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異世界漫遊見聞録2

ネタ分類が鬼畜ま!専用となっているのもどうかと思ったので、息抜きがてらに連作掌編形式で『異世界で水戸黄門』の続きを。












地球世界で中世とされる時代においては、どの地方をとっても旅とは命がけであったといわれる。
現代のように航空機や鉄道網といった交通手段が発達しておらず、まだどこでもお金を下ろしたりできるトラベラーズチェックみたいな制度もない。

言った先に通訳がいるとは限らず、それどころか完全な未開な地に行ってしまい地図しかないことさえざらであるし、そこまで行かなくても道中の安全を保障してくれるような警察機関なんてもんは期待するだけ無駄である。


いわんや、中世ヨーロッパっぽいとこベースの魔法や魔獣のいるファンタジー異世界やおや、である。


そんな中で兄ほどの戦闘能力を持たない僕が一人旅。
危険は言うまでもなかったが、この世界においてもかつての世界と共通の絶対の真理があった。



すなわち、「世の中お金だ」である。







馬車。
馬車である。

僕は当然のことながら、毎日毎日歩いて旅するなんてゴメンだった。
かといって、現代日本人であった以上この世界での代表的な移動手段である馬(的な生き物)に乗りなれている、というわけもないわけで。
とりあえず、出発前に馬車を購入することにした。
自転車があれば一番それが気楽なのだが、ないものねだりをしても仕方がないだろう。


だが、ここは異世界なんぞという非常識な場所ではあるが、和製RPGの世界ではない。
それなりに人々一人一人の生活があり、それに乗っ取った生活基盤が出来ている。
そのため、馬車などという修理ぐらいならばさておき新たに購入、という需要がほとんど見込めないほど高価なものである以上、ピッピッピッとカーソルの上下だけで選んでお金を払えばすぐに軒先に商品が並んで乗り込めるような馬車屋とか言う便利なものがあるわけでもないので、大工のところに持ち込んで完全受注生産だった。

ただ、お金さえあればこんなものもどうにでもなる。

完成まで3月ほど掛かったが、逆に言うならオーダーメイド。
腐らないよう通常木で作る車体を軽くて丈夫なミスリル合金で作ったりだとか、スプリングだとか、手洗いの為の蛇口的なもの(捻るのではなく栓を引っこ抜くと水が出る)だとか、知識がなくてもある程度なら作れるものを備えて可能な限り快適にする。
その他にも、魔物避けの小結界的なものを張れる水晶を組み込んだり、雨のときなどに馬の体力を低下させないよう幌を延ばせるようにしたり。
いくら食べ歩きの旅とはいえ、そのために不自由を感じるようなことはしたくなかったのでできるだけのことをしたし、兄たちも可能な限りの安全対策を施してくれた。
掛かった金額は結構な額だったらしいが、我々三人の誰一人それを気にすることはなかった。

結果、スプリングが技術的に困難で板バネになったりだとかいったこともあったが、おおむね満足できるものとなった。
これならば、ちょっと座っただけで地面の振動がダイレクトにきてケツが割れる、ということもないだろう。

ちなみに外見は、ドラクエのあれをイメージしてくれればいい……イメージ像が貧困なんていってはいけない。
多分、馬車の正確なイメージなんて普通の日本人には出来ないだろう。

車体が金属製だったり、幌が布ではなく丈夫な魔物の皮だったりといったせいで色だけはかなり違うが、外見は結構似ている。
一人用だがいろいろと荷を積むことを想定して広めに作ってあるから、入れようと思えば元ネタのように何人かの仲間を入れることだって出来るだろう……できることならば、帰りはここに山ほど米味噌醤油を積んで帰ってあげたいものだ。


馬については騎士団を運営している次兄のところから、予備として置かれていた奴の中でよさそうなのを見繕ってきた……まあ、ファンタジー世界なので正確には馬的な何かなのだが、用途としてはほぼ同じなので毛皮じゃなくて鱗が生えていても気にしない。
ランドドラゴン、という種類らしい。最高速度よりもスタミナを重視した。

基本的に軍馬は金をかけて育成されているだけあって、市中の駄馬とは性能が全然違う。
なかなか力が強くてスタミナがあるにもかかわらず、おとなしくて扱いやすくかわいらしい黒鱗の馬を選んだ。
道中の水や飼料の確保に不安があったので二頭立てにはせずに一頭だけだが、車体がミスリルのおかげで異常に軽いこともあって、この馬ならば大丈夫だろう、と専門の騎士も太鼓判を押した。


馬車が完成しても、そうすぐに出発できるわけではなかった。
とりあえず、一人旅なので御者的なことを覚えたり、破損の際の応急処置を覚えたり、馬の世話の仕方を覚えたりするのにさらに一月ぐらいかかった。
周辺を軽く試験運行していて実感したのだが、ここはボタン一つで何でも出来る時代でもなければ、道が整っているわけでも、一時間も走ればそこら辺に修理工場やコンビニがあったりする環境でもないので、それなりに覚えることは多かった。
最悪乗り捨てて転移魔法で帰ればいいのだから他の旅行者に比べれば気楽なものであるが、それでも途中で旅の中断、などということは出来るだけ避けたかった以上結構頑張った。
そろそろ食っちゃ寝のニート生活にも飽きてきた頃だったので、暇つぶしにはちょうどよかった。

こんな手間をかけるぐらいであれば、もう一人分の生活環境を整えるわずらわしさを我慢してでも誰か雇えばいいんじゃないか? と気付いた頃には、すでに僕は旅初心者としての知識を十分身につけている状態となっていた。
今回一人なのは単純に「一人のほうが気楽でいいよね!」といった軽い気持ちだったので、ここまでこだわる必要はなかったのだが、和食への情熱で今まで気付いていなかったのだ。
まあ、もう覚えてしまったのでわざわざ人員を増やす必要はないだろう。


なんだかんだと当てが外れたり手間取ったりもしたが、かくしてこれで環境は整った。
そろそろ出発の準備をしてもいい頃だろう。


と、いうわけで道中の保存食を確保する為に、市場に向かった。
食べ物を探す為に不自由な食生活に甘んじるのは本末転倒、ゴメンである。





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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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