと音楽配信によりそれが絶滅しかけていること、ゴム長靴の存在にアスファルトの堅さ、ゴミの分別の最近の煩さに、鉛筆の芯からダイヤモンドを作る方法。
万有引力の法則から質量保存の法則、フレミングの左手の法則にソニー製品は保証期限終了後に壊れるソニータイマーの法則。
自由とか、正義とかいう名前の付く者が碌な者でないことが、遠い未来にガンダムで証明されたことまで。


まあ、それと引き換えにこの世界のことは赤子以下の知識しかないが、一刀にまともな君主としての能力などはなから詠は求めていないので、それは問題にもならない。
ガンプラのつくりかたなんてものもあったそれらが一体どんな役に立つかはさておき、一刀はそういったこの世界では他に誰も知らないであろうことに対する知識を豊富に持ち合わせている。

他に誰一人知らないことを、この男だけが知っている。
この男では能力が足りず活用できなかった知識であっても、この世界の常識を熟知している者が見ればまた新たな面を発掘させるかもしれない。
素人の大胆な発想が熟練者がぶつかっていた壁を打ち壊す、ということはいつの時代でもあったことなのだ。


だからこそ賈駆は、自らの体と引き換えにしてもその一刀の語るしょうもない日常の話が喉から手が出るほどほしかった。
ただひたすらに、己が愛する親友のために。

そのためであれば、どんな屈辱であろうとも、黙って耐え抜こうと決心していたのだ。



「学校では一応剣道部に所属してたけど、雪蓮みたいな化け物は流石にいなかったなあ……まあ、スタイル的にもあれほどのはいなかったけど」
「(16年にも及ぶ教育によって万民に知識を与える、か……駄目ね。統治上は危険が大きすぎるし、時間も掛かりすぎるわ) ……ねえ、じゃあその制服ってのに、雪みたいな女はどうするの? あなたの服じゃどう考えてもあの胸はその服には収まらないでしょ」
「へ? ああ、男の制服と女の制服は違うものだよ。そもそも、サイズ違いがいくらでもあるし、よっぽどじゃなければ特注になんてならないさ」
「(あらかじめ幾種類もの服を工房で用意して、その中から選ばせるって形式なのね。そのことに何の利点があるの? よほどの金持ちがいく高級店ならばさておき、あまったら生地の無駄じゃない) って、やめて、胸を揉まないで!」
「まあまあ、いいからいいから」


まるで安い売春婦のようにべったりと一刀に張り付いて胸まで押し付けながら酌をしたにもかかわらず、輸送手段や生産コストが現代日本と違う過ぎるが故にその利点に詠は気づけない。
胸に対して伸ばしてくる一刀の手を本気では振り払えない苛立ちが、思考の邪魔をする。


このように、一刀のもたらす情報の大部分は与太話で終わり、賈駆に何の利益ももたらさなかった。
パソコンの想像すら付かない詠がインターネットの仕組みについて語られたとしても理解さえ出来ないし、テレビを日常的に使っていたとしてもその構造を一刀さえ理解していない状態では再現なんて夢のまた夢だ。
いかに詠の能力が一刀よりも遥かに高かったとしても、情報源が一刀なのだからそこには限界があった。



だが、その中のごく僅か。
広大な情報の砂漠の中で数粒だけ。
されど全くの一般人から考えれば比べ物にならないほどたくさん。

落ち葉や人糞、魚の余った部分等の有機物に含まれるなんかそれっぽいものが土地を肥やして収穫高を上げる、といった知っていれば即座にこの時点での政治に反映させられることから、アオカビからペニシリンが作れるという事実、ライフルの弾は回転してるから遠くまで飛ぶんだぜ、といったどう考えてもこの時点の技術力では実現不可能な、しかし重要なことまで。
実用的な、役に立つことが確かに一刀の与太話には結構な確率で混じっていた。



「(いける……コイツは馬鹿でアホでどうしようもない奴だけど、月の役に立つ部分もあるわ。利用してやる……こいつの知識を使って、僕が月の国をもっともっと強くしてみせる!)」
「ほ~ら、さっさと歩かないと城の人間に見られちゃうぜ? 散歩の再開のおねだりはしなくていいのか?」
「 …………わ、わん(そしてその後、月を何とかできる手段が見つかったら、絶対に殺してやる!)」



全裸で首輪を付けられて四つんばいで城の中を練り歩かされながら、とりあえず屯田制の具体的な形を構想し終わった詠はそう決心した。




屯田兵を作るにしても、今まで妖術を除いてまともな指揮経験のない一刀が、いきなり職業兵士たちに対して農業のやり方を指揮するなんてこと、不可能だ。
荒くれ者に適当に暴れて脅しつけて金品脅しとってこいや、というアバウトな指示は、雄大なる大自然に対しては全くの意味を持たないからだ。
だが、詠にしてみればそれは彼女の配下の一人に対して適切な指示を行うだけであっさりと実現する。何せ、発想の違いはあれどほぼ同じ時代に生きる曹操に出来たのだ。
多少の困難や実現時期の差はあれど、詠に出来ない理由がない。


二毛作なんて、何と何を作れば連作障害が起こらないのか、なんてこと、一刀は全く知らない。
そもそも、日本ではない子の中国っぽい土地でそれが可能かどうかなんて、検証しない限りわからないに決まっている。
だが、一応この国のすべてを命ずる権限がある詠からすれば、それがわからないことなどほとんど障害にならない。
とりあえずやってみて、一番この地域にあったものをその中から絞り込んでいけばいいのだ。
そういった作業であれば、詠は一刀が来るずっと前からやり続けてきている。


肥料のつくりかた?
一刀から絞れるだけの知識を搾り取った後は、彼よりもずっと優秀な詠が考え続けて実験を繰り返せば、化学肥料並とまではいわないまでもある程度の効果を持つものを作り出せないはずがない。
ならば後は、それを費用と流通と使用の面で詰めていけば、例え十年単位の時間が掛かるとしてもいつかは確実に実用化する。



こうして、徐々に一刀の与太話が実利に結びついて徐々に彼と彼女の力となっていく。
それは、ほとんどが賈駆の力ではあったが、一刀の功績があったこともまた、否定は出来ない。
この世界に来て始めて一刀が世のため人のために貢献したことである、といってもいい。



「賈駆様! またも雪様が」
「ああ……もう、ほっときなさいよ。あの女だったらたぶんまた一人で百人ぐらい倒してくるわよ」
「し、しかし。その、一刀様が………」
「何! いっとくけど、僕今ものすごく忙しいんだから、簡潔にいいなさい」
「はっ! 雪様の誘いに乗って一刀様と董卓様まで戦場に向かわれました」
「っ、何ですって~~!!」



ただ、一刀の遊びに付き合うこととなったことでさらに詠の仕事量が臨界に達しつつある中でのそういった諸制度の実装は、遅々として進まなかった。
それが別の外史で孔明が語った、『たった一人ですべてをやろうとすることの無謀さ』であるということは、一刀がその外史については全く知らないこともあって賈駆には届かなかったのだ。


 19へ

Comment

ツンデレ凌辱はいいなあ

一刀の周りだけエロゲ的ですねw
ここの詠とは仲良くなれないかな。
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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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