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外史につくろう穢土幕府・06

一刀ほど追い詰められてはいないものの、流石に私も働いて食べなきゃ生きていけないのと、誤字が多いというご指摘を受けたので見直していたこともあって、毎日更新は無理でした。
……不覚。

毎日書いて更新するだけが売りだったのに、更新速度が落ちたら売りがなくなってしまうではないか。
そんな危機感に煽られながらも、続きます。













男であろうと女であろうと、恋だとか愛だとかには弱いものである。
古今東西、王者と呼ばれるに相応しい男が色に溺れて身を崩した事は枚挙に厭わないし、現代においても遊び人の男に弄ばれて不本意な人生を送った女性だって決して数えられるほど小数というわけではない。

個人差はあるとはいえ、これは万人に共通する人類という種の持つ特異な弱点だ。
種全体の生存のために交尾が争いごとになっている種族は少なくないが、そこに快楽を入れたばかりに人間は少々ややこしい事になっている。


それだからこそ、恋愛に付随する諸行為に対して人々は様々な手段で対策を練ってきた。

例えば、男性側だけを取ってみてもその方法は様々だ。

自身が悟りを開いて仏となることを望むある人々は女性との交わりを不純なもの、煩悩を掻き立てるものとして厳しく排除して、自分たち男だけで山に篭って生活をし、修行を続けた。
帝王と呼ばれようとするある者たちは、女性の扱いもまた帝王学の一部であるとして幼いころからこれを鍛え、自らが溺れきってしまわないよう律する心を日々鍛えた。
神の実在を信じ神の言葉に従って生きようとするある者たちは、女性との交わりは可能な限り行わない方がよいものであり、結婚したパートナーとのみ許されるとしてこの行為自体を忌み嫌い、それを行う際の体位までも厳しく定めた。


それは、結局のところ、そうでもしなければ普通の人間は耐えられない、という事実を端的にかつ饒舌に示している、という事でもある。









「ご主人様~」
「お兄ちゃ~ん」


当然ながら本作の主人公、北郷一刀も自由に出来る女体を手に入れたとたん、日々溺れきっていた。
というか、ものすごい速さで深みに潜っている辺り、彼本来の節操のなさが見て取れる。


「うっ……ふぅ、そろそろ、考えるか」


だが、幸いな事に彼は男だった。
男なら、誰しも色に溺れたときであろうと自身を振り返り、自分の将来について思いを馳せるときもある。というか、強制的にクールダウンする事がある。


何やってんだ、自分。もっとしっかりと将来のビジョンを描かなきゃ、とかそういった心持が急遽襲ってくるそのときは、すなわちナニの直後。
通称、『賢者モード』に入った一刀は、勢いで大喬小喬に術をかけたことの影響を考え始めた。

彼女らからの聞き込みから孫策―――正確には周瑜の手が自身の近くまで伸びている事を事前に把握する事が出来た。
周瑜が彼女らに命じたのはあくまで有力者との繋ぎと袁術対策のための何らかの有用な情報であり、一刀本人でなければならないだとかそういったことはないのだが、元々後ろ暗いところ満載の一刀にとって、僅かなりとも官憲の目に付く可能性は排除したい。

そうである以上、大喬小喬を囲い続けている現在の状況は、いささか危険に思えた。



太平要術の書は、稀代の人身掌握術を持ち主に与える。
当然それは、相手がこちらの心を捉えようとする術に対する対抗策にもなる。

すなわち、現在太平要術の書を保有している一刀は酒色におぼれる事はあっても、それによって誰かが彼を動かそうとする悪意を持ったのであれば、即座にそれを察知する事が出来る。
誰かが悪意を抱いたとたんに確実な警告を伝えてくれる書。
それは、王者にとっては喉から手が出るほど欲しい技能だろう。

だからこそ、一刀は王者たる孫呉の権力者に己が狙われる可能性に気付いた。



だが、あくまでこの書が関知するのは心だけ。
陰謀が張り巡らされている事を事前に察知できたとしても、じゃあその陰謀をどうやって防げばいいのかまでは教えてくれない。
相手が何を考えているかを読めたとしても、それに対してどうすればいいのかまではわからない。
対話が成立する状態で相対すれば確実に相手を下す事が出来る能力を持っていたとしても、その状態まで相手を持っていく状況を作る事が出来なければ宝の持ち腐れとなってしまうのだ。



例えるならば、太平要術の書が読めるのは、相手の『一手先』までなのだ。
それに対する最適解を出すだけの知能が持ち主になければ、いくら相手の一手先が読めるとは言ってもいつの間にかチェックメイトをかけられる事となるであろう。

この力だけで軍勢を作ったとしても、それは烏合の衆以外の何者にもなりえない。
戦場で勝つならば勇士が、軍略で勝つならば軍師が必要だし、国単位で陰謀・策略をめぐらす相手に出会ったのであれば、それを受けてどうするかを地力で考えなければならず、それへの対策もきちんとした理解力の元、書に頼らない力も大いに使って防がなければならない。

あくまで太平要術は、持ち主に力を与える妖術書なだけで、その所有者に絶対的な勝利を約束するわけではないのだ。
有利な舞台を構築し、最後の部分で勝利するとどめの一撃を入れるまでが書の役目、後は地力で挽回するべきだった。



そして、この話での一刀はというと……凡人だけあって当然ながら、一手先が読めたからといってそれに対する反撃を的確に返せるほどの才能はなかった。

というか、「やっべえなあ、これ下手したらすでに周瑜に目をつけられてるかも」ぐらいまで考えたところで速攻賢者モードが切れた。
一分も持っていないそんな状態で考えられるのは、精々そこまでだった。
速すぎるだろ、という突っ込みも間に合わないほどのエロゲ的展開。
彼は若いだけあって回復力も非常に旺盛だったのだ。


むくむくと立ち上がる男のド根性と反比例するかのように、一刀に芽生えた僅かばかりの理性と知性が一瞬で霧散する。
それを押し殺してまでまともに考える事なんて、この世界に来てからずるずると悪事を働き、ずるずるとエロに満ちているこの外史の北郷一刀にできるはずもなかった。


「ま、いいか。ほらほら、触っちゃうぞ?」
「いやん♪」
「ご主人様の、色好み~」


故に、行き当たりばったりで進んでいく事となる。
悪党らしくその姿には、すでに荒野で果てた己が部下達の事への後悔など、微塵も残っていなかった。






とはいえ、流石に猿みたく盛っているばかりではお話は進まないし、彼が悪鬼羅刹のごとく後の世に伝説に残るはずもない。
しばらく日数がたったら、賢者モードが持つ時間もちょっとずつだが長くなっていったので、一刀はもうちょっとだけいろんなことを考えられるようになった。


(このままでいいのか、俺? こんな日々に満足してしまっていていいのか?)


それは、日々爛れた生活を送っていた彼に、唐突にちょっとだけ大きな野望が芽生えた日の話だ。


いかに日々大喬小喬姉妹と遊んでいるだけとはいえ、平凡な毎日の繰り返しはいつか男を大きなものへと駆り立てる。
それは凡人であろうと、英雄であろうと同じ事だ。
英雄は英雄なりに繰り返す日々を更なる大きな一歩として踏み出す事を目指すであろうし、凡人は凡人で英雄に比べれば小さいものの少しは前に進みたいと思い出す。

英雄豪傑が女性しかいない狂った世界においてそれは一刀以外には封じられたものかもしれないが、少なくともこの外史の外からきた一刀にはその男らしい願望が残っていた。
そしてついに、単調な日々を飛び出して一刀は新たなる一歩を踏み出すべく、外に出て行動に移った。





「とりあえず、巨乳の女の子に当てがないかあいつらに聞いてみるか……」


具体的には唐突に「おっきなおっぱい」が欲しくなった。


……現時点での一刀の一歩なんて、精々このぐらいである。



つる、ぺた、すとーん、の大喬小喬に対して今でも頻繁に夜に呼んでいることからもわかるように、飽きたわけでは決してないが、毎日毎日そればっかり食べ続けるのも童貞を失ってちょっとずつスレ始めてきた彼には不満があった。

そう、大喬小喬の胸は周囲に対して夢を与えすぎたのか、全く持って夢が詰まっていないのだ。
というか、その体形でよく妓楼でトップまで上がれたな、と思うぐらいである。
揉みしだいたり挟んだり、など夢のまた夢。
現代人でかつ童貞だったゆえ(エロ)知識だけが豊富な一刀にしてみればその点に関しては彼女らにたいして満足しているとはいえなかった。


そんな彼は、いまや匪賊弾の首領。
流石にみかじめ料だけで食べていけるようになった今となっては、村々を襲って略奪生活などしなくてもすむようになったので最近はちょっと落ち着いてきているが、それでも悪人であることには間違いがない。
そして彼の手の中には、人を操る妖術書と、それを有効に活用する為の私兵がそろっている。
つまり、望むだけで望むだけの事が叶う環境にある程度はいるのだ。

現代人的な倫理観もここまでの段階に来れば随分と薄くなっており、二人もの罪もない少女を囲っているにもかかわらず、それに罪悪感を覚える事も、それで足ることを知る事もなかった。

結果として一刀は、生きる為に必要最低限なこととは全く関係なく、次の獲物を探し始めた。

この時点ではもはや、周瑜のことは頭の片隅にも覚えていなかった。



ただ、一刀も知らぬことながら、彼にとって運のいいことにこの外史における大喬小喬の利用価値というものは別の正統な外史に比べると相当下がっている。
というのも、現時点では漢王朝に対する不満は各地で渦巻いているとはいえ未だに民衆の不満が爆発しておらず、それがために孫策や周瑜は必死になって機会を探りながらも袁術のわがままとも言える命令を受けながらもいずれ蜂起する為の力を溜めている。
そのため、未だに孫呉の中核となるべき人物らには愛妾を探すような余裕はなく、大喬小喬もそれほど手柄を立てる前だったので二人の前に姿を出せるほどの身代に達していなかった。


もしも一刀がこの街に滞在していなければ、この町の有力者らの情報と引き換えに大喬小喬は出世してその美貌に目をつけられ、いずれは最高権力者の愛妾や妻といった地位に立つ事も出来たのかもしれないが、あくまで可能性。

全く出番がなく存在自体が抹消される可能性も十分にあり、今はその可能性の前に潰された。
そのため、周瑜にとって見れば大喬小喬の能力が一刀によって下がり、諜報員としての力を衰えさせたとしてもそれはただの一スパイが何らかの要因で潰れただけの事。
それを用心しなければならないと思うほど二人の価値は高くなく、また周瑜自身も暇ではなかったという事だ。
この街自体も今は袁術が治め、いずれは孫呉が取り返すべき街のひとつでは在るが、決して経済的、軍事的価値が高いとはいえず、そのために一刀という異分子が入り込んだところでそうすぐには察知されなかった。




よって、一刀が遊んでいても未だに彼の世界は破綻を見せなかった。
故に彼は、我欲のまま突き進む。


「なんかいい子いない?」と配下の者達に尋ねると、太平要術の書の力で大喬小喬と日々遊んでいるだけなのに「英雄色を好むというし、さすが御頭! そこに痺(以下略」とか好意的解釈してくる男達は、少々悩んだ後、答えを出した。


「旅芸人の一座(超巨乳含む)がこの街に来ている」と。


この一言で、すでに展開は決定した。





「彼女達が、それか?」
「そうっす。うちらのシマで勝手な真似し腐ってたんで引っ張ってきたんっすけど……」


情報を手に入れ、訪ねていこうと思った矢先に何故か目前に美人が三人もいるので、とりあえず回りの人間に尋ねてくると返ってくるのはこんな答え。
一刀には街を一つ治めるだけの器量なんて存在しないが、現代人だけあって少なくともこんなちんけな街に滞在している人間の大半よりかはダントツで賢い。


原始的な支配体制を引いていた同業者を術と知識で吸収合併した後は、適当に天のこと(仁侠映画や小説等で覚えていた与太話)を語っているだけでいちゃついていてもこの時代からすればかなり洗練されたヤクザ組織が出来上がった。

この時代、官憲はいても警察組織のような系統だった治安維持部隊はない。
そんなものを作る余裕があるならば、軍のほうに金を回すのがこの戦乱の世だからだ。
ましてやここは、孫策の細作である大喬小喬が入り込んでいたことからもわかるとおり、有能な孫呉の統治が及んでいる江東の一部ではなく三国志でもアッサリ消えた袁術の支配下。

街の裏社会の支配者の変遷を理解するほどまともな能力を持つ官僚はおるまい、と思って適当にやっていれば見事にそれが当たった。
一刀の配下になったとはいえ、逆に言えば交渉の場で相対すれば確実に相手を落とす事が出来る技能の持ち主を手に入れた「元」ボス連合は、その力を使って一刀に対してこの街の裏側半分を捧げる事に成功する。


「この街で今でも俺らに対してスジ通さないような奴がいるとは思ってもなかったんっすけどね」
「まあ、都合がいいといえば都合がいいから、気にしないでおこう」
「へいっ!」


そこにいる限り官憲も手を出せない牙城を築いた一刀一味は、当然ながら市に店を出す際に商人らに付け届けを要求したり、旅人達から領主が取るのとは別の「通行税」を請求したりもする。
つまり、この街の官僚達の裏にもう一つの国を作り上げる事に成功したのだ。

決して地方の豪族となのり漢王朝から官位を授けてもらう事など夢に見ることも出来ず、また各地の諸侯たちと対等に交渉する事なども出来ないであろうそれは、しかし袁術を隠れ蓑に徐々に経済力を付けていくには、孫策たちが取った「客将となる」という手段よりもことによっては優れていたかもしれない。


「しかし、さっすが御頭っすね。ここまで仕事がスムーズに働くようになるとは思っても見なかったす。一体どこでこんな事思いついたんで?」
「う~ん、天、っていったらお前ら、信じるか?」
「て、天っすか。ひゃっひゃっひゃ、そりゃいいや!」


この時代においてここまで大規模にやった例はあまりないであろうが、袁術に任命された官僚の無能さと荒くれものどもの異常なまでの忠誠心がそれを可能とした。
ボスたる一刀も馴染みまくっていたこともそれを後押しする。

彼らは一刀の命令であれば悪事を働く事をためらわなかったが、同時に操られているもの特有の欲のなさから博打や酒乱などといった安い犯罪をやる事もなく、また縄張り内でそんな事をやっているよそ者がいれば一刀の前まで引っ立てて自軍に加えていたので、結果としてこの街は袁術の統治下では比較的治安がよかった。
考えようによっては悪人のくせに志気は高く、命令がなければ一切乱暴はせず、命令には絶対服従という不気味極まりない集団なのであるが、今のところ各地にそう異常さを気づかれる事もなく上手く回っている。


「ま、今の所町の連中もこっちに協力的ですし、また今回みたいなケースがあってもすぐ何とかなりますぜ」
「みんな流石に頑張ってくれてるな。お礼を言っといてくれ」
「なに、御頭の為ならなんのその、ってやつっすよ」


よって、街の人々も従わざるをえなかった。
そんなところにきたネギ背負った鴨が、そんな事情もさっぱり知らずにとりあえず空腹の余り情報を得る間も惜しんで興行に来た張角三姉妹。
当然ながら、この街では興行をやるにも一刀ら一味への非公式な付け届けが要求される。
それを無視した者達は、秘密裏に彼らによって何らかの「処分」が下されるのだ。

太平要術の書を手に入れることが出来なかった彼女らは、この時点では売れないアイドル以外の何者でもない。
武力も、知略も、一般人とほとんど変わらないのだ。


「お、お姉ちゃん……どうするの?」
「姉さん……」
「あうあうあう~~」
(結構サイズ的にバラエティに富んでるから、これをGETできれば随分充実するな)


故に、抵抗などまったくできずに彼らの事務所(的な酒店)につれてこられる嵌めになったし、一刀の目に留まったときも、突如ヤクザに絡まれた少女そのままに、怯えて震えることしか出来なかった。
それを見て、もはや手に入れることを躊躇わないほど一刀はこの外史の世界に慣れきっていた。


07へ

Comment

一刀 が 男気 の ない 北郷一家親分 に ジョブチャンジ した

そこに痺(以下略

やべーどう見てもヤクザだwwwww
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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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