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外史につくろう穢土幕府・17

一切絵心というものがないので、無意識のうちに文体で補おうとしているのか、思うが侭に打っていると無駄に描写ばっかりになるのが困ります。
絵、描いてみたいなあ……まあ、練習している時間があれば文書きますけど。


そんなわけで今回、絵をかけない作者による足掻きみたいな『地図』を盛り込んでみました。
が、何か失敗している気配がびんびんしますので、何かもうちょっといいやり方があれば教えてください。
よろしくお願いいたします。










袁紹、立つ。
現時点での最大勢力であり、おそらくその座を譲る事はそうそうないであろう豫州袁家の長、袁術が洛陽に入ったことは、歴史の流れとしてはある意味必然だったのかもしれない。



「あ~……うん、まあ今の状態やったらしゃーないわな。袁家の中でも政上手っちゅう噂の長がわざわざ出張ってくれるっちゅーんやったら、文句言う筋合いもあらへんし。案外漢王朝の建て直しをうまいことやってくれるかもな」
「袁紹……ね。ふん、とりあえず、今の時点での天下は預けておきましょう。だけど、いずれはこの曹操孟徳がすべてを統べるという事だけは、覚えておく事ね」
「ぐぬぬぬぬ……ま、まあ、よいのです。誰が天下を取ろうと結局最強の名は我が主、呂布殿以外にありえないのですから」



財も、兵も、血筋もあった袁紹が皇帝の後見人の座に座る事は、正史のようにそれまでほとんど無名であった董卓が突如その座につくよりもずっと自然であり、実際に各地の諸侯にもそれなりに受け入れられた。

漢王朝の権威はある意味袁紹をその内に取り込んだことによって補強され、今一度万民の上に立つことを許された、といってもいい。
新たに皇帝となった劉弁は完全に袁紹によって飾り付けられたお飾りとでも言うしかない存在ではあったが、皇帝を背後から操る陰の実力者がすべてを支配するというそれは歴史の流れにおいてはそう珍しいものではなかったし、大将軍も宦官もほぼ共倒れして全滅した状態においてはそんな立場の彼を救おうとするものもいなかった。



「袁紹様ってどんな方なんだろうねー」
「これで少しは村の生活もよくなるかもしれないね、季衣」



それゆえに、袁紹の支配は比較的人々に受け入れられた状態で始まった。








駄菓子菓子(昔々とある村において『菓』という何をやっても駄目な男がいたが、その菓を親とする子供は皆誰もが好む菓子のように有用であった故事からなる、反語的表現)。

それが長く続くよしもないことは、袁家の長にして最大兵力の保有者、大陸有数の大富豪にして官位を極めた、その地位に相応しい美しささえ持つ才媛、という表面上の事以上に彼女の事を知っているものにとっては予想の付くものであった。
言い換えるならば、「袁紹」ではなく「麗羽」としての彼女を知っているものだ。



「麗羽の奴が……ま、とりあえず私の近くからいなくなったことは歓迎しとくか。だけど、絶対にこのままではすまない気がするのはなんでだろうな」
「そんなに袁紹さんって、ひどいの? 白蓮ちゃん」
「ああ。どうなるかまでは私じゃ予想も付かないが、まあ確実にこのままみんなが幸せに生きていけることがなくなったのだけは確かだ」



基本的に麗羽の方向性はこの外史における一刀のそれと極めて良く似ている。
行き当たりばったりなのも、それでも乗り切っていけるだけの力を保有している事も同じだ……そしてその力が、あくまで借り物である事まで。

だからこそ、その力の行使はどこまでも軽く、そのときの気分によって簡単に左右される。



「……しかたがないですわねぇ、ほかならぬ美羽さんがそこまで窮地に陥っているというのであれば、わたくしも考えがないではないですわ。ですが、その前に何かわたくしに言う事があるんじゃございません事?」
「……はい、麗羽お姉さま。ど、どうか妾を助けてほしいのじゃ」
「おーほっほっほっほっほっほっほ。あの美羽さんが私に向かってお願いですって。初めて聞きましたけど、なんて甘美なひ・び・き。よくってよ、よろしくってよ、おーほっほっほっほ」
「(ぐぬぬぬぬ、れーはの癖に何と言うしゃくな事を! 妾を誰だと思っておるのじゃ)」
「(お嬢さま、落ち着いて、落~ち~着~い~て。ほ~ら、一刀様のためですよ~)」



ならばこそ、こうして袁術の助命嘆願にも似た荊州に対する援助要請は、ごくごくアッサリと認められたのだ。
それを聞いて主のために何とか自分たちの利用価値を保持する事が出来た事で袁術と張勲は胸をなでおろしたが、そんな歪な妖術によって形成された内面など、袁紹は全く気付きもせずにただただ上機嫌で高笑いを続けるだけだった。

袁紹からしてみれば、今はそれぞれ独立した勢力を持ってはいるものの、可愛い妹分とでも言うべき袁術が自らに対して這いつくばって助けを求めているのであれば、それに応えない理由など全くなかったからだ。
そこには、一度は陳宮によって通達された最終勧告をこうも袁紹の心積もりだけで簡単に覆すということがいかなる影響を持つのか、という事に対する考慮は全く含まれていない。



「うう~ん、いいのかなぁ?」
「何言ってんだよ、斗詩。七乃様が困ってんだったら、麗羽様が助けんのは当たり前だろ?」
「それはそうなんだけど……」



初めは袁術の助命程度で収まっていたそれも徐々に悪化し、ついには自分の我侭で少年であった皇帝劉弁を退位させ、その妹である献帝を即位させた……女性を愛する性癖を持つ彼女の好みだけで。


そして、側近たちも主の機嫌を損ねてまでそれをとどめられるほどの忠心は持ち合わせていなかった。

彼女たちにとって見れば麗羽が自分たちの諌めなど聞いてもくれない事は自明の利であったがための諦めだったのかもしれないが、麗羽の機嫌さえ取れば彼女の決定を何人たりとも覆せない、というこの現状は権力の濫用の抑止という観点からすれば、極めて不味い。
ある意味、何進と十常侍たちが互いに牽制しあう事である程度の権力のバランスを取っていたときよりも状況は悪化していたといってもよかった。




先行き不透明な、上役の都合で一応は首を切られることもある地方の臣である巨大勢力ならばさておき、帝国の中心ともなれば例え能力がどうであれ麗羽の権勢はとどまるところを知らない。
今まで麗羽の性格を嫌っていたり、能力を見下していたものが多かったとしても、その勢力がすぐさま崩れるようなものではなく、それなりに続くというのであればさっさと見切りをつけて自分に難が及ぶ前に逃げ出そうとするのではなく、その内部に入り込んで利用する事を考えるものも爆発的に増える。


なにせ、官・民ともに麗羽に取り入れば、大概のことが可能になるのだ。
ある者は塩の販売権を彼女の美しさをたたえることと引き換えに手に入れ、ある者は僅かばかりの金品を倍以上に増やし、またあるものは付け届けが気に入られたのか一気に都尉の地位を得た。
麗羽が美羽と蜂蜜酒を飲んで遊んでいるその横で、密かに漢王朝の保管する貴重な書物が次々と世に流れ出ていき、貯蔵してあるはずの糧食も定期検診以外では戸は閉められたままであるのに少しずつ減っていった。


一刀のような超常の術を持っていなくても、その口先で麗羽らを適当に誤魔化せば、今までよりも圧倒的に不正がやりやすく、またその不正自体に袁紹は関わってさえいる。
これは、漢王朝の権威の衰えを誰よりも感じていた官吏―――特に、利に敏い文官らに対して大きな影響を与えた。


武官に関してはその異常なまでの武力で持って何進らの政争からもアッサリと生還した呂布と陳宮、そして何進直属の配下でありながらこの混乱を上手く乗り切って呂布と同等の権力を手に入れることに成功した張遼、あとほとんど大勢に影響はないおまけの文醜・顔良によって抑えられていたが、優れた文官が一切いない漢王朝、袁紹組みではこの腐敗を止める事は出来るはずもない。


「なんと! 名高い袁紹殿だからこそわざわざ寄ってみたというのに、なんという腐敗振り。全く、これだから官軍という奴は……」


あ、ちなみに華雄は洛陽まで来たのですが、微妙に思考回路が変わっている彼女は取り入ることを考えるよりも袁紹の馬鹿っぷりに嫌気がさして仕官せずに帰りました。



まあ、そんな真名もない地味な人のことはさておき、とにかく多少は武官らの監視による抑制はあったとしても、名目上は文官のトップである袁紹がああなのだ。
一刀のように配下の不正を強制的に禁ずる特殊能力でもない限り、今後の政治が下がる事はあっても上がる事はありえない。


かくして、一刀とほぼ同じ精神性を持つ袁紹が都を統治し始めた事によって、黄巾党の不発生によりかろうじて表に出ることだけは押しとどめられていた官の腐敗は加速度的にその侵食を深めていく事となった。










「はーっはっはっは」


またも新たな少女と領土を手に入れたことで調子に乗っている彼の名は北郷一刀。

それをやったのは霊帝が没してなかったころ、すなわち数ヶ月ほど前の話なので今更浸るのも随分と遅いのだが、突如天から授かった対抗意識で高笑いをあげなければならない気分になっていた一刀は気にしなかった。


が、ぶっちゃけ彼のおかれている現状はそんな高笑いを許すほど優しいものではなかった。



「ちょっとあんた、笑ってる暇があったら少しぐらい手伝いなさいよ!」



それゆえ、その一刀が一切の政務を放棄しており、それは一刀ののろいによってほとんど侍女並の能力となってしまった董卓も同じであるがために政務のすべてを一手に引き受けている賈駆の苦労は並大抵のものではなかった。


彼の現在地、支配拠点は河東。
州と呼べるほど大きくもない、精々一地域の代官。
支配地の規模・漢王朝における権力的には今まで世話になっていた袁術とは比べ物にならず、一将軍でしかない呂布にも負けている。
大体現時点でようやく一つの城と三つの村を支配する事となった曹操よりは、自前で街を保有している分だけちょっとはマシ、といったところである。


ちなみに、軍事力や経済力等を勘定に入れないで単純な面積のみで支配地域の規模を順番に並べるとしたならば。



「おーほっほっほ、わたくしが一番なのは当然ですわね」「あの~……広すぎて統治し切れてないんですけど」「適当でいいじゃん、そんなの」

「…………」「あらあら、我等が主(仮)は、どうされたのでしょうね、桔梗」「ふん、声を出す度胸もないのだろう、この男は」

「領土が広いって……まあ、あたしらは連合だからな」「その割にはたんぽぽ達ぐらいしか表に出てこないけどね!」

「ふっふっふ、実はみいたちこそがサイキョーだったのにゃ」「ねったいなのでご飯もいっぱいにゃ」「トラたちもいっぱいいるにゃー!」「でも、お金はないにょ~」

「うう~、本来であれば妾こそが一番じゃというのに」「まあまあ、孫策さんがいなくても、もともと土地の面積自体はそんなになかったですから」

「え? 私、ここでもこんな順位なのか! ……私だってそれなりに頑張ってるはずなのになぁ」

「あーーーーーもーーーーー!! 貪るんだったらせめてその分ぐらい働きなさいよ! 牛でも食べた分は耕すわよ!」

「思ったよりも速度が出ないわね。これもまた、天命か」「うう、華琳様~」「姉者、落ち着け」



こんな感じとなり、見てわかるとおり一刀は下から数えた方が速い。
そのくらい、『河東』という地域は狭く、また中央の繁栄からは離れていた。


と、言われてもそもそも中国の地理なんてよくわからないよ~、と一刀同様辺境というのがどんな感じなのか実感がない方もおられよう。
いや、それを責めはすまい

というか、それが普通である。



「新しい街に来たのはいいけど、そもそもここどこなのよ! 何から何まで田舎くさくて、ちいには似合わないわ!」
「姉さん、とりあえず落ち着いて。とりあえずここは河東って地域よ」
「だからどこなのよ、そこ!」
「おね~ちゃんもよくわかんないけど、ここいろんな変わった楽器があって楽しいね~」



何せ、定住を基本とする一般庶民はおろか、旅芸人であった張三姉妹でさえも漢王朝の支配地域全土は把握していない。
いわんや、天の国から来た一刀やおや、である。

実際、三国志を読んではいても丸暗記しているほどの熱狂的な読者ではなかった一刀には、この地に来た当初は地図や地理に詳しい者を呼んで説明を求めなければさっぱりだった。


それゆえ、今更ではあるが凄く大雑把にこの外史における地理を説明するならば…………

           北

         (今ここ!)
            ↓
      馬超   董卓   公孫賛
               (旧・袁紹) 
 西   (袁紹)漢王朝皇帝(呂布)  曹操    東  
袁術 
                 (旧・孫策)
        劉璋(黄忠・厳顔)

      孟獲

           南

こうなる。
地名は記していないが、基本的に『悪一刀の冒険』であるこの物語において大切なのは米の出来高や商業上において重要なルートなどではなく、どこにどんな女の子がいるかなので、地名なぞは覚えなくてもよろしい。
故に、省略する。


まあ、とにかくちょっと詳しいものならわかるとおり三国志とも演義とも正史とも微妙に違うこの外史においては、各諸侯の支配地域は一刀の知るぼんやりとした知識のそれとはかなりのずれがあるのだが、まあこういうものらしい。


で、だ。
この超大雑把な地図では極めてわかりにくいが、董卓が統治していた河東は都からは大分はずれた辺境ゆえに、袁術の支配地であった荊州とは比べ物にならないほど経済力的には劣る。
それはすなわち、養える民の数が少ないという事であり、同時に兵の数もそれに比例して少ない。
要するに、武力・経済・文化のすべての面において、国力が低いのだ。



「ああ、もう、本当に役に立たない! あんだけ人数いてほとんどまともに字も読めない連中ばっかってどういうことよ!」



だからこそ、そんな状態でもなお何とかやっていこうとする賈駆の苦労は並大抵のものではなかった。
民の不満や治安の悪化に関しては一刀が一人で百人分以上の働きを行う為彼がいないときと比べればその面では統治は随分楽になっているはずなのだが、太平要術の書は食べ物等を生み出すことには全く持って役に立たないので、一刀がしばらく滞在する事に決めたこの河東においてそれなりに快適な生活を求めるのであれば、そのしわ寄せは彼の配下にすべて行く。

にもかかわらず、彼の配下で政治がそれなりに出来る人間は余りに少ない。
片手で数えられるほどしかいないその内訳は、心労と疲労と寝不足で今まさにヒステリーを起こしている賈駆と、その彼女に投獄されてしまった鳳統。

そして……



「賈駆様――! 雪様が五胡の討伐のためにお一人で出撃されましたーー!!」
「っ! あの女は!! ええい、とりあえず僕もすぐ行くからほかの兵士たちを集めてなさい」
「ははっ!」



どちらかというとトラブルをかける側である孫策の三人しかいない。
雪とは本名も真名も微妙に一部では有名な雪蓮が名乗った余りに安直な偽名である。
洗脳によって王というしがらみがなくなったせいか、最近毎日が楽しそうだ。


ちなみに、一刀勢力は実際にはそれほどまで無知な連中というわけではない。
一応諜報員として仕込まれていた大喬小喬姉妹、とある外史ではきちんと太平要術の書を使いこなしていた張三姉妹(というより人和)、読み下し文じゃなくても漢語が読める古典はばっちりの一刀と皆この時代にしてはまだましな学力を持ってはいたのだが、まあまともに政治が出来るはずもないのは確かなので詠からしてみれば先に上げた二人以外はみんな無知も同然である。



ま、閑話はさておいて本題に戻ると、都から遠くて土地が痩せている以上にさらに致命的なことに、この地は五胡の支配地と隣接している。
というか、あの図で言うと上の方が全部五胡の支配地だ。

五胡というのは匈奴・鮮卑・羯・氐・羌の五氏族の総称であり、現在一刀たちがいる舞台に住む、いわゆる漢民族とはルーツを異にする遊牧民だ。
当然ながら、遊牧民なので農耕による徴税を基本とする人たちとはいささかそりが合わず、漢王朝の支配を受けることを嫌って距離的には近いものの敵対関係にあるといってもいい。

わかりにくければ、要するに現在地を中国風味のファンタジーだとするならば、モンゴル人のファンタジー風味をイメージすればいいとおもう。



一刀の知識的には、「え~っと、スーホの白い馬だっけ? あと、太公望の出身部族があったはず(漫画知識による)」ぐらいの認識でしかないが、この時代における遊牧民は極めて強力な勢力だ。
血のような色をした汗を流しながら一日に千里をかける名馬、汗血馬の産地であるウズベキスタンあたりとも血縁的につながりがあったと思われる強力な馬を多数有し、その馬を自分の手足のように操って戦場を駆ける。



「あ~、楽しかった。血と肉の踊る、いい戦いだったわ。さあ、一刀、今日は私の昂ぶりを静めてね」
「……(戦の後の雪蓮は、正直ちょっと怖い)」



遊牧民なので人数的にはそれほど大勢の兵を有しているとはいえないが、とにかく馬の扱いがダントツで上手く、しかもそれが部族全員である為いざとなれば漢では非戦闘員となるしかない女子供までがこちらの兵士をも凌駕する。
しかも、遊牧民だけあって定住せずに本拠地を転々と変え、当然ながら自給自足を基本としてそれほど財を持っているわけでもないから多大な犠牲を払って勝ってもうまみはない。

基本的に五胡の名前の通り匈奴・鮮卑・羯・氐・羌の総称なのでそれぞれの部族が特にまとまっているわけではなく、それほどまで大規模動員をかけることを可能とする体制にはなっていないのでこちらに向かってしょっちゅう進行して来るわけではないが、それでもとても強大な敵の一人だ。


だからこそ、一刀の暴政によっていろいろな面でピンチを迎えている賈駆は、雪蓮が勝ってきているとはいえ頻繁に出撃を繰り返すことが頭が痛い。



「あ~~もう、あの猪女! 強いのはわかったけど突っ込むだけなら誰だって出来るわよ。もっと頭を使って損害を減らす戦いをしなさいよね……今回もほとんど奪えた物だってないんだから!」



はっきりいって五胡は、「そこそこ強くて、しかも勝っても得るものが無い」という戦争するには極めて分の悪い相手なのであるが、中華思想という言葉があるとおり異民族が近くにいたら支配せずにはいられないのはこの世界の漢王朝でも同じ。
強い中国を民に見せつけようと、実利が乏しいにもかかわらず海によって隔てられた日本にさえ従属を求めてきた中国歴代王朝にとって、自分たちの支配を認めて税を払おうとしない五胡らは討伐しなければ面子と支配体系が立たない。


「とりあえず、あの男が何かをしたのかもしれないけど、袁紹から何かとち狂った命令がこない事だけが救いね……」


だからこそ、五胡と隣接する領主はいつも歴代王朝から来るこの『異民族討伐令』に悩まされてきた。
しかも、連中だって不作の年は生きていく為にこちらに逆進行を仕掛けてくることもあって、それに対する供えだってしなければいけない、ともう大変。

そんな領土、先祖代々伝わる土地で愛着がある、といった理由でもなければ進んで治めたがるものがいるはずもなく、そういった愛着のある西域連合と公孫賛の間のちょうど空白地帯に位置するこの辺りは、要するに窓際の、赴任するにはあまりよくない場所だ。



「ああ、やってもやっても終わらない! このままじゃ限界が来るわよ」



何が言いたいのかというのは要するに、そんなところを一人で切り盛りしている賈駆の苦労は、並大抵のものではなかった、ということだ。
目の下のくまは取れず、その白黒はっきりとしたメイド服を着ていることからなんとなくパンダっぽいイメージにすらなってしまっていた。



「ほっほっほ、さすが妾じゃな。嫌な思いもしたが、こうなってしまえばもはや敵無しじゃ」
「や~ん、未だに兵力は全然回復してないからそこらじゅうから侮られてるのに、それに全然気付かないなんて流石は美羽様ですわ」



空のかなた向こうで袁紹をだまくらかしたことによってそれなりの時間的猶予を得ることが出来、しかし国内の状況はほとんど改善してないのに気にもせずに一向に政務に励もうとはしない袁術・張勲ペアとは対照的なまでの深刻さで、ひたすらに賈駆は親友の為に一刀の利となる行為に励んでいた。


そして、そんな彼女を尻目に一刀は。


「この近くで有名どころは、東が公孫賛で西が馬超。うう~~ん、どっちがいいかなぁ」


全く反省の色を見せていなかった。





そしてそれは。


「おーほっほっほ、流石はわたくし。今にも民の歓喜の声が聞こえてきそうな、素晴らしい政策ですこと」
「……なあ、斗詩。麗羽様はああいってるけど、ああいうなんって、ちょっと不味いんじゃないのか?」
「文ちゃ~ん、今更言ったって遅いよぅ。ああ、麗羽様は何言っても三日も覚えていてくださらないし。やっぱり私だけじゃ無理だよぅ……はぁ、せめて荀さんさえまだいてくれたらもうちょっとはマシだったのに」


最大勢力である袁紹の行き当たりばったり政務のやり方と、極めて酷似していた。


18へ

Comment

内容は面白かったのですが…気になる点が1つ。袁家の長は、袁術と袁紹のどっちなのでしょうか?>一行目

>中華主義という言葉があるとおり異民族が近くにいたら支配せずにはいられないのが漢民族

そんな傾向はすべての民族に(日本人、朝鮮人、越南人、ムスリム、キリスト教徒、モンゴル人、トルコ人)あるし、実際やってきたのにもかかわらず、中華思想のみを特筆するのは是如何?(このssを見る限り五胡も似たようなものだろうし、漢民族だって異民族との関係は他の諸民族がそうしているように“制圧する力があり、かつその価値がある時は制圧する”といったもの。)

それに中国の王朝が日本、朝鮮、越南、ウイグル、などに朝貢をさせたのは、自国の民に強い中国という国威を示すためではない。(それこそ此処200年ちょっぴりの国民国家を過去に投影している)

勘違いされやすいんですが、閑話休題とは無駄話から本題に戻すときに使うもので、横道に逸れた蛇足的な話のことを指す語ではないです。上の場合、閑話休題はさておいて本題に戻ると、では意味が重複していますよ。
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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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