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ドラゴンに首ったけ44

その44










「っっ!! サイト!」
「……目を覚ましたか、ルイズ?」


サイトが竜の巣に進入してようやくフェイを倒し終わったころ、ルイズは元気よく目を覚ました。サイトが最大限の注意を払って当身を行ったため、特に後遺症もなく、いきなり立ち上がってもふらつくことはなかった。
目を覚ましたルイズは、何故この場にサイトがいないのか戸惑ったような質問を彼に投げかけた。


「サイト、サイトは? ねえ、マリコルヌ、サイトはどこ?」
「とりあえず落ち着いて一回深呼吸して、ゆっくり思い出してなよ」


そのマリコルヌの何処か疲れたような声を聞いて、ルイズはようやく自分がサイトによって気絶させられていたのだ、という事実を理解した。
即座に杖を握って竜の巣に向かおうとするルイズの肩を、マリコルヌが慌てて掴んで止める。


「一人でどこ行くんだよ!」
「放しなさいよ! サイトが、サイトが!」


ルイズは半狂乱になりながら、マリコルヌの手を振り払おうとするが、この年代になると男女の筋力差というものはもはや根性だけではどうにもならない。がっちりと止められたまま無様にあがくこととなったが、それでもルイズは暴れ続けた。


(ああ、サイト。どうして……)


サイトが、一人で竜に挑んだ。
何故サイトがこれほどまでに自分を犠牲にして尽くしてくれるのかがルイズにはまったくわからなかった。

魔法を使えぬ「ゼロのルイズ」というコンプレックスを、ブラッドの召喚によってこれ以上ないほどのトラウマモノの経験で上書きされたこちらのルイズにしてみれば、サイトが平民であろうとなかろうと、自らの味方である、という事実だけで十分だった。
初めは利用してやろう、とか、裏切られないように注意しなきゃ、と思っていたルイズであっても、遠方にいる家族以外誰一人自分の味方がいない状況の中で、自分に対して常に好意的であったサイトは、異なる歴史でルイズが暴発したように単なる自分を「ゼロ」だと無言のうちに言い続ける使い魔ではなく、自分にとっていなくてはならないものになっていた。
もともと、ゼロ、というコンプレックスさえ取り除いてしまえば、己の使い魔を嫌う理由などルイズに無いのだから。


確かにガンダールヴの力もルイズがサイトを欲する重要なファクターだ。
だが、それ以上にルイズは自分の「味方」として、使い魔を必要としていたのだ。

強さは関係ない。どれだけ自分の正当性を信じてくれるか、悩みをともに分かち合ってくれるか、が大切だ。
きっとこの段階になると、ルイズはサイトがガンダールヴの力を失ったとしても変わらず愛し続けただろう。サイトは自分にとっての精神的な支柱でありさえすれば、ルイズにとってはよかったのだ。
そしてそれは、常に叶えられ続けていた。


だからこそ、ルイズにはわからない。
自分はサイトに助けられるばかりで、それに報いきれているとは欠片たりとも思えていないからだ。それなのに何故、サイトは自らを置いて一人で竜を倒しに行ったのだろうか。


確かに抱かせた。だが、逆に言えば抱いてもらった。
それが報いになるものか、と自分自身でも思う。


借りばかりが増えてそれがまったく返せていない状況に、ルイズはずっと恐怖し続けている。
いつか彼も、あの竜のように自分に反旗を翻すのではないか。
むしろ、今もって自らを主として立ててくれているほうがおかしいのではないか、と。

だからこそ、自らも共に戦うことで何とかその借りの増加を抑えよう、少しでもサイトの役に立とうと思ってサイトとともに戦うことを彼に表明していたのに、どうして彼がエクスプロージョンの性質まで隠して自らをついてこさせたくなかったのか、ということがルイズにはわからなかった。



いまだルイズは主たる自覚がなく、自身が使い魔に頼っていることを十分理解していた謙虚なメイジであったがゆえに、サイトの忠誠を理解できていなかったのだ。
彼を愛してはいても、愛されている自信はなかった哀れな少女は、サイトの思いを受け止めきれずにいた。
そのため、どれほどサイトがここに残るよう背中で語っていても、どれほど自らの身を案じたマリコルヌに止められようと、ルイズは竜の巣に向かうのをやめる気はなかった。

だが、次に並べた言葉らは、明らかに失言であった。


「止めないで、マリコルヌ!!」
「ダメだ! サイトも来るなといっていた! 大体、サイトの話だともう魔法は使えないルイズが竜退治の役に立つわけないだろ」
「だったらあんたは行きなさいよ、この風っぴき! 役に立つから行くんじゃないって、あんただって自分で認めているんじゃない!」


役に立つからいくのではなく、覚悟があるからいくのだ、というそれは悔し紛れの錯乱した一言であった。
ルイズとて、マリコルヌが自らを守るためにわざわざここにいてくれた、ということがわからぬほど馬鹿ではない。だが、ここでは何とかマリコルヌを焚きつけてでもサイトの後を追わねばならない、という思いがその一言を口に出させたが、それはマリコルヌの感情を押し殺すかのような一言によって切り捨てられた。


「っ!! ……そのことを僕が考えなかったとでも思うのか?」
「え……?」


言われて、サイトにそれなりの友情を感じていたがために自分の守りを買って出たのだ、と思っていたルイズは、確かに自分を守るなんかよりサイトについていきたかったのではないか、ということにようやく気がついた。
つまり、自分のために今までここに足止めされてきたのか、と。
なら、自分が覚悟を見せれば、死んでもサイトを助けるのだ、ということをわかってもらえれば、二人でいけるのだろうか。

だが、それとはまったく違うルイズは考えもしなかった、だが現状からしてみれば至極当然な答えをマリコルヌはルイズに返した。


「僕だって行くべきだってわかってる! だけどなぁ、みんながみんなサイトやお前みたいな特別な力を持った勇者とは違うんだよ!」


学園でいじめられていたときと同じ表情で、マリコルヌは絶叫する。
自身へのコンプレックスと後ろめたさが入り混じった表情は、あの夜のサイトと似ているようで根本的に異なっていた。


「僕の家と系図が連なる家でも死者が出たと聞いている。お前らはおかしいんだよ、どうしてあの竜を自分が殺せるなんて思えるんだよ!」
「サイトを馬鹿にするの、マリコルヌ!」
「違う! そりゃ、こんな洞窟の中に、一斉でメイジがかかれば、あの竜も殺せるかもしれない! だけど、そんなのあくまで可能性だ!」


竜を倒すためにここまでやってきた己と、そして今まさに竜に挑んでいるはずのサイトを正面から否定されて、瞬時にルイズが激昂する。

だが、その血潮は、マリコルヌの次の言葉を聞いて強制的に抑えられた。
竜を倒せる可能性なんて、ほとんどない。自分でも内心わかっていたことに、思わずルイズの反論がとまる。
それに乗じてマリコルヌは自分の弱さを思いっきり吐き出した。


「怖いんだよ、足が竦むんだよ、出来ないんだよ!」 
「マリコルヌ……」
「相手は人間じゃなくて、竜なんだぞ! 戦争に出てひょっとしたら死ぬかもしれない、ってのとはわけが違う! 百人で挑めば倒せるかもしれないけど、そのうち九十九人が、いや百人とも死ぬんだぞ! 下手すりゃ百人がかりでも倒せないかもしれない! そんな戦いに、どうしてお前らは挑めるんだよっ!!」
「……確かに竜を呼んでしまった私の責任だからよ」
「違う! コントラクト・サーヴァントで何呼ぶかは自分で決められないのは僕だってわかってるから、ルイズを責める気は無い……だけど、竜退治なんていくらなんでも『凡人』の僕には付き合えないんだよ!! 僕があの竜を呼んだとしても、倒しにいけないんだよ!!」


それは紛れもない正論である以上、ルイズには何もいえない。
アレほど強力な生命体が敵対している以上、貢物を出している村々のように、もはや跪いて許しを請うことが最も被害を少なくする可能性の高い選択肢であることはルイズにもわかっている……竜を召喚してしまった己には絶対に取れない選択肢だったとしても、自分の方法をとれば被害がまったくでなくなる可能性があるとわかっていても。

ブラッド達のいた世界でリ=ルクル=エルブワード第一王女が竜殺しの魔法使い、ドゥエルナに突きつけられたのと真逆の覚悟を、ルイズは直接にたたきつけられたのだ。
ルクルが「竜による被害によって維持されている平和に何の意味がある」とドゥエルナに言われたのとは正反対な、「竜による被害だけで済むのに、更なる無駄な犠牲を払い、怒らせる可能性をかけてまで挑む価値などあるのか」という凡人でもたどり着く、至極まっとうな覚悟を。

だからこそ、マリコルヌの言葉の正当性を認めて、言葉を失ってしまう。


「勇気がないから虚無の魔法を使えないのか、それともガンダールヴの力がないから勇気が出ないのか、それはわからない。けど、伝説じゃなくて単なる一メイジの力しか持たない僕にはあの竜に挑むなんて、それにどれだけ責任が伴っていても、端からばかげたこととしか思えないんだよ!」
「マリコルヌ!!」


マリコルヌだって、本当であればあの竜と戦いたい。
領民を苦しめているあの竜を退治することが出来れば、それが一番いいのだ、ということはわかりきっているし、貴族とはそういった領民への庇護の見返りに税をもらっているのだ、ということがわからないほどグランプレ家の教育がヴァリエール家に対して劣っているわけでもない。そして、自らも竜を倒して名を上げることを望まぬほどマリコルヌは英雄願望を持たない夢のない少年ではない。
洞窟に向かって進んでいくサイトの背を見て、自分も彼を助けたい、とも思った。


だが、いざ、竜の巣を目の前にすると、その想いが崩れていく。
今だ未熟なメイジとしての力しか持たず、その力も虚無のように竜を倒せる可能性を示唆するものではない以上、自分には出来ない、出来なかった。ましてや自分は、サイトに一緒に来てくれ、と直接頼まれたわけでもないのに、と苦しげに独白するマリコルヌを臆病者、と責めることなどルイズには出来なかった。

自分に虚無、という力がなかったとしても、サイトがいなかったとしても、ギーシュのように竜と戦う決意が出来たか、ということはあの絶望を知っているルイズには言い切れない。
マリコルヌのように竜と戦うこと自体がばかげたことだ、と自分も言っていた可能性は否定しきれない。
戦わないことを選んだマリコルヌの選択は、間違いなく竜に挑むと決意したギーシュと正反対で、だけども同じぐらい正しいものなのだから。

だが、それでもその言葉は、サイトを否定するその言葉は、ルイズにとって許せぬものであった。そのため、マリコルヌの言葉の正しさを受け、自らのが召喚したことによっては制した各種のことに後悔して、後で幾重にでも詫びよう、とは思ってはいても、サイトへの侮辱だけは止めようとルイズは涙目で平手を打ちはなった。


ぱちんっ
「っ!!」 
「あっ……」


マリコルヌはそれをあえて頬で受けた。
自らに勇気がないという理由で親友の行為を馬鹿にする己は、間違いなく断罪に値する、ということがわかっていたのだから。自分でも、この選択が完全に正しいとは信じ切れなかったから。


「…………イル・ウォータル・スレイプ・クラウディ…」
「!?」


そして彼を打った方、自らの言葉は矛盾とエゴに満ちていることがわかっていて、それでもなお八つ当たり交じりに平手を放っただけで、まさかよけられもせずあたってしまうとは思っても見なかったルイズがそのままの体勢で固まってしまうのを見ながら、マリコルヌはルイズに向かって精神力を注ぎ込みまくって無理やり発動させたトライアングルスペル、眠りの雲を至近距離から放った。
当然避けきれるはずも無く、それを受けて、その場で崩れ落ちるルイズをしっかりと抱きとめて、再び地に寝かせるマリコルヌ。

思わず言葉が口について出る。


「……僕には…国を裏切ったスクウェアメイジと戦って…竜の巣の前で親友の主を守ろうとする今の勇気だけで……精一杯なんだ…」


僕はルイズを守るためにここに残ったんじゃない。
それを言い訳にして、竜と戦うのを逃げたんだ。
なさけない。
どうして貴族たる己が、あの侵略者を退治するべく動くことが出来ないのか。
間違いなく、竜はトリステイン国民すべての敵なのに、それを倒すことこそが貴族の役目なのに。


「……くそう!!!」


そんな言葉が次々と頭に浮かんで繰るにもかかわらず何も出来ない自分に、マリコルヌは悔し涙を流しながら、夜の闇に無念を叫んだ。









「あれ……? メイドたちが誰一人もいないってのはどういうことだ?」
「変ですね。あなた、どういうこと?」
「そ、それが連隊長、例の爆発はモンスターだけではなく、私達にも襲い掛かってきて……」


転移魔法陣を使ってあわてて元の巣から戻ってきたブラッドとクーは、首をかしげる。
確かにモンスター部隊がほとんどやられたとの報告は聞いているが、それでもいつもはそれなりに休暇のため魔界に向かうメイドとか、清掃の子供達とかでこの部屋は人の気配がするはずである。そんな常には無い部屋の静けさに疑問を持っていたが、そのメイドの説明を聞いてブラッドは目に見えて、クーはわずかに顔色を変えた。
いくら竜と魔族でも、巣の外から戦闘員のみならず、非戦闘員まで攻撃できるような魔法があるなんて想像だに出来ていなかったのだ。


「なんだと? そこまでひどいというのか!」
「それで、具体的な被害状況は?」


割と身内には甘いブラッドと、それよりもまず主を優先させるクーは対照的な問いを放ったが、どちらもメイドの返事によってとりあえずは安堵の息を吐いた。


「いえ、私の周りにいた仲間は気を失っていただけだったので多分みんな大丈夫だと思うんですが……」
「そう……とりあえず、御主人様はここにいてください。ちょっと現状を調べてきます」
「ああ……でも、俺も手助けに行ったほうがいいんじゃないか?」


どうやらモンスター部隊に比べて非戦闘員達の被害はそれほどまでひどいものではないようだ。
とはいえ、現状はさほど余裕を持ってみていられるものではない、ととりあえずクーは生き残っているメイドたちから情報を集めようと決める。ある程度の教育は普段からしている(ほとんど連隊長による恐慌政治)ため、この非常事態におろおろしているだけの部下などいないだろう、と思って、主に今後の指針を告げて駆け出そうとする。
とりあえず、主のそばを離れずに情報を知るためにメイドを派遣することが出来ないほど、今の竜の巣では人出がたりない以上、自らが動くしかない。

いくらなんでも緊急事態っぽいのにいつものようにのんべんだらりとしていられない、といって手伝いを申し出るブラッドだったが、ある意味この現状はクーの不始末。無論現在わかっている範囲での彼女の失態など鳥の羽よりも軽いものだったが、それでも主に迷惑は駆けられない、とクーはそれを断った。
何より、ブラッドに危険が迫る可能性だって無いとはいえないのだ。


「下手に捜索範囲を広げると、合流が面倒になりますから。とりあえず御主人様はこの部屋にいておいてください。多分、そう時間はかかりませんから」
「わかった……気をつけてな」
「……ありがとうございます。では、いくわよ」
「はい、連隊長!」


そのブラッドの気遣いに頭をひとつ下げて、クーはメイドを連れて飛翔魔法で部屋を出て行く。今から19号を各所に走らせて、生き延びているメイドたちをここに呼ぶより、彼女が魔法で往復したほうが早いのだ。
移動しながらメイドからさまざまな情報を受け取り、クーはさまざまなことに考えを張り巡らせていく。


「とりあえず、あなたの知っている範囲では何人が無事だったの?」
「私と一緒にコントロール・ワンにいたメイドの中では5号と22号は無事でした。二人にはユメ様とテファ様の安全を確認するように言っておきました。さらに、転移室に行くまでに37号らしき影を見ましたから、彼女も無事だったと思います」


そういって、可愛がっていたイモモの「クリーム」を殺されたことで半狂乱になりながらブラッドたちに報告に来たメイド、メイド19号が自らと一緒に司令室兼情報室兼おやつ室に一緒にいたメイドについてクーに報告する。
それを聞いてほんのちょっとだけ頭を捻ったクーだったが、すぐに質問を重ねる。


「そう……あなた達無事だった者の共通点は?」
「全員が派遣ではなく士官であったことと、必殺無効スキルを持っていたことです。モンスターたちの中でもハラミボディなどは例外なく生き残っていることから後者によるものだと思われます」
「そう……なら、もう一度その攻撃が来ても御主人様や私、あなたなんかは大丈夫、ってことね」


自分の推測とともに、洞窟前に三人いるうちの一人しか進入していない、という洞窟前のセンサーの情報もクーに伝える。彼女はペットを殺された怒りでわりと復讐に燃えていた。

それを聞いて主と自分の無事を確信して、ようやくクーは安心そうに呟いた(無論、魔界では行き遅れの部類にあたるクーは、自分磨きの一環として必殺無効を覚えている)。
だが、そんなクーの言葉にメイド19号がクーに報告に行く前から考えていた不安を述べる。


「おそらくは……でも、もう一撃とか、違う種類の攻撃がくる可能性は否定できませんが」
「そんな方法があったら、おそらくもうとっくにやってるはずよ」
「そうでしょうか……」


だが、クーはその不安をきっぱりと否定した。
自らの信頼する連隊長の言葉だから間違っているわけではないだろうとは思いながらも、必殺無効を持っているだけで別に性格的に戦闘向きなわけでもないメイド19号は、自分の命も危険かもしれない、という事実に必要以上におびえる。
そのおびえを少しでも和らげようとして、クーは飛行魔法を維持しながらゆっくり丁重に19号に説明をした。


「侵入者がいるんでしょ? そいつが必殺無効を持っているなら突入によって集めてからまとめて爆破したほうが混乱に乗じられるし、効率的。にもかかわらず爆発とほぼ同時に突入してきた、ってことはおそらく持っていないと考えたほうがよさそうね」
「ああ、確かに」
「そうである以上、仲間を見殺しにする気さえなければもう爆発は起こらないわ。問題は、必殺無効が効かない魔法の存在だけど……まあ、これは考えなくてもいいわ」
「どうしてですか?」
「そんなこと出来るんだったら、たった一人で突入してくる必要ないでしょ?」
「あ、なるほど」


別種の魔法をもう一撃放てるというのであれば、必殺無効で生き残っているモンスターを警戒して魔法使いを待機させるなんてことはしないで、三人で入ってきたほうが稼ぎは大きいはずである、と今までさんざん見てきた冒険者たちの思考パターンからクーはそう結論を下す。
人間だけは任意で外す、なんていうトンデモ特性を除いて、大体のクーの予想は正しく、またその一番大切な部分を除いて立てられた推測だったが、エクスプロージョンによる追撃はない、という事実については運良く言い当てていた。

ちなみに彼女はこの時点ではメイドたちやユメはさておき、孤児たちやマチルダ、牢にいる捕虜や生贄はすべて爆発によって死に絶えたものだと思っている。
モンスターの大部分が死に絶えた現状において、獣人や魔族ならばさておき、純粋なる人間である彼らが体力的に魔物に劣っているにもかかわらず生き残っていると思える理由がなかったからだ(自分の知る森の住人とは微妙に違う種族のハーフであるテファについては微妙だと思っていたが)。


同族や人質すらも気にも留めずに皆殺しにするような危険な侵入者。

その存在に非常な危機を感じたクーは、大急ぎで生き残っていたメイドたちに指示を出して、被害状況を把握した。そして、それが勘違いだとわかった後では、いかに彼女といえど、宝物庫を無視して竜に迫るような侵入者がドゥエルナ以外にいるなどとは思ってもいなかった。
そのため、一応護衛もかねて、集めた情報の報告と今後の指示を仰ぐため最愛の主の元へと駆け戻ったが、護衛、という思考の割合はさほど大きいものではなく、いつもどおり侵入者による被害に頭を痛める執事でしかなかった。。


その結果として、それなりに急いで戻ったとはいえ、運良く居住スペースのほうへと潜り込んでいたサイトのほうが、ブラッドの下へとたどり着くのは早かった。いや、ルイズのためにすべてを捨てると誓ったサイトの想いが、その運命を引き寄せたのかもしれない。
クーが情報室から戻ってこようとしていたときには、すでにサイトはブラッドと戦っていたほど、クーがブラッドの元にたどり着くまでに時間が経ちすぎていた。


そして、ブラッドの元へと戻ったクーが見たのは、ごくごく僅かな危惧はしていたものの、想像以上の傷を負った主の姿だった。



その45へ

Comment

どうにもサイト君が強化されすぎだというか、巣ドラ側が弱体化されすぎている印象を受けてしまいます……。

フェイの持つ剣は山をも切る破山剣の自動再生機能付きで威力は1/10でしたっけ? それでもダメージに2点追加の効果しかない魔法武器扱いのようですし、必殺はついていない事から大した武器ではない(フェイ自身C評価の事も加味し)もよう。
現状だとゼロ魔に合わせるために無理に弱体化したように思えてしまうので、初期が実に巣ドラっぽほのぼのレイプだっただけに少し残念ですね。とくにフェイは初心者にとっては悪夢と言っていい存在でしたし、竜の加護を受けて強化されているのなら、強化されたとしても現代人であるサイト君ではどうしようもないイメージが。

ゼロ魔らしく巣の中にタイガー戦車を持ちこむのなら、今のサイト君のように無双していても納得できるのですけれど……。デルフリンガーが原作ゼロ魔のままならば、武器としてはちょっと頑丈で魔法障壁スキルを持つだけのようですし、強くなったサイト君でも初期フェイと同じC、心の震えを加味してもBかB+程度だと思うんですが……。
デルフって原作でも魔法の吸いすぎて壊されましたしね。身を守ってくれる魔法防具なども持たず、デルフにしても鉄をスパスパ切れるような威力もない。装備だけ見たらEランク、伝説ルーンでC、戦闘経験でBと判断しました。

巣のモンスターもワルド襲来によって鍛えられているでしょうし、サイト君だとよくできてフェイと相打ちじゃないかなあってイメージです。毒ナイフで上手い具合に無力化出来たにしても、竜を傷つけられるってのはちょっと異常かなあと。生きた戦車みたいな存在ですし。

デルフリンガーが実は竜殺しの剣なのかな? それならブラッドさんを傷つけられたのも納得できますが、LVUPにより初期の数倍の力をつけているであろう巣のモンスターを倒せちゃうのはやっぱりどうも……。サイト君が原作だとヘタレ過ぎるってのもありますけれど。


まあ自分は最後までお付き合いするつもりですので、続きを熱望させていただきます。いつも楽しく読ませていただいておりますよ
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プロフィール

基森

Author:基森
蚕鳴や円禍と名乗ってたこともあります。

主に小説・ssなどを置いているブログです。

自前の本棚を持つのは初めてなので手探りでやっている程度のものですが、わずかばかりの暇つぶしにでもなれば幸いです。


メールは「kulukku106☆yahoo.co.jp」まで、☆を@に変えた上でお願いいたします。

そろそろ、非営利にならトップへのリンクフリーとか言ってみたり。

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