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外史につくろう穢土幕府・14

この物語は、スーパーハンサムガール孫策丸と
「彼女」を取り巻く美男子の愛と肉欲とポロリが満載の外史であ~る!!









「そら、入れ!」
「言われなくても入るわ。だが、孫呉の王に対して貴様らごときがその態度はなに。それとも、王には王の扱いがあることすらも、袁術の配下は知らないのかしら?」
「っ! ……我等が王は、ただ一人のみ」
「(やっぱり、この城にいるのもそうか。一体、袁術はどうしたっていうの?)」


自身の気圧に対して、一般兵ごときが耐え切って見せる。
そんな事態に対して、突然袁術から牢屋に放り込まれる事となった孫策は改めてこの現状の異常を感じる。

正確には、さっきの兵は美羽の親衛隊を勤める紀霊とかいう武将だったので、別に名無しの雑魚ではない。
一刀による呪いさえなければ、関羽とそれなりに渡り合えるほどの腕を持つはずの武将だ……それでも張飛には一刀両断される程度でしかないし、そもそもこの外史においても男なので所詮はその程度の能力しか持たない。
だからこそ、素の状態で孫策の大器に当てられたとしたならばどうなるかわからないのであるが、人形状態の彼には鋼の心が備わっている為、孫策の推察も間違ってはいない。

だからこそ、牢に入れられて時間だけはたっぷりある雪蓮は、現状をじっくりと考えた。



「どんな妖術を使っているのかわからないけど、あの様子だったら脱出はちょっと無理そうね」



脱出。
それを考えない事はなかった。
それが出来れば自分の自由度は格段に上昇する。
冥琳を助けるにも、孫呉を復興するにも自由がなかったとしても諦めるつもりはないが、あるのとないのでは大違いだ。
だがそれは、却下せざるをえない選択肢だった。


先の様子から警備の兵を計ると、少なくとも戦場での傷が未だなお引いておらず、力が戻っていない雪蓮が単独で脱出できそうな様子ではない。
だからこそ、雪蓮は自由を諦めた。そこには自分の命を永らえる、という事は欠片たりとも考慮されておらず、何が残されるもののために最大限の利益を生むか、という冷たい方程式しかない。

おそらく蓮華らが敗れた今となっては、自身の命など党の昔に諦めている。


だが同時に、雪蓮は希望も持っていた。
牢に放り込まれたことで一層強くなったそれは、惨めな現状においてもなお彼女を強く立たせる。
ただそれは、自身が助け出されるかも、といった方面に対するものではない。


「私が何も言われずここに移される、ってことは袁術の性格上蓮華たちも捕まった、ってことはなさそうね」


身内や仲間が無事である。そのことに安堵の息を吐く。

囚われの身であっても、彼女は間違いなく孫呉の王であり、彼女の配下すべての主であった。
何一つ出来ぬ身であっても考えるのは己の安全ではなく、孫呉の今後。
今回の戦いで大痛手を被った孫呉を復興するのは、並大抵の努力ではすまない。

一度袁術を裏切った形となっている彼女らにとって、黄巾党の乱などといった手軽な手柄が存在しないこの世界では、袁術よりもまともそうなところで客将になる、といったことすらも簡単な事ではない。

今後のみんなの苦難を想像し、その彼女らを少しでも助ける為に今の自分であっても出来る事が何かないかと、必死になって頭をめぐらせるその姿は、間違いなく一刀なぞとは比べ物にならないほど尊いものであった。


(お願いみんな……無事でいて)


だからこそ。
その明朗な頭脳でもう一つの可能性を意図的に無視していることには気付いていたとしても、それをあえて無視するぐらいは許されるのではないだろうか。










「孫策に対する対応は終わったか?」



結局一刀は自分の想像でほかならぬ自分自身が怖くなってしまって、孫策に会おうという決断が出せなかった。
それが何の解決にもならない単なる先送りでしかない事は一刀自身にもわかっていたが、まあ、普通に考えていくら歴史上の偉人に会えるとはいえ、日々享楽に溺れるチンピラが進んで不快な出来事に対面できるはずもない。

彼が天下統一を求めているのはあくまで我欲、それも趣味の範囲内での事なので、今の彼にとって我慢してまで何かをする、という発想はない。
水が低きに流れるように、もはや彼はこの世界に来たときとは比べ物にならないほどに人として『劣化』してしまったのだ。



「はい、孫策さんはとりあえず牢屋に入れておきましたね~」
「手足は縛っておいたし、いろいろと仕掛けてある部屋じゃから、あの女でも自力ではでれんじゃろうのう」
「そっか……じゃあ、とりあえず孫権とかの話を先にしよう」



それゆえに、くさいものには蓋をしろ、の精神でとりあえず先送りした彼は、孫策のことをとりあえず脳裏から追い出して、ようやく一息つけるといわんばかりの表情で恐る恐る美羽たちの下へと現れた。
そんな情けない彼の姿を見ても、すでに彼の人形と化している美羽たちは諫言一つ行うことなく、笑顔で彼の指示にしたがって、先の戦場を検分してきた部下を呼び出した。


「お呼びにより、参りました!」
「うむ、一刀に状況を説明してたも」
「はっ!」


ってなわけで、こんな感じの孫権との戦争行為の結果が一刀に報告されてきた。



『各々袁家の兵に相応しき奮戦をみせるも、敵も死を賭した進軍を行っておりいかに最精鋭たる袁術様麾下の親衛隊をもってしてもその勢いはなかなか削ぐ事が出来ず。
無論、いかにそれほどの覚悟を見せたとしても所詮は下賎の軍ゆえにわれらの結束を砕く事なぞできようはずもなく、こちらの志気高く新たに開発された陣形も効果絶大であった故に壊滅も時間の問題であったのだがしかし敵も去るもの、将軍らのみをおとりにこちらの背後から強襲を行い、これに気付いたわれらの一部を無理やりに引き剥がしたかと思えば卑劣にも火矢を使うことでこちらの連携を断ちそれに伴ってうんぬんかんぬん』




名門らしい様々な修辞麗句を全部聞いていると現代人足る一刀でなくても本質がわかりにくくなるので、それを端的に述べるのならば、こうなる。

結果としては「痛みわけ」という言葉がこれ以上なく似合う状態になった。
すなわち、双方の『全滅』である。



「え?」
「だから、兵が全滅したのじゃ」
「そうなんですよ~困っちゃいますね~」
「は?」



孫呉の最後の兵二千と引き換えに、あれほど強大な領土を誇り、それに相応しい軍事力も持っていた袁術麾下の軍勢は、たったの二戦で完全に壊滅したらしい。
金に飽かせて整えた時代から考えればかなりの高レベルな装備も、地域の広大さをフルに活用して集めまくった若くて健康な男達も、すべてが戦場の露と消えた。

能力の影響下にある二人は一切気にしたそぶりを見せていないが、一刀でなくとも呆然とする結果だ。



「……孫権とか、捕まえられなかったのか?」
「うむ、そんな報告は来てなかったのじゃ」
「今、とりあえず城の者を何人か派遣してそれっぽい死体が無いかを探させてますけど、正直しっちゃかめっちゃか過ぎて見つかるかどうかは微妙ですね~」



残ったものは何もなく、得られたものもほとんど無かった。

(一騎当千してないから)多分美女であろう孫権とか、周瑜とかを捕獲する事も出来なかった。
まさに丸々損である。
孫呉に対して戦いを仕掛けたことそのものの意義を感じてしまうほどの大きな痛手であった。






が、美羽や七乃は意にも介さない。

当たり前だ。
元々それほどでもない能力を致命的なまでに削られた彼女らにとって、冷静になっての現状の把握なんていう上等な事ができるはずもない。
兵が潰えようが、戦場となった領土が荒廃しようが、それが一刀の望みに端を発したものであれば二人はその結果に対して何の感情も持たない。

一刀から次なる命令を貰ったときに初めて現状の惨さに頭を悩ませるのかもしれないが、それが来るまではただただ笑っている事しか出来ない様は、まさに道具としか言いようのないものであった。


それを受けて、一刀も実はたいした事ではないのではないか、と思い始める。

太平要術の書を使えば、市民兵を二千集めるのも実に簡単であった。
兵がいなくなったんならば、また集めてやればいいんだ、と。



だが、そんな袁術が支配する領土は広大ではあるが無限ではなく、街における兵士になれる素質を持つ人間の数が有限であり、それを兵へと変える装備を調達する資金もまた限られている、という事を忘れている机上の空論がまかり通りほどには、流石にこの外史も適当ではない。

そもそも、太守の身で14000もの兵を失う、しかもそれが自身が配下にしていた客将に反乱を起こされた末に巻き起こった失態だ、という事実はそんなに簡単な事ではなかった。


『どけ、どくのです! 陳宮の前を邪魔するのではないのです!』
「朝廷よりの使者殿、参られましたーー!!」


自分は愚か自分の主の官位すらも超える人間が唐突に尋ねてきたという事態に、慌てて駆け込んできた伝令の者の声から、そのことに対する断罪は始まった。






突然王座の前に駆け込んできた少女が、これまた美少女を立てたまま大声で叫ぶのを、一刀は聞いた。


「袁術、控えるのです!」
「な、なんじゃおぬしは」
「陳宮は呂布殿の代理なのです!」
「呂布じゃとな!」


流石に表向きは何の役職にもない以上その場に同席する事なぞ出来ようもなかった一刀が慌てて隠れるのとほぼ同時に、彼の耳にその名が飛び込んできて一刀は仰天する事となった。

呂布。
天下無双と裏切り者の代名詞のような名だが、この世界では当然ながらその他の人物にもれずに女の子である。
ただ、ひたすら無口。
別に喋れないわけではないのだが、多分四六時中趣味のことを考えていて他のことに脳のリソースを使うのが惜しいのであろう。


ただ、その外見や精神とは裏腹にその力はまさに天下無双、その代名詞とも言える方天画戟の一振りで兵の数十をなぎ倒し、返す刀で数十をまたもなぎ倒す。
戦場に置いてその前に立ちつづけることの出来るものはおらず、通った後にはただ屍だけが残る。
彼女がその場において武を振るうだけで、味方は残らず奮いあがり、敵となった者はただ己の無謀さと恐怖を知ることしかできない。

無類の強力と超絶的な反射神経、異常なまでの覇気にその優れた動体視力は、持って生まれたものだけで練達の達人すらも吹き飛ばす。
その若き美貌と幼い精神とは裏腹な力は、努力よりも才、というこの外史を象徴するかのごとし。
孫策の一騎当千をも上回る、単体で数万の兵士を打ち倒す事を可能とする一騎当軍(ワンマン・アーミー)と呼ぶに相応しい戦闘能力を誇っている。



そんな呂布のことを細部まで知っているわけではないが、そのいきなりのビッグネームに目を白黒としながらも一刀は隠れたままとりあえず様子を窺う。
一刀と同じくその名を聞いて慌てていた袁術らがぎこちなく相対するのを、こそこそと見つめるその様は到底一国の君主に相応しいものには見えなかったが、幸いな事にそれに対して突っ込むものは誰もいなかった。





呂布として紹介された彼女は、学はなく、交渉能力も、軍略の知識もないにもかかわらず、その個人の戦闘能力と戦場におけるそれに付随する野生の勘とも言うべき軍事的才能のみによって、漢王朝よりかなりの高位を与えられている。

傑物孫策さえも破った人海戦術という数の暴力をすべて無に返す事が出来る、たった一人で戦場を変える武力だけで、彼女にはそれが認められていた。



「う、うむ。くるしゅうない。使者殿よ、よく参られた」
「ようこそいらっしゃいました~」



だからこそ、血筋の高貴のみを誇り、一大のみの成り上がりという内心の侮りはあったとしても、その姿を前にしては袁術や張勲ごときが張り合えるはずもない。
武力でも、地位でも負けている以上彼女達にとって依るべきものは一刀による洗脳だけしかない。

ゆえに、一刀の命に危害を加えようとする、といった状況でもない限り宮廷からの使者である彼女達にさからおうなどとは思ってもいなかった。



「……ちんきゅー」
「はっ! 呂布殿は『此度の乱を治める事が出来なかった事は、ひとえに袁術自身の統治能力が欠けているからではないか』という審問の為にわざわざ参られたのです」
「なんじゃと! 悪いのは、孫策ではないか」
「そうですよ~、こっちの言い分も聞いてください」



事業仕分けの蓮舫ばりの論調でこちらを一方的に攻め立て来る陳宮に対して、美羽・七乃ら独立行政法人側は大いに慌てて、一刀の権勢を守る為に必死になって言葉を尽くし始める。

勿論陳宮も黙ってはいない。
呂布に対して異常に心酔している彼女は、呂布の属する漢王朝の力が落ち行く現状に対しても当然憤りを感じており、それを象徴するかのごとき「たかが」反乱軍ごときに相打ちとなった袁術軍に対する怒りも尋常ではなかった。
だからこそ、その件に関しては彼女と意見を共にする宦官らなぞに尊敬する呂布殿が命令されたというその事実もあって、その語調は常のものよりもさらに厳しいものとなっていた。

何よりこの世界においては、陳宮の言葉の方が正しいのだ。





そんな中、呂布はぼんやりと虚空をみつめるだけ。
陳宮に同調するわけでも、袁術らを援護するわけでもなく、ただひたすらにめんどくさそうに突っ立っていた。
完全に役目を放棄しているとしか思えないその姿は、余りにも無防備に見えた。


それを見て、ちょっと予想外な事もあったが基本的に調子こいていた一刀の欲心がむくむくと邪心を起こす。


(呂布って言えば、三国志最強の武将だ! 裏切り者ってとこが引っかかるけど、俺の能力だったら関係ねぇ!)


能力が落ちたとしても、ある程度の強さは残るだろうから自分の護衛に相応しいのではないか、と思った一刀は彼女に対して名門らしく部屋に設置してあった隠し部屋から彼女に対して色目を向ける。




完全に他所の世界から来た一刀にとって、この外史の呂布に対して知っている事はごくごく僅かだ。

多分、今までの経緯的に呂布も女なんだろうな、とは思いはしても、それ以上のことはかつての世界で読んだ小説に書いてある範囲でしか知らない。

だからこそ、動物をいとおしむ彼女の心も、異民族であり、部族の風習でもあった刺青ゆえに彼女自身もなんども裏切りを受けてきた彼女の過去も、何一つ知りはしない。
当然、戦場において命乞いする兵を無残にも切り殺した事も、宦官らの悪行を知っていながら無視したことも知るよしもない。


ただ一刀が知るのは、伝説に残るほどの彼女の武力と、その見目麗しい容姿のみ。
それらの呂布の今までやってきた所業を知ったところで、「この」一刀がいかなる感情を持つかに差異が生じるかどうかは微妙なところがあったが、それを知らない以上結論は一つしかなかった。




そう、一刀には、彼女すらも獲物にしか見えなかったのだ。







だからこそ、邪心に満ちた目で隠し部屋から見つめ続けて彼女を操れるような状況にどうやって持っていこうかと思案を続ける一刀だったが、ふとそこら辺をうろうろとしていた呂布の視線が、こちらに向いたことに気付いた。


それだけで、すべてが終わった。


「…………」
「っ! かっはぁ!」


その次の瞬間、一刀はのぞき穴から全力で目を外して腰を抜かして座り込み、呼吸困難になったように何度も息を荒く吐き出した。
一瞬で、全身から汗が噴出し、その脳裏が白く濁っていく。


「? 呂布どのー、何かありましたか?」
「………………なんでもない」
「はっ、もしや、おなかが空かれたのですか! それは一大事なのです……袁術! 今日のところはこのくらいにしておいてやりますが、また明日も来るのです」
「…………うん、ごはんにする」



陳宮が早とちりをして呂布をつれたまま袁術の前から退席していくのを壁越しに聞いた彼は、しかしそれに対して一切の反応を見せることなく荒い息で呆然と座り込んでいた。

その顔は、このうえもなく青い。



(あれは……あれは無理だ。近寄れねえ)



剣を交わしたわけでも、戦場で相対したわけでも、互いに指揮する軍同士が向かい合ったわけでもない。
にもかかわらず、たった一度目があっただけで一刀の心は折られた。

一刀は現代人としてはそれなりの剣の鍛錬の経験がある。
それは、この世界においては単なる夜盗にすら劣るものであったが、それでもその技よりも心を重視する長年の訓練によってそれなりの度胸は持ち合わせており、それはこちらに来てからのヤクザの頭としての経験もあって、それなりの押し出しの強さは身につけているものだと彼自身は思っていた。


だが、そんなものは一合も剣を合わせることすらなく、三国無双のたった一瞥の前に容易く吹き飛ばされた。

呼吸が未だに荒く、心臓の鼓動が収まらない。
たった一瞬目があっただけなのに、その野生の勘でこちらの邪心を看破したのか、呂布は一瞬で敵意に対して殺気で応戦した。
術の効力がなければ、一刀の力なんて高が知れている。それは、こちらにきてから身に付けたやくざとしての能力も同じだった。


呂布は純真で、他の外史では主人公の性根のよさをその類稀なる洞察力で悟って仲間になる展開もある。
だが、善意に対して敏感である、という事は裏を返せば悪意に対しても敏感なのだ。

それこそが、警戒心の欠片もなさそうな言動でありながら、武だけを頼りに宮廷の地位を着々と上げてきた彼女の今の源。
陳宮の助力があったとしても、何進に手篭めにされることも、十常侍の姦計により操られる事もなく独立独歩を保ち、そして暴君と呼ばれることとなった董卓に対してその評判を一顧だにせず忠義を尽くしたりもする。


だからこそ、一刀の悪意は容易く看破され、アッサリとその目線一つで撃退された。


「…………呂布。まさか、あそこまで化け物とは」


心折られた一刀にとって、自分が術をかけられる間合いに入ることは、彼女に斬られることと同意にしか思えなかった。
こうして一刀の選択肢から、戦国無双の武将に対して何食わぬ顔で近づいて術をかける、というものが消え去った。
今の一刀の能力でそれは、無理なからぬものであった。









が、呂布との邂逅はマイナス面だけではなかった。
一刀があることに気付くのに、一役かったのである。



「…………うん? ちょっと待てよ。本物の一騎当千、三国無双の呂布が外見は美少女だという事は」


ぱたぱたぱたぱた。
とある事に気が付いた一刀は、慌ててダッシュした。

その足は、女の子相手にびびっちまった己のかっこ悪さを忘れん、といわんばかりに必要以上に勢い込んでいた。
三国の支配者を目指す自分があんなにも情けない姿をさらすわけがない、という自己欺瞞で弾む心をごまかして、無理やりテンションを上げたままで、孫策が縛られている牢屋に向かって突入していった。



「あなた、いきなり何を。というか、誰!」
「やっぱ孫策も美女だったー! さあ、俺のモノになれ!」


突然の乱入に思案が破られてもなお、孫策は誇り高く相対するが、呂布の覇気によって一時的に心をテンションで誤魔化している一刀にとって、それは何とか耐えられるものだった。
いかに英傑孫策といえども、軍勢が剥ぎ取られて手足も縛られた虜囚の身となってしまえば、呂布ほどの力は持っていない。

無論、その状態でも普通の一刀よりもよっぽどありとあらゆる能力が高いのであるが、一刀はひるまなかった。
その目はすでに色にけぶっており、雪蓮の外見だけを捉えて人格は見ていない。


本来であれば彼女の前でも蛇に睨まれた蛙のように縮こまる事しか出来なかったであろう一刀も、とても冷たい氷の次なら冷たい水でも温かく感じる錯覚のように孫策が普段よりも小さく見えた。

そもそも、彼の中での当初の孫策のイメージは『孫策丸』なのだ。
それに比べれば、雪蓮の外見はとてもよく、彼好みであり、恐れるべきものとは思えなかった。



「ちょ、いきなり何を、やめなさい!」
「呂布に比べりゃ、怖くねーぞ!」
「っ! ああぁ!」



そして、縛られて虜囚に身となってしまえば、英傑といえども一刀の太平要術の書の妖術には逆らえない。
戦場に置いて相対したときはなんの役に立たない秘術であっても、虜としてしまえばいかなるものも―――呂布すらもシモベに出来る力は、雪蓮に対しても有効に働いた。

被験者が高潔であろうが、愚物であろうが、一刀が唯一頼る力は平等に作用した。
雪蓮の内心の葛藤も、妹達を心配する気持ちも、孫呉の後を思う純粋な王者としての成り立ちも、すべて。


(くっ……冥琳…ゴメン)


敗者には、何一つ残らないのだ。




それを見てもいつもの事でしかない一刀は、もはや何も感じずに単なる作業として術を終了し、成功した事を見届ける。
そこには欲情はあっても、後悔は存在しない。
あれほどまでの力を持っていた雪蓮の瞳が力を失い、徐々に抵抗をなくしていくのを見て、一刀は安堵の声で呟いた。



「やっぱ、あんな孫策丸なんているわけないんだよな。は~、びびって損した」



一刀は知らない。

彼自身の脳裏から何故か生まれた映像、ムキムキマッチョで禿頭なのにモミアゲのみお下げ、ピンクのセクシーランジェリーに身を包んで、「だ~ぼら~」とか言ってる異形の怪人孫策丸が、この世界においては貂蝉と名を変えて、存在する事を。
一刀は、未だに知らなかった。



  15へ

Comment

やっぱりそんなに甘くないか~
これで捕獲が大前提になりましたね
武力か人質などで抑えれるやつじゃないと加入は無理ということは
呂布に関してはほぼ完璧に詰みましたね
本編みたいに投網で捕まえようにも
その間抑えることも武将が洗脳でランクダウンしてるので無理でしょうし
数で押すことも不可能
唯一可能なのが動物たちを捕まえることですが、一般に情報が流れていない以上まず無理
う~む、この状況を悪一刀に覆せるか、期待ですね。

それにしても袁術はまだしも張勲までも本物の阿呆になってますねぇ
言われたことのみ忠実にこなすのは
アホでも出来るってのがよく分かりました
孫策もアホの子軍団の仲間入りでどこまでランクダウンしたのか見ものですね
これからも応援してます

内政(あるいはNAISEI)パート

名あり武将つきの軍を物量作戦で下そうとすると、最低でも相手の頭数の4倍から5倍の兵隊を持ってこなけりゃならないと。
正面から当たろうとしたら、兵士一人当たりの戦力を底上げして、兵士1人に漢代の一般的な兵士何人分かの働きをしてもらわないと、合戦で勝とうが負けようが、人間不足でジリ貧ですね。
ということで、とにかく何でもいいから、誰でもそれなりの戦闘力を持てる武器の開発と量産は急務ということになるのでしょうが…一刀はその辺、どうする気なのやら。
(せめて火薬だけでもあれば、自爆攻撃による交換比の削減が期待できるのですが…。)



個人的には、ガチバトルは諦めて、"旅に旅してこっそり洗脳作戦"を地道にやった方がいいと思いますが。
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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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