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外史につくろう穢土幕府・08

なんかエロ方面ばっかりでなかなかダークな方にいかんな……
まあ、まったりやっていこうと思います。

「張角なら、俺の横で寝てるよ」










トップに立つ人間は、断固たる意思を持たねばならない。

船頭多くして船山登るの例えどおり、ある程度の集団以上に人数が集まったとき、誰も彼もが好きな事をやっていたとしたらその全体としての行動はあまりにちぐはぐなものへと成り下がってしまう。
一人二人といった小集団であればそれでもその一人一人がそれなりの目標を持って利益の為に進んだとしても、規模自体が小さい為にそれほどまで大きな損害を受ける事は無いが、集団が膨らんで大きくなればなるほどそれは難しくなっていく。

だからこそ、大概の集団には名目上だけであっても「長」となるべきものが定められており、それに一応皆が従う事になる。

長となるべき者が合議制を取ってそれの結果に沿って行動を移そうとしようとするのであろうと、トップが独りですべてを決め、それに部下は従うだけというワンマン形式を取ろうと、長という役割の重大さは変わらない。

多数の意見を聞いて調整したり、たった一人で決断したり、やり方は違っても、これによって方向性が決まり集団全体の将来が決まる事には変わりがないからだ。


だからこそ、頂点の座というものは争いに伴って力で奪い取ることが許されているのだ……奪い取れるほど優れた人間でないとそこを目指す資格はなく、また奪われるような無能な人間にいつまでも居座ることを許すような場所ではない。


だからこそ、どのような経緯であっても頂点に立つ人間はその自身の意思を強くもってすべての責任を背負いながら進んでいかなければならないのだ。
その結果がどのようなものになろうとも受け入れる覚悟も共にもって。



彼次第で、すべての事象が変化してしまうのだから。










北郷一刀は、もはやここが三国志の時代である事を疑っていなかった。
実際大喬小喬という人物をゲットしてるし、孫策・曹操だとか言う名前の噂は自分のお膝元にも大きく届いている。
劉備だとか関羽だとかの名前はまだ聞かないが、まあ桃園の誓いの前の無名な時なのだろう、と思っていたのでさほど疑問もなかった。

とにかくタイムスリップ説を裏付ける状況証拠がそろいまくっている以上、それ以上深いことを考える脳みそは彼には無い。
故に、何故こんなところにきてしまったのか、だとか、どうやったら帰れるのか、とか考える事さえせずに、現状を受け入れていた。


(ロリ二人に加えて爆乳もゲットと順調にハーレム作っていってるはずなんだが……おかしい)


彼が知っている三国志、という物語はなにぶんかこの史実をいろいろと脚色したり省略したりして描かれているものなので、多少自分の知識とずれていても、彼は「ああ、そんなもんなんだ」とおもって少しぐらいの差異であれば流しただろう。

だが、そんなあまり自身のもつ歴史知識を絶対と思っていなかった彼ですら、一つだけそれでも違和感を覚えた出来事があった。

それは…………


(黄巾党の乱が起こんないぞ?)


お前のせいだ、と突っ込んでくれる人物は彼の周りには誰もいなかった。



諸侯が蜂起する直接のきっかけは献帝を要する董卓が倒され、それによって漢王朝が倒れたことであるが、その前段階として黄巾党の乱が起こったことはかなり重要だ。

あれによって各地の諸侯は名を上げ、それがあったからこそ彼らは天子に対して弓引くに等しい事も民衆からの支持が得られた。
民主主義なんて形もない時代とはいえ、民衆の支持が得られなければ不利益を被る、という事は英傑と呼ばれる人間であれば分かっていないはずがなかったし、暗愚な君主にとっては黄巾党のように自分に反抗する人間がいなければ、別段今までのやり方を改める必要などないように思ってしまうのが当然。

民の支持という無形の財産を彼らが黄巾の討伐によって得られたからこそ孫策は袁術から独立できるだけの財と兵を民衆から集める事が出来たし、曹操も国土を広げたところで歓迎された。


(劉備とかの名前もさっぱり聞かないしなぁ)


劉備など、自前で義勇軍を組織して黄巾党の討伐によって名前を挙げていたからこそ、かろうじて反董卓連合において弱小とはいえ一つの勢力として認められたといっていい。
というか、黄巾が無ければそもそも義勇軍を立ち上げる名目が無い。
故に、黄巾党の乱が無ければ、劉備一行は精々公孫賛の抱える客将、「すっごく強い武芸者集団」で済んでいた可能性が高い。




また、献帝が立てられるきっかけ自体も黄巾党の発生に伴う何進と十常寺の争いがあってこそ、霊帝の没後すぐに興ったわけだし、さらに言うならば霊帝の死自体にも直接ではないにせよ心労や毒殺といった形で黄巾党の乱は関わっている。


(ちょっとはっきりとした年代までは覚えてないけど、霊帝の体が悪い、とか言われてる以上そろそろ起こんなきゃおかしいと思うんだけど……)


それが、起こらない。

そもそもこの外史、正史と比べてそれほど食糧事情は切迫していない。
村々単位であれば重税に喘いでいたりそれこそ一刀が飢え死にしかけたりといったような事情もあったが、もともとはアイドルにうつつを抜かせる程度には余裕があるものも多い。
数十万とも言われた史実の黄巾党の構成員はほとんど飢えた民であったが、「悪一刀ルート」以外の外史の多くでもただ単に「ちょっと現状に不満を持っていただけのアイドルに嵌った兄ちゃん」である。

食い詰めてやむなく立たざるを得なかった正史とは、はなから条件が違うのだ。


そのため、その旗印となるアイドルが倒れている今、黄巾党の乱の自然発生は見込めなかった。


いつかは蜂起するにしても黄巾党の乱という手っ取り早く名を上げる機会がなければ諸侯の力を蓄える速度は低下するし、大将軍何進や十条侍もお互いの弱点を探す時期であるとして、今しばらくは直接対決をためらう。


(おっかしいなあ……張角とかいうおっさんが民衆まとめてそろそろ耐え切れなくなってなきゃおかしいんだけど)


ちなみに彼、ここが「有力な登場人物すべてが女」というめちゃくちゃな外史であることにいまだ気付いていなかった。
情報伝達手段が人対人でしかないこの時代において曹操などの外見を知る手段が限られていた事や、そもそも君主が女なのは基本的にこの世界の人間にとって見れば当たり前のことなので誰も彼に教えてくれなかった事が理由の一つである。



だが、最も大きな理由は「大喬小喬」姉妹がそのまま女であった事と、今まさに彼の横で眠っている「天和」が張角であるということに彼が気づいていなかった事が上げられる。

彼の認識では「真名」とかいうシステムは存在しない。
何せ、初めに会った有名人の大喬小喬は、何故かこの世界において例外的に真名をもっていない。
続いて出てきた張角も、アイドルだからか他人に「天和」という名で名乗る方が多かった。

だから、天和・地和・人和三姉妹と張角一派が結びついていなかったのだ。


(まさか、ここは過去の中国じゃないのか? いや、でも大喬小喬もいたし、彼女らだけじゃなくて周瑜も孫策も実在してるのに、三国志じゃないってことがありえるのか?)


その結果として、彼は張角を捕らえて囲っておきながら「おっさんであるはずの黄巾党の指導者」が現れない事に疑問を持ち始めた。








で、戸惑っていたのは三国志の知識とは違うのではないか、と思っていた一刀だけではない。
劉備に代表される各地の無名な、しかし優れた武や知を持つ将来の武将らも同じであった。

大規模な戦いが起こらないということはすなわち、諸侯らは地味な内政パート中である。
戦いでの直接の敗北などとは異なり、内政面での他国との比較競争はよほど大きな失敗でもしない限り、絶対的に優れている、とか間違っている、とか言いにくい状態だ。


現にこの時点でもっとも内政が成功していると市政で噂されているのは、豫州を収める「あの」袁紹である。
もともと名門というだけあってそれなりに官僚システムは出来上がっているし、収めている土地も豊か、戦が起こっていないため弱兵ばかりとはいえ兵数は膨大、蓄えた財も多いのでちょっとぐらいの凶作でも税を上げなくてもやっていける、と将来性はおいておいて現時点での内政面だけで見るならば袁紹は二位以下をぶっちぎってダントツのトップに立っている。
抱えている二人の将軍の力量も、噂だけなら呂布にも並んでいた袁紹一派は、このように話に聞くだけならばきわめて優秀な一団のように思える……実物を見ない限り。

このように、内政面での比較というのは何か問題がおきない限り、中々「この国はこの国より強い」「この君主はこの君主よりも凄い」といったことが外から噂を聞くだけではわからない状態なのだ。


それだけに、袁紹に仕えようと思って訪ねていった多くの在野の有力武将・軍師・官吏の実物に会ってからのがっかり度数は半端じゃなかった。






「うう……やっぱり、袁紹さんには会えるまで粘ったほうがよかったのかな……」
「でも、あの街を見たでしょ、雛里ちゃん。やっぱり袁紹さんは天下泰平を考えているようには見えないよ……門前払いされちゃったし」


というわけで、荒野をさすらう二人の軍師も、極めてがっかりしていた。

三国志を代表する有名人である伏竜・諸葛亮と、その諸葛亮と並び称される天才凰雛・鳳統の二人組みは、袁紹の支配下である豫州まで出向いたはいいが、やはり袁紹の器に見切りをつけて仕官せずに未だに在野にとどまってあちらこちらを流離っていた。

噂を聞いて袁紹こそ彼女らの求める「天下泰平」の為の君主ではないか、と思って士官を求めてみようとしたものの、そもそも仕官さえ出来なかったし、その町の暮らし向きを見てもやはり違うと思ったのだ。


だから、断られた事を怨みもせず、再び放浪の旅に出たのであるが、軍師らしく自分たちの能力にそれなりの自信を持っている二人は、きちんと自分たちが評価されずに門前払いを喰らったという事実にそれなりに傷ついていた。

ただ、彼女らの優れているところの一つに、きちんと自己分析ができることがある。
彼女達は袁紹に会う事も出来なかった事は、自分たちにも悪いところがあったのだ、という事をきちんと認識していた。


「……まあ、私たちみたいなのがいきなり仕官させてもらえるはずがないけど」
「……この身長がね」
「……あと、胸とかもね」
「「うう……」」


そう、外見、である。

まあ、最大勢力ということは裏を返せば仕官を望むものもそれ相応に多いということであるし、そんなところにこんな見た目も幼く、いまだ無名で、どう見ても戦いには向いてなさそうな外見の「はわわ・あわわ軍師」が来たところで厚遇するはずもない。
それがわかっていたからこそ、彼女達は断られても仕方ない、と思って諦めて、しかし一向に成長を見せない自分らの体について凹んでいた。



で、次にきたのが袁紹に続いての最大勢力である袁術の支配地域。
とりあえずなんか凄いらしい孫策のいる江東辺りを目指すついでに通りがかった近くの街にひとまず寄ろうか、という話をして向かっていた途中だった。




で。


「あ……馬が通るよ、朱里ちゃん」
「ほんとだ。避けなきゃね」


その途中の街道にて。
とても急いでいるのか猛スピードで馬を走らせる一人の男に気付いて左右に分かれて道を譲った二人のうち、男の利き腕に近い方にいた人物が。


「ひゃっはーー! 御頭への土産だぜーー!!」


通りすがりに腰帯を掴まれてあっという間に馬上へ拉致された。
基本的に一刀一派はいろいろと難しいことを考えなくても太平要術の書の力だけで大概の物事は何とかなるので、人攫いにおけるリスクとか考えちゃう頭のいい人間なんていやしない。


「え? …………た、助けてーー!!」
「っ! 雛里ちゃん、雛里ちゃ~ん!!」


さらわれなかったもう一人の方、諸葛亮は必死になって追いかけるが、馬の足に追いつけるはずもなく見る見るうちに引き離されていき、やがては見えなくなった。

………………まあ、護衛も付けずに少女二人だけで旅してたら、そりゃこういうこともあるよね。
別の外史でもよく襲撃喰らうし。


あえて何でこんな事になったのか、説明するならば



街の中ではみかじめ料払っている限り悪事はいけないという一刀の命令。
          ↓
つまり、街の外ならみかじめ料払ってないからオッケー。
          ↓
村は遠いから、街道での旅人から通行料をもらおう。
          ↓
明らかに弱そうな獲物二匹ハケーン!!
          ↓
片手開いてるし、そういや御頭ロリを二人飼ってたな
          ↓
ついでだし、ゲットだぜ!!


とまあ、こんな感じになる。

と、言うわけで一刀が各地に放った諜報員の一人が、たまたま一刀の治める街に帰るその途中、ただ単に取れそうだったから駄賃代わりにと、「別に欲しいわけじゃないけど、もうちょっとで落ちそうなUFOキャッチャーのプライズ」並の適当さで鳳統がさらわれた。


「ぐはっ……」
「やれやれ、世も末という事だな」
「全く、何を考えているんでしょう。こういった輩は」
「でも、星さんがいないと危ないところでしたね~」


なお、同じような理由で趙雲・郭嘉・程立ご一行様に手を出した諜報員は、アッサリと一太刀の元切り捨てられたりもしているので、これはそう成功率が高いわけではない。

このように一刀の放った諜報員はお土産を持って帰ってくるか、そもそも帰ってこないかの二択となる。
一刀がせっかく戦における正答である「情報収集」の為に各地に送り込んでいるにもかかわらずそんな理由で失敗していたら意味がないのであるが、まあ蛙の子は蛙、エロ方面だけすごい悪一刀の部下はエロにだけ気がきく悪人ということであった。
そもそも諜報員が目立つなよ、という常識なぞ、一刀一派にははなから無かった。







ちなみに、これで軍師ゲット? とか思ってはいけない。
一刀一派が手に入れているのはあくまで軍師ではなく一刀の妾なので、それになってしまった雛里がこれから軍事面で大活躍とかするはずが無かった。
ただ、将来的な劉備軍の戦力を大きく削る事には成功しただけである。




黄巾党事案の消滅と、鳳統の劉備軍入りの変更。
徐々にこの外史において、異邦人である北郷一刀の影響が出始めようとしていた……主にエロ方面をきっかけにして。



  09へ

Comment

ああ。悪一刀のエロ方面への振り切りっぷりがいいですね。
なんていうかエロゲはやはりこうでなくてはという願望が叶えられて嬉しい限りです。
このあとは、マフィアというか幇の原型みたいな首領になったことですし、地域制圧ゲームのようになっていくのでしょうか?
大悪司的な展開とか大好きなので楽しみにしてます。

感想

 鳳統さらっといて軍師にしないんですか(笑)
 まあ、知らなければそうなりますな。
 黄巾党ができないということは、大分三国志から話が変わりますね。どう料理するのか、非常に楽しみです。

折角ギアス並みの力があるのに
エロを除いて全く役に立っていないww
それなりにしか考えられない悪一刀らしいですね

それにしても流石ですね~
テンプレからの脱線を躊躇無くやってのけるなんて
しかも恋姫のテンプレどころか三国志のテンプレまで破壊するとは
もはや架空戦記の領域に突入してますね
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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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