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外史につくろう穢土幕府・09

この時点での一刀勢力のイメージは、「女の子を全部娼館に入れちゃって戦力が足りてない大悪司」です。
えろシーンを重視しすぎた為に、シナリオを進める為に必要な戦力さえそろってない、みたいな。

まあ、まだPM相当の曹操とか、那古教担当の孫権とかまでたどり着いてないからそれほど苦戦してませんけど。








人間、うまくいっているときは自分が失敗するかも、という事はなかなか考えないものだ。
何といっても、今は成功しているのだ。
このやり方が不味い、このまま続けていれば失敗する、という事はそう簡単には人間心理的に考えづらい。

それどころか、たとえその成功によって将来大きな損害を被るかもしれない、という事がわかっていたとしても現実の「今」という時間の心地よさに酔って、その将来への不安から目をそむけるかもしれない。
だからこそ、「石橋を叩いて渡る」などの慣用句によってそれに対する備えが必要であるとよく言われる。

それは、例えば自分に対して諫言してでも自身の意見を言ってくれる得難い部下であったり、自分が間違った道に行きそうなときに方を押さえて止めてくれる友であったり、あるいは過去の自分に対する教育という形で脳裏に蘇って来る師であったりする。

それらは貴重なブレーキである。
例え、一度とどまって熟考した結果として、この場面ではまたアクセルを目一杯踏み込むべきだ、という結論になったとしても、一度停止した事で確実に事故は減るし、自身の用心深さとでも言うべきものも回復していく。
結論はこのまま『進む』で変更なしでもいいとしても、大規模な方針を立てる際には必ず一度立ち止まって周りを見渡してみるべきなのだ。


さもなくば、気が付いたら今にも崩れそうな橋の上を、必死で祈りながら猛スピードで走り続ける羽目になっているかもしれない。




黄巾党それ自体が消滅してしまったこの外史だが、それを修正しようとする外史の管理者らがこの外史に入り込むことを筋肉達磨によ「だ~れが漢女の割には筋肉がつきすぎて夜道で見たらおぞましくって気絶しそうなトーテムポールに見えるですってぇ」……麗しの漢女によって防がれてしまったので、本来の流れに戻る事はなかった。

故に各地の諸侯はこぞって力を蓄えて機会を待っているのであり、もうちょっとで弱小諸侯ぐらいの勢力を築きそうになっている一刀一派も本来であればここで各地に勢力を伸ばして孫策のように袁術の麾下から抜け出せるように力を蓄えなければならない。
あるいは、黄巾党の出現と同時に三国史的に最後まで残る三大勢力のどれか、すなわち劉備、孫権、曹操の誰か……あるいは歴史上有力そうで、その黄巾党が消えた影響を受けた波乱の流れの中で何とか生き残りそうな勢力とコンタクトをとるか何かをしてその下にもぐりこんで、再びマフィア家業に精を出せば労せずしてこの混乱の時代をうはうはで生き残る事が出来るかもしれない。

と、言うわけで史実から徐々に離れつつあるこの外史において、まだその影響が大きく出ないうちに何とかして渡りをつけて生き残る為の算段をするためには、一時も無駄に出来ないほど今からの時間が大切なのであるが。

時間が大切なのであるが!



「……は? 君が鳳統?」
「はい……」



自分という異物による影響以前の、何者かの意思による外史の理不尽な人物変更に驚きを隠せない一刀は、そんな事など考えている余裕が無かった。


鳳統。
三国志の主要な登場人物の一人。
あの諸葛亮孔明の妹を娶り、彼と義兄弟となる。
最終局面では周瑜に連環の計を提案するなど謀略方面に優れ、また人物鑑定にも一家言ある。
外見が到底貴人には見えないということで劉備からすら侮られた事もあったが、その能力はまさに鳳雛と呼ばれるに相応しいほどの実力者。


「あわわ、あの~、私を帰してください」
(……これが、鳳統?)


目の前にいる鳳統を名乗る人物。
一刀ハーレムの新たな一員。
チンピラによってあっさりと拾われた。
ひたすらにでかい帽子と花が開いたがごときスカートを身にまとってその背の低さと胸の無さを逆にアピールしている。
外見がロリなのはマイナスでどう見ても処女なので閨での実力は無いと思うが、微妙に耳年増っぽいのでこれからに期待。
気弱そうにさっきから「あわわ」と繰り返している。

いくらなんでもイメージと違いすぎるので、思っていた事がついぽろっと口から出た。



「ひょっとして、諸葛亮とか、孔明とか知ってる?」
「っ! お、お願いです朱里ちゃん……諸葛亮には手を出さないで下さい」



いるのかよ。
しかも孔明まで女なのかよ。

とりあえず二人は蜀の軍師でセットみたいな感じで今まで実在が確認できなかった孔明について聞いてみると、あっさり返ってきたこの言葉。

一刀は訳がわからなかった。


鳳統と名乗るこのロリ少女が一人であれば、偶然そういった名前を持った別の人物である、だとか両親が名だたる英雄にちなんで名づけた、という事も考えられるが、『孔明』の知己である鳳統が三国志の登場人物でないはずが無いと思う。
偶然鳳統と名乗る少女と偶然孔明を名乗る人物が偶然知り合いになっている、という可能性はほぼありえないといってもいいだろうし。

加えて彼女は、『水鏡先生(これもまた女性らしい)』の私塾で軍学について学んでおり、親友と共にこの乱世に終止符を打つべく優れた主の下で軍師として活躍する為に放浪中だったという。

いくらなんでもこの設定で、「ああ、じゃあ君は俺の知ってる『三国志』の鳳統とは関係のない赤の他人のただの女の子だね」とか、そんなに簡単に疑いをなくせるはずが無い。



だが、そうなるとどうしても何で「女の子」になっているんだ、という疑問にぶち当たる。
大喬小喬は「絶世の美女」というイメージとは微妙に違ったが、それでも間違いなく女で美貌の持ち主で姉妹だった。
にもかかわらず、年齢には目をつぶるとしても確実に男であるはずの鳳統がこんなの。

悪党である一刀を引っ掛けて誰かが上手い汁を吸おうとしているとしても、いくらなんでも予想外すぎる策ではなかろうか。
一刀が現代から来たということを知らぬ者がこんな方法を考え付く事などできやしないし、知っている者にしても罠をかけるにはあまりに手間が多すぎ、それに対して帰ってくる利が薄すぎる。

どれほど悩んでも、なかなか答えは出てこない。



実際にはこの外史は特に理由もなく「こういうもの」なだけに、考えても無駄なのであるが、ヘタに「三国志」だとかを知っているだけになかなか一刀は納得できない。
董卓の乱がいまだ欠片ほども起こっていないこの時点で孫堅が死亡した上で孫一派が袁術の支配下にいる、公孫賛が袁紹に攻められるよりも速く趙雲がそちらに向かっている、徐州掃討戦の前に曹操が城を手に入れている上に父をなくしている、何より黄巾党事件が生じていないなどのいろいろな差異は生じているのであるが、そこまでの情報は手に入れていないことに加えてあまりに自分の知る物語との類似点が多いだけになかなか思い至れない。



「とりあえず……そのことについてもこっちで話すということで」
「うううぅ……はい…………」


と、言うわけで考えるのもめんどくさくなった一刀はとりあえず寝台に雛里を引っ張り込んで場面転換を試みる事となった。
雛里自身がかなりのロリとはいえ、大喬小喬を囲っている彼に死角は無かった。

そして、親友を助ける為の身代わりとしてすでに覚悟完了しちゃってる雛里さん的にも、それは出来るだけ避けて欲しくはあったが、仕方がない方針であった。








「……ひょっとして、袁紹も女なのか?」
「え? ……はい。直接お会いした事はありませんが、長い髪のお美しい女性とお聞きしています……」
(ほぼ全員じゃねえかよ……)


寝物語に語られた衝撃の世界。
曹操も孫策も周瑜も袁術も袁紹も公孫賛も、みんな女性らしい。
しかも、大概が妙齢。

弓の名手として髭を蓄えて立派な体格した絵で知られている将軍も、女。
三国無双と称えられ凄まじい巨体の馬を操って縦横無尽に戦場を駆けた武将も、女の子。
軍師としてその智謀を現代でも今なお語られる男も、ロリ少女。

三国志のある意味ファンであった一刀にとって、ちょっと受け入れにくい事実である。
というか、中国人これ聞いたら怒らないだろうか、とか言う心配さえ生じてくる。
もうこれ三国志と関係なくていいじゃん、とかいいたい心を押さえつけて、一刀は思案する。


(彼女らも俺のハーレムへ……って、今すぐには流石に無理か)


現在、一刀の私兵は数にして百ちょっと。
順調に増加中ではあるが、そのペースはきわめて遅い。

最大勢力である袁紹、それに続く規模を誇る袁術はさておき、そのお隣さんでそれほど大規模なわけでもない幽州の太守、公孫賛でさえすでに徴兵すれば千や二千までは兵を集められるはずだ。
時期的なものを考えると曹操はそれほど兵を保有しているとは思えないし、劉備なんか未だに三人である可能性もある。
三国のうちで現時点で最も兵を保有していると思われる孫策でさえ、各地に散った孫呉の残党をかき集めてようやく千に届くぐらいであろうと、おそらく現時点ではその程度しか保有していない今がチャンスといえばチャンスである……兵数差十倍ですんでいる今がまだマシ、という意味では。

まあ、時期的にはいろいろとしがらみがあるからそう簡単に徴兵できるわけではないだろうが、『出来ない』のと『やらない』には天と地ほどの差がある。



それに加えて、一刀の兵力基盤はあまりに脆弱だ。

他国の君主(正確にはこの表現はおかしいが、スルーする)のように徴兵・徴税、という合法的な基盤を何一つ持っていないから仕方がないのであるが、いくらなんでも先に上がったようなすでに千を超える兵を保有する諸侯を相手に正面から対峙して勝利するには数に不足がありすぎる。
張角のように人を集められる手段が無いだけに、太平要術の書の力を大規模に使うこともなかなかうまくいかない。




なお、これは完全に余談だが一刀の外史アイドルマスター計画は「俺の女が視線で汚されるなんてヤダ」といういかにももてない男らしい理由で無意識に却下されているので、現在張三姉妹は二人だけで劇場を切り盛りしている。
それほど盛況というわけではないが、そろそろ固定客もついてきたので食べていくだけなら余裕だそうだ。


その際にたまたま様子を見に来ていた一刀が握手の前に手を洗ったり清潔にする事を奨励したり、大商人などのスポンサーから稼いだ金を景気よく地和が使うことで付近の経済が微妙に活性化して、疫病や飢饉が防げたり、地味に二人は一刀的には気付いてはいないものの役に立っていた。


だが、結果としてこれによって史実においては飢饉、疫病による貧困が原因といわれている黄巾党の乱がさらに遠くなってしまったりもしている。



(だけど、やってやれないはずはない……俺にとってはきっとそんなに難しい事じゃない)


まあ、それはさておき。
正面からやっても勝ち目は無いので、とりあえず自分たちも義勇軍でも名のって勢力を上げてみようと一刀は考えた。

何せ自分には未来の知識があるのだ。
連環の計も十面埋伏の計も天下三分の計もいろいろわかっているし、きっと頑張れば火縄銃ぐらい未来知識で作れるはずだ……知と武がそろっている自分が、こんだけ条件がそろえば負けるはずが無い。
天和も書の力を使わずに自力で口説けた事だし、きっと英傑たちと戦う事になったとしても何とかできるはず。

ならば、行うべきなのは戦力の増強。
後は数さえあれば自分の天下だ。
そのあかつきには……始皇帝並のハーレムを作ろうと思う。
曹操とか、袁術とか、孫策とか劉備とか全部並べて。


(現時点では曹操とか孫策も弱小だからな……今のうちに倒してハーレムに入れといたほうが後々楽かもしれないし)





端的に言って、彼は増長していた。


策略というにはあまりに粗末で卑怯なものを使って、しかし一応は自分自身の力で天和が手に入れた上に、偶然とはいえ鳳統まで自然の手中に収めることとなった。
このままの勢いで行けば、劉備とかもひょっとすると美女かもしれない、それをアッサリと手に入れられるかもしれない。
それは年頃の男として酷く魅力的な誘いだ。



そして、それ以上に。
性欲以上に彼をかきたてるものがあった。



自分は、『あの』劉備、曹操、孫権を、打ち倒して天下を取れるかもしれない。
自分こそが、三国志において未曾有の傑物として語られ、その偉業はいくら年月を経ても残り続けるかもしれない。
それを、自分の生きていた現代の日本人が読んで、「ああ、北郷一刀ってのはなんてかっこいいんだ」と憧れと尊敬のまなざしと共に己の名を語るかもしれないのだ。
盗難を恐れて懐に常に入れてある太平要術の書が、一瞬熱を持った。


それは自分の実力を持ってすれば十分可能なことに思えた。
なぜなら、自分はあの智謀で知られる『鳳雛』、鳳統すらも降したではないか!



歴史に名を残す事を望まないようでは、その者はすでに夢を見て前に進む資格など無い。
そして一刀には、十分にその資格を持っている者だった。

歴史上英雄豪傑と名高い人間が自分の下に付くかもしれないという想像は、二千年近く後でも彼らの名が残っている事を知っている人間にとってあまりにも甘美な誘惑だった。
今まで名誉などというものには全く縁のなかったただの学生であった一刀にとって、それは考えても見なかった素晴らしい未来だった。


(誰だか知らないけど、俺をこの世界に来させた奴は、きっとそれを求めて俺をここに行かせたんだな……なんだ、今までやってきた事はやっぱり間違ってなかったんじゃないか!)


やがてそれは、自分はきっとそのためにこの世界に来たのだ、という使命にすら、一刀には思えた。

こちらの世界に着てから最初は不遇を喰らったとは言え、彼は基本的に上り調子でここまでやってきたのだ。
落とし穴に落ちた事も無い者が、いつまでも前方を警戒する手間をかけ続けることはあまり無い。
最初のころは用心していたとしても、いずれは自分だけは大丈夫だと言う考えのもと段々と注意力が落ちていく、まさにそんな状態に一刀はあった。


飢えて飢えて、それでも生きたくて、やむを得ず人を傷つけたときの気持ちなどとうに忘れていた。
あの葛藤も、あの絶望も、あの悲しみもここ最近の享楽からすべては過去となっていた彼にとって、この世界は自分にとって限りなく都合のいい遊び場にしか思えなかった。
奪った事も、殺した事も、犯した事も、すべて許された……そんな気分だった。



だから一刀は、驕り続ける。
今まで踏みにじってきたものの事をすべて後ろに置いたままで。



劉備、曹操、孫策ではなく自身こそがこの外史の主人公だ、と。
他の人物は、今まで操って下した大喬小喬のように、自らの配下に攫われて自分に捕らえられている鳳統のように、すべて自分の前にひれ伏す路傍の石である、と。


そのために、一刀はここに来て始めて、生き残る為ではなく三国志の世界にて覇を唱える為の行動を始めようと決心した。


乱世の梟雄、北郷一刀が始まったのは、まさにこの瞬間からだった。



「とりあえず、劉備だとかの有力な在野の武将と、張角たちを探させるか……どこで黄巾党が起こるかの細かい地域とか本拠地まで事前にわかっていれば、大分有利に立てるし」



そして、その割には未だに張角はお前の横で寝ている巨乳の女だ、という事に気付いていなかった。



10へ

Comment

メッチャ増長してる馬鹿が居るww
このアホウの一皮剥けるときが楽しみだ

ええと、流れ的にいって一刀は一応雛里を軍師として使うつもりなんだろうか?
どうやら現時点での彼は能力的なものは三国志と名前イコールであると思ってるようだし。
…といっても雛里じゃブレーキ役にはなれないよなぁ。
もうちょっと関係が深まって一刀が彼女に愛情を抱きはじめれば話は別かもしれませんが。

ああ。大悪司で奉仕青年団とかわかめ組とか軒並み娼館にいれたら、大杉剛とかしか残らなくなってしんどくなるパターンですね。
このあとは、調子に乗って地域制圧しまくる→毎ターンごとに侵攻される→戦力ずたぼろフラグですね。
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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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