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ドラゴンに首ったけ番外5・上

おまけ劇場その5「女王の休日」

微妙にエロいようなエロくないような……









「ふむ、まあ判らぬでもない」


自分に向かって余裕たっぷりの視線を向けてくる憎い男を前にして、女王は冷静な思考を保とうと努めながら、そう一言いった。

手入れの行き届いた長い銀色の髪と抜けるような白い肌、勝気そうなつりあがった瞳を持つ彼女の名は、リ・ルクル・エルブワード。
しばらく前までその名前の後ろには第一王女、という肩書きがついていたが、今ではそこには女王、と上下入れ替わった肩書きになっている。
そう、彼女は名実共にブラッドが元々居を構えていた国、大国エルブワード王国の女王である。


すなわち、今目の前にいる男、エルブワード王国に居座り続けてあまたの被害を生んだ竜のブラッドとの公式な関係は、搾取する侵略者と搾取される人間というものだ。
当然ながら、その対峙は穏やかなものであるはずがない。
ルクルは確かにその胸のうちにブラッドに対する怒りを抱いていた。


交渉の場で感情をあらわにすることほど愚かなものはない。
自身が何を望み、何を嫌っているのかをはっきりと相手に見せているようなものだからだ。そのくらいのこと、十のころにはすでに知っていた聡明な少女であったルクルは、それゆえブラッドに対しても内心の怒りを抑えて、王族らしい分厚い仮面を被って次なる言葉を発した。


「何せ、この美貌と知性を兼ね備えた私がそばにいてやれなかったのだ。さぞやけだもののように飢えていたのだろ、ということには一応同情してやる」
「……生意気だぞ」


ビシッ!


「痛っ! こら、何をする。もっと丁重に扱え!」
「お前は俺のペットだろうが」
「ぐぬぬぬぬ……」


が、そんな仮面もブラッドの前ではチョップを食らった程度ですぐに剥げ落ちた。
その下から覗くのは、世間慣れしておらず、恒の人とは全く違う責任を背負わされて育ってきた……それでもただの少女の素顔だった。
ブラッドと言い争うルクルの顔は、

大国の女王であるがゆえに常に被らざるを得ない仮面も、ここでは必要ない。有る意味この竜の巣だけが彼女が素でいられる場所だった。

彼女の名前はルクル。
公式には竜に襲われている国のひとつにおける最高責任者にして、非公式にはそのブラッドの、生贄というか愛人の一人だ。しかも、ルクルのほうが駄々惚れ状態で。

大国二つの覇権争いに巻き込まれたときに時勢に乗り遅れ、それでも何とか自国を守ろうと懸命に考え、竜に繋ぎを取ることを目論んだ王女は結果として成功し、その圧倒的な武力を背景にかつて脅かされていた二国をも飲み込み、大陸でも有数の大国まで成長した。
己の身よりも王族としての義務を尊重し、国を守れるのであればどんなヒヒ爺に嫁ぐことも厭わなかったルクルにとって、竜であるとはいえ外見は青年貴族そのものでさして劣った容姿でもないブラッドは好条件以外の何者でもなく、その結果として入れ込みようも尋常ではない。

初めは打算と肉欲だけで付き従っていたそれが、女王という衣を剥いだ中身にまで浸透するには然したる時間は必要なかった。


そのため、せっかくつけた仮面も一度彼の前で剥がれてしまうと二度はなく、とにかく文句を言わねば気がすまない、とルクルは子供っぽい怒りを抱えたままで感情のままにブラッドをあの手この手で非難した。


「とにかく、まあ私に会えずに寂しさを募らせたお前が思わず他の女に手を出すのも、お前のような変態淫獣には有る意味仕方がないことだろう」
「…………」


リュミスとはまた微妙に違った方向でツンデレってるルクルは、ついこの間自らが行った、クーデターを起こして父王を排除したり、エルブワード王国の近くの二国、ライトナ王国とハッサン王国を吸収合併したりした後の事務処理に忙しすぎて、最近全くブラッドの下に来られてなかった。
ブラッドの力を戦力として活用し、国王として立った後もそういった意味では散々あってはいたし、その際に「いろいろな事」はあったことはあったのだが、生贄として巣に来れたのは久々である。


なにせ彼女は国政を見ながらも生贄もやっているのだ。
ブラッド専属の料理人と化しているユメや、彼の護衛としてほぼ四六時中巣の中にいるフェイとは立場が、忙しさが段違いに違う。
もっともブラッドの機嫌をとる事がすなわち国益となる最近では生贄と王族、彼女の中でも境界が甘くなってきてはいて、微妙にどっちがメインかわからなくなってきている。
が、それでも色に溺れきる事もなく、少なくとも王族としての責務はある程度すべて果たしてからここに来たことが彼女の責任感の強さを物語っていた。


「だから寛大にも私は怒ったりしない。うん、怒ってなどいないぞ」
「…………そうか?」
「そうだっ!」


にもかかわらず、今回の久々の再開でブラッドにつれない態度をとられたことで、彼女は確実に怒っていた。
自分はこんなにも頑張って彼に会いにきたのだ。歓迎してお姫様抱っこで口付けしながらベッドに運ぶとまではいかなくても、いきなり犯されることぐらいをルクルは期待していた……微妙に基準がおかしいのは、ブラッドに植え付けられた彼女の性癖ゆえである。


まあとにかく、そのため暗に自分の都合の良いように解釈しながらもブラッドを明確に非難して、この場にいる自分とブラッド以外の人物をにらみつけると、その人物はびくりとおびえるようにブラッドの体の下で全身を震わせた。
それは純粋に自分の上に男の体がある、という事を改めて自覚した処女の怯えによるものであったが、ブラッドにぴったりと密着した状態で行われたそれを見て、さらにルクルの目じりが釣りあがる。


彼女の思考からすれば、そこは本来自分の位置だったのだ。
ライトナとハッサンの軍隊を駆逐するためブラッドの力を借りたルクルは、そのお礼という名目がある今回は、意気揚々とこの巣に乗り込んできた。
いろいろと複雑な彼女はユメほど愛情を素直に表せるわけでも、フェイほどブラッドに対して忠誠を示せるわけでもないが故に、その行動のいちいちに理由を付けねばこの巣に来られない。

だからこそ、おおっぴらにブラッドに対して尽くすことの出来る大義名分を得たこの機会を一日千秋の思いで待ちわびており、己の愛しい男であるブラッドも同じように思ってくれている、と信じていた。

にもかかわらず、なぜか愛しい男はわけのわからぬ女を優先しているように見える。

彼女的には許せない、許せるわけがなかった。
そのため、もう我慢できない、とばかりにルクルは思いのたけをブラッドにぶつけた。


「だが、私が行くと事前に連絡しておいたのに、その時までほかの女を連れ込んでいるのは一体どういった了見だ!!」


嫉妬と敵意がふんだんに混じりながらも、その中に悲しみと懇願の秘めた涙目で、ルクルはブラッドに押し倒されている形になっている女、アンリエッタ・ド・トリステイン王女を指差し、ブラッドをにらみつけた。
素直になれないルクルは、こういった形でしかブラッドに思いを伝えられないのだ。










指差されたほうであるアンリエッタも、そこでようやく我を取り戻し、ルクルに注意が言っているためブラッドの拘束が一瞬緩んだのを感じ取って、あわててその腕の中から飛び出した。別段彼女はブラッドの生贄というわけでもないので当然の行動だった。

ようやく我を取り戻したアンリエッタも、ルクルとは方向性が違うもののブラッドを強く非難する。
交渉途中に突如押し倒されたことでフリーズしていたとはいえ、いくらなんでもこの状態で身の危険を感じないほど愚かではない。
とりあえず二メイルほど一気に走った後、あわてて乱れかけていた服装を整えて、こちらもブラッドをにらみつけて言う。


「な、な、な、わたくしに何をするつもりだったのですかっ!」
「ええい、泥棒猫は黙っておれ! ブラッド、一体この女は誰だ!」


とはいえそれは、所詮は文通レベルの淡い恋愛を楽しんでいる少女による非難であり、性根が優しい彼女が人を責める事自体にも馴れていない事もあって、女としての嫉妬丸出しで非難するルクルのものとは勢いが違った。

明らかに同意の上での行為ではなかったと全身で主張しているそのアンリエッタにすらルクルは敵意をぶつける。
嫉妬に狂った女には、例え同じ女同士であったとしても理屈は通じない。
だからこそアンリエッタへの牽制の視線を全く緩めず、ルクルは犯されそうになって危機感を覚えていた彼女以上にブラッドをにらむのをやめない。

そして、温度差はかなりあるもののそんな二人の女の熱視線を受けていた彼はというと……なんかもういろいろとめんどくさくなってきていた。


「………はあ」
「あ、ちょっと、こら、まだ話は……………あんっ」
「きゃっ!」


二人の王族に睨まれて、ため息一つを吐いたブラッドは、とりあえず近場にいた女、ルクルの方をベッドに押し倒して黙らせる事にした。









「ふにゃ~」

今はほとんど息も絶え絶えにあらわな姿をさらしている銀髪の美女がさらしていた先ほどまでの一連の痴態がとりあえず終わったころには、アンリエッタは顔を真っ赤にしていた。
勿論、ルイズ同様にハルケギニアの上位貴族として、最高級の教育を受けてきたアンリエッタは、当然ながら今まで姫として、閨のことはある程度まではもちろん学んでいる。


が、ハルケギニアという世界の、土壌を魔法によって改良することですべての国が豊かな実りを約束されている世界の姫であるがゆえに、アンリエッタは砂糖菓子のような姫だった。
基本的に食えないほど食い詰めた貧しい国が豊かな国に戦争を仕掛ける、ということもなくアンリエッタが生まれてからは差ほど大きな争いもなかったので、やさしさに包まれて育ったアンリエッタは、気さくに臣下と交わり、正義を信じ、国民の苦しみに涙を流し、そして、政略によってではなく愛によって結ばれることを望んでいた。



そんな彼女にとって、いきなり自分の言葉も聞かずに押し倒してきた挙句に、その直後に他の女性を自分のペットなどといい、それに加えて第三者が見ているにもかかわらず、しかも自らの知っているようなものではない荒々しい獣のような交わりをかわすようなことは理解の範囲外のことだった。
それでもここまで来た自らの使命のことをおもうとここから逃げ出すことも出来ずに、真っ赤になりながらずっとブラッドとルクルの交わりを見せ付けられていたアンリエッタだ。だが、ルクル倒れたことで、ブラッドの目線がこちらに向いたことに気付き、びくりと身を震わせ、先ほどいきなり襲われかけたときの恐怖を思い出した。



ゆえに、どういったわけかは理解できないものの自身の身代わりになって散っていったこの女性が果ててしまった以上、次は自分の番だとカタカタと震えるしかない。

先ほど―――ルクルと呼ばれていた女性が現れる前は、眼前まで竜が迫ってきてもまだここまでの恐怖は感じず、大丈夫だった。

というのも、アンリエッタには育ちのよさから来る想像力の欠如があったからだ。
彼女の想像できるだけの惨いこと、というレベルが低すぎたというそれは、性行為、という事の本質を知らずにいたと言い換えてもいい。


彼女にとって閨とは、愛する人と愛を確かめ合い、子供を作るための神聖な儀式であり、恋愛の最上級まで昇華されたこの上なく美しいものであるはずだった。
口付けしあい、微笑を交えて愛を語り合い、ゆっくりとお互いに視線を絡ませて、花の香りのする真っ白なシーツの上で文字道理の愛を確認しあうものだと信じていた。

型破りな黒髪の使い魔に出会ったことがない故に異性と口付けを行った事すらない彼女にとって、いつか愛する人と結ばれたときに行われるそれはとてつもなく綺麗なものだった。
だからこそ、暴力でそれを目の前の男に強制されたとしてもそれはウェールズと夢見た最上級のものではないにせよ、それなりに美しいものであると思っていた。


だが、眼前で行われた性行為は、そんな幻想を完全に木っ端微塵にした。
全裸になって横たわる、性も根も尽きたと言った感じの自分よりも年上に思える銀髪の美女は、男の出した白い体液と互いの汗に塗れてぬらぬらと怪しく蝋燭の光を反射していた。
肌には強く吸った唇の後が数多く鬱血しているばかりか、軽くではあろうが男の歯形さえ残っている。
愛する男のものであろうと不浄の部分であるものをよりにもよって唇で飲み込んでいた彼女の体内には、そこから出た物体が飲み込まれている事も、彼女が喉を鳴らしていたのが見えるほど間近にいたアンリエッタは知っていた。

そしてそれは下半身における女性が最も秘めておかねばならない部分も同じ。
あの巨大な物を突き込まれ、全身のいたるところに染み付いた白い粘性の液体をことさら注ぎ込まれたであろうそこは、未だに完全には閉じきっておらず、こぷり、と外部にそれを吐き出している。


どこまでも、どこまでもアンリエッタが想像していた少女の夢的な閨での出来事とは余りに違うそれは、何処か恐ろしく、また醜く、しかしその箱入りで出来る限り成長しないように育てられた精神とは裏腹に思春期も過ぎて盛りを迎えようとしていた肉体に確かな熱を燈した。

そんな自分の中に得体の知れない感情が浮かんできた事に、アンリエッタは恐怖して思わず両腕で己の体を強く抱きしめる。
そうでもしないと、今まで培ってきた何かが自分の中から抜け出してきそうに思えたからだ。
彼女の常識から擦れば明らかに「汚い」そんな行為に、胸の奥が熱くなっており、自分もそうされるかもしれない未来への期待がある、なんてこと、アンリエッタは僅かなりとも自覚しまいと目をつぶり、頭を左右に振ってそんな自分の中の何かを追い出そうと怯える。






それを見て、いかにもお姫様らしいそのしぐさにそそられたのが、一線を終えたばかりのブラッドである。
基本的にルクルは現実主義過ぎるので、いわゆるファンタジー世界のお姫様、という感じはしないことをちょっとばかり不満に思っていた彼にとって、その「いかにも」な仕草は食指をそそるには十分なものであった。
そのため、ついさっき五発ほどルクルの中に打ち込んだにもかかわらず、じわり、じわりと進んでいく……当然ながら、全裸でだ。

その余りにたくましすぎる男性自身を目の当たりにして、恥じらいと恐怖とその他もろもろの入り混じった感情に押しつぶされ、もはや悲鳴を上げることすら出来なくなるアンリエッタ。


『御主人様―、なんか、マイト様がいらっしゃってますよ』
「?」


そしてついに、アンリエッタまであと少しまで詰め寄ったところで………唐突に、扉の外からノック、それに続けてクーの声が聞こえた。
最近微妙に以前よりフレンドリーな感じになってきたクーは、扉の前から用を話しながら入ってきた。


「入りますねー、って、あれ? お取り込み中でしたか?」
「いや、いい。それよりもマイトは?」
「いつも通り応接室でお待ちですよ。でも、やけに怪我をされておられます」


ブラッドの顔が引きつる。自分もついこの間怪我したが、あんなのなんて例外中の例外だ。
竜殺しの剣はほとんど天界に回収されており、竜殺しの一族はユメのようなごくごく例外を除いてほぼ滅ぼされていることを考えれば、ブラッドよりもはるかに竜として強力なマイトを傷つけられるのは、同属ぐらいである。
となれば、今回の怪我の原因として思い当たる者など一人しかいないだろう……彼の姉だ。

おそらくまたわけのわからない理由で八つ当たりでもされたのだろう、と同情をこめて、ブラッドは目前まで迫った獲物をあきらめて急いで身支度をして、出て行った。

痛みは、分かち合うものなのだから。





後には、ベッドの上でいまだに意識を取り戻さないルクルと、全く動く事もできていなかったアンリエッタだけが残った。



「助かったので……しょうか……」


杖がないがために鍵を掛けられてしまった部屋から自力で脱出できないアンリエッタは、そう呟きながらも危機が先に送られただけのような気がしてならなかった。
そして、何処か自分が残念に思っている事も、表面上は気が付かないふりをしてはいても本当は理解していた。


つづく

Comment

首ったけ来た!

ルクルのいじらしい感じのツンデレっぷりはかなり好きだったので良かったです。逆にアンリエッタのキャラが少し弱い気がしますが、下に期待です。

ついにルクルの出番が来てうれしいです^^
アンリエッタとどのように絡んでいくのか楽しみにさせていただきます。

とりあえずマイトを慰めに行くブラッドが
かっこよかったです。

No title

ルクル キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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