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悪徳の宴

リリカルなスイートナイツについてなんか異常に無記名拍手で突込みが多かったので、まずは冒頭だけ。












「非殺傷設定? 確かに理論的には可能だろうが……」
「一体そんな事をして何になる?」


男―――青年と少年のちょうど境目あたりの若い男が喋った話の中の一単語に、画面越しにその対話者たちが食いついた。
その反応をある意味予想通りだと思いながらも、男は改めてそれに応えた者達の姿を見定めた。
そこには、全身を覆う奇妙なスーツのようなものを纏った背の高い男と、金に輝く髪と不敵な瞳を持つ男が映る。

お互いの姿と声を繋ぐ―――便宜上、三人の間では魔道通信と呼ばれる―――そのシステムは、お互いのアジトに入り入られることをそれぞれのものがそれぞれの理由で嫌ったがために急遽作られた実験段階のものであり、それが故に映像は乱れたものであった。
だが、同時にそれぞれ分野は違えど才能にあふれたその三人が作ったそれは、僅か数日で作られたものとはいえ十分に実用に耐えるものであり、だからこそ画面越しに彼らの怪訝そうな微妙な表情まで伝えてきた。

それを確認した男は、彼らがそんな表情を浮かべる理由が十分すぎるほどにわかるが故に、その理由を納得させる事の困難さを考えて苦笑しながらも、ここ数日で調べたこの世界における「正義」のあり方についてそらんじてみせた。


「傷つけることなく対象を制圧することが可能となっている以上、傷つける事それ自体が野蛮な行為に思えてしまったということだろう……例えそれが、『戦場』というこれ以上ないほど野蛮な場においてもな」


それは、男の解釈が多分に入ったものではあったが、確かに管理局の掲げる『次元世界の魔法による平和』というものの一面を言い当てていた。
質量兵器を野蛮な力として忌み嫌い、魔法=クリーンという概念を前面に上げてまで統制する考えに、確かに彼の言ったような部分が皆無である、とは誰も言い切れない。


「なるほど……一定程度まで進んだ文明は過去の行為を否定したがるものな。資料によると物理的な現象にちなんだ武器も『質量兵器』として所持自体を禁じているようだし」
「はっ、要するに非暴力宗教が嵩じた歪んだ進化って訳か。馬鹿馬鹿しい」


そして、その言に画面に映る仮面の男が顎に手をやりながら呟き、金髪の男が吐き捨てるように感想を述べる。

彼らは、三人が三人とも「天才」と呼ばれた者だ。一芸に通じるものはすべてに通じるの言葉どおり、専門ではない社会学等にも相応の造詣がある。
そのために、事前にある程度の資料を渡されていたとはいえ男が発した言葉を受けて瞬時にこの世界―――ミッドチルダにおける「魔法」というものがいかなるものなのかという事に理解を示した。

だが、その理解が決してそのミッドチルダの社会情勢に同意という意味ではないという事は、先ほどまで怪訝さが浮かんでいたその顔に魔道通信越しにもわかる残酷なまでの蔑みの笑みが浮かんでいる事からも明らかだ。
そして、その反応を引き起こした男の顔にも、同じような表情。


傷つき、傷つけられる旧暦の時代から抜け出し、例え犯罪者に対してであろうとその生命と身体を保障するという管理局の崇高な理念に対して、彼らは「侮蔑」という形で一欠けらも価値を認めなかったのだ。
事情を知らぬものから見れば目を向くような言い様であるが、彼らのことを真に知っているものであればそれも当然としか思わないであろう。


彼らこそ、三人が三人ともそれぞれ次元世界の一つを暴力と悪辣な企みによって支配する野蛮な覇王。
傷つけずに相手を制するという管理局の理念とは対極に位置する、殺傷によって平和な理念も崇高な志も少女の純血もすべて踏みにじって、その自らの意思を世界に示し続けてきた男たちなのだから。
それを僅かにでも知るものであるならば、そんな反応など寧ろ当然というものであろう。


現に、彼ら三人のそれぞれ後ろに控え、この場において一言も発さずにただ影のように付き従っていた三人の少女の誰一人、顔色一つ変えていない。
一人はただただその主の後ろ姿を尊敬と恋慕の情のみで見つめ、一人はその妄信とも言えるべき忠誠を無言で主の前の冷めた茶を交換することで示し、最後の一人は憎しみと信頼の混じった視線で彼を守護し続ける。
三者三様の有様で、しかし自らの主のことをこの上なく知る三人の少女達にとって、その他者の正義を鼻で笑うような主人の在り方はごくごく当たり前の事であった。

そしてその主たる男達も、そんな少女達が何一つ反応を見せぬことを当然のように受け取って話をし続けていく。


「まあ、話はわかった。だが、強化スキンの量産体勢はすでにこっちの施設で整ってるし、そっちの管轄のプロダクツだってそうだろう? わざわざそんな面倒な真似をする必要があるのかね」
「俺も同感だ。邪魔する奴らは力ずくで押さえ込めばいい。今までだってそうしてきたんだろ、『銀髪の魔王』様?」


この場に立って自分の思い描いた青写真の概要を説明する男にとって、画面に映る二人の男は背後に控える少女のような己の忠実な部下などというものでは決してない。
確かに一度は力によって下し、その才を剥ぎ取って己の配下へ加えはしたものの、それにより忠誠が得られたなどとは欠片たりとも思っていない。
二人が二人ともこちらに隙あらば寝首を掻き、この不本意な立場を逆転させてやろうと虎視眈々と自分のミスを待っていることは常々わかっている事である。

そして、そんな状態でもなおそれを飲み下し、御せてこそ己の覇道に相応しいと己の力を心底信じている。


だからこそ、一応の主であるはずの自分に対するそのような物言いにも眉一つ動かさず、冷笑で持って応えた。


「勿論、それも平行して行う。だが……折るべきなのはまずは心。それを知らぬわけではなかろう?」
「……」
「……」


その言葉に思い当たる事があったのか、黙り込む二人を見て満足げに男は笑った。


そう、並みの相手であれば確かに物量と己等の能力で十分噛み砕けよう。
世界を一つ、たった一人で支配する、という事はそれほどまでの強大な力の保有を意味する。


だが、自分たちは知っているはずだ。

力だけでは、『彼女』達は倒せない。
何度負けようともその気高き魂は汚されず、何度暴力に犯されようとも正義の心を失わない。
そんな存在がこの世にはいる事を。


己の部下から届けられた資料に目を移す。
映像の先でこちらから眼を放して手元へと移した二人もまた、同様のことを行っているであろうという確信が男にはあった。

古式ゆかしい紙媒体には、幾人もの少女の姿が映っていた。
年齢には多少のずれがあるものの、それぞれがそれぞれ、魅力的な輝きを放っている。
彼女達の存在を知らなければ、おそらく自分も彼らと同じような反応を示していたであろう、と男は思った。
そして、彼女らの存在を思い出した以上は、彼らも今の自分と同じような判断を下すであろう、という事も。

輝かんばかりの若さに、自らの信ずる正義に向かって邁進するという信念を瞳に宿しているその姿は、彼らにとってはすでに失った宿敵の姿と余りにもよく似ていた。

だからこそ、次に述べる言葉に対しての賛同が得られる事を男―――銀髪の魔王、メッツァー=ハインケルは微塵も疑わずに宣言する。


「納得してくれたようだな……では、始めようか。新たな『魔法戦士』との戦いを!」



つづく

Comment

面白かったです。
魔法戦士シリーズは結構好きです。
二人が部下ということはレムティア後ということでしょうか?
続きを書かれるようなら期待して待ちます。
ただ、クロス相手が相手だけに荒らされないかが少し心配です。

スイートナイト×りりなのクロスとは新しすぎるw
確かに素晴らしい隙間産業っぷりですし
続きが読みたい気持ちはありますが
陵辱系エロゲとりりなのクロスとか
余りにも劇薬すぎて大荒れするのがわかりきってるから
予告編だけで完結しとくのがいいかわも分からんね。
ってことで続き書くなよ?絶対書くなよ?(チラ
…ともあれいい感じなプロローグでしたw

ああ、なのはもスイートナイツも大好物です
荒れるけどここに書いて乗せてくれたらもう…
荒らしに負けずに書いて欲しいなw

リリなのは好きだけどメッツァーなら凌辱されても許せる不思議。
ただ本格的に書くと荒れることになりかねないから注意が必要ですね。

メッツァー様のかっこよさはまさに異常。
続編でないかな。

陵辱系とクロスするとやっぱ荒れるでしょうなぁ。
でも個人的には読んでみたいものです。

というか、投稿掲示板なら仕方ないかもしれないですが、
個人ブログの公開作品が気に食わないだからと言って
荒らそうとする非常識なヤツは本来極少数派だと思います。

むしろ今までの流れで「荒らされる覚悟で書いたんだから
そうされても文句言えないだろう」と言質取られちゃうじゃないかなと
ちょっと心配です。

リリカルもスイートナイツも原作知らないですが、
基森氏の作品は表現力が高くてわかりやすいし、
コイツ誰?との疑問は残ったものの、とても読みやすかったです。
次回作に期待してます。

No title

非殺傷設定の事をディスってるがこいつら、女を無力化させて手籠めにしてるから人の事言えない気もするがなw
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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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